米国の経済動向を知るためには、ISM製造業および非製造業景気指数(PMI)は欠かせない指標です。
これらの指数は、経済活動の活発度や景気の方向性を示す重要なデータであり、多くの投資家や経済アナリストに注目されています。
最新のISM指数がどのような意味を持つのか、そしてこれからの経済にどのような影響を与えるのかを考察してみましょう。
米国 ISM製造業購買担当者景気指数
米国の製造業セクターは6月に48.5%のPMIを記録し、3ヶ月連続で縮小しました。全体の経済は50ヶ月連続で拡大しているものの、製造業は19ヶ月のうち18ヶ月が縮小している状態です。以下は、製造業の詳細な動向です:
- 新規受注:49.3%、前月の45.4%から上昇したものの、依然として縮小中。
- 生産:48.5%、前月の50.2%から低下し、縮小に転じました。
- 雇用:49.3%、前月の51.1%から低下し、縮小。
- 供給業者の納入:49.8%、前月の48.9%から上昇し、縮小したものの納入が迅速化。
- 在庫:45.4%、前月の47.9%から低下し、縮小が加速。
- 顧客在庫:47.4%、前月の48.3%から低下し、依然として低水準。
- 価格:52.1%、前月の57.0%から低下し、価格上昇が緩やか。
- 受注残:41.7%、前月の42.4%から低下し、縮小が続く。
- 新規輸出受注:48.8%、前月の50.6%から低下し、縮小に転じました。
- 輸入:48.5%、前月の51.1%から低下し、縮小に転じました。
まとめ
製造業の経済活動は引き続き縮小し、特に生産と雇用が減少しています。供給業者の納入は迅速化し、在庫も減少しているため、需要が低迷しています。価格は上昇していますが、その勢いは緩やかになっています。
経済全体は依然として拡大しているものの、製造業セクターの弱さが顕著です。今後の見通しとして、需要の低迷と生産の減少が続く可能性があり、政策や市場の変動が注視される必要があります。
出典:https://www.ismworld.org/supply-management-news-and-reports/reports/ism-report-on-business/pmi/june/
米国 ISM非製造業購買担当者景気指数
6月のサービス業PMIは48.8%となり、サービス業は再び縮小しました。事業活動、新規受注、雇用の各指数が低下し、特に新規受注は昨年12月以来初の縮小となりました。供給業者の納入が遅れ、在庫が減少している一方で、価格は上昇していますが、そのペースは鈍化しています。
- サービスPMI: 48.8%、前月の53.8%から低下し、縮小に転じました。
- 事業活動指数: 49.6%、前月の61.2%から低下し、縮小。
- 新規受注指数: 47.3%、前月の54.1%から低下し、縮小中。
- 雇用指数: 46.1%、前月の47.1%から低下し、縮小が続いています。
- 供給業者の納入指数: 52.2%、前月の52.7%から低下し、納入が遅くなっています。
まとめ
2024年6月のサービス業PMIは48.8%となり、サービス業は3ヶ月中2回の縮小を記録しました。
事業活動指数と新規受注指数が共に縮小に転じており、特に新規受注は12月以来初めての縮小となりました。雇用も縮小が続いており、経済の先行きに不安を感じさせます。供給業者の納入が遅延している一方で、在庫は減少しており、需給バランスの崩れが顕著です。
価格は上昇しているものの、その上昇ペースは緩やかです。全体として、サービス業は慎重な運営が求められる状況であり、特に新規受注と雇用の動向に注目が必要です。
サービス業で支えられていた米国でしたがISM製造業購買担当者景気指数もISM非製造業購買担当者景気指数も拡大を示す50を超えてしまいました。
いよいよ景気が低迷してきました。
週末の雇用統計で失業率が4%を超えたら景気後退ですね。
ただ、現状の数値を見る限り、まだソフトランディングのシナリオは継続です。
業界の業績
6月に成長を報告したサービス業界は以下の通りです:
- その他のサービス
- 企業管理・支援サービス
- 医療・社会支援
- 建設
- 公益事業
- 金融・保険
- 教育サービス
- 専門・科学技術サービス
6月に業績の低下を報告したサービス業界は以下の通りです:
- 農業、林業、漁業、狩猟
- 不動産、レンタル・リース
- 鉱業
- 小売業
- 公共行政
- 卸売業
- 運輸・倉庫業
- 情報サービス
説明:医療や建設などのいくつかのサービス業界は成長を見せましたが、特に不動産や小売業など多くの業界で業績の低下が報告されました。高いガソリン価格やインフレ、供給チェーンの問題が影響していると考えられます。
グラフ
下落が緩やかになっているため、ソフトランディングシナリオ継続です。
ただ、ISM非製造業購買担当者景気指数が45を下回るまで悪化するならハードランディングの可能性が大きくなります。
来月も注目です。
Febウォッチ
ISMは製造業、非製造業ともに50を下回りました。
ただ、Febウォッチがあまり変わりありませんでした。
ただ、金曜日に発表される雇用統計の結果次第では7月利下げの可能性も十分あると考えています。
それほど、米国経済は下降トレンドです。
PCEデフレーター発表後
ISM非製造業購買担当者景気指数の発表後
まとめ
米国ISM製造業、ISM非製造業景気指数に穏やかではあるものの、下降トレンド継続中です。
ボラティリティが高くなるイベント(銀行の連続破綻など)がない限り、一気に景気後退にはならないと思いますが、徐々に消費者の信頼感が低下し、企業の投資意欲が減少しています。
特にサービス業や小売業は、消費者の支出削減の影響を受けやすく、これがさらなる失業率の上昇を引き起こす可能性があります。
引き続き経済指標を注視する必要がありますね。
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