【初心者向け】米国の「欠員率」とは?JOLTSの見方から経済の読み解き方まで徹底解説!

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「アメリカの景気って、今どうなっているの?」

経済ニュースを見ていると、そんな疑問が浮かぶこと、ありますよね。特に「求人数が減りました」なんて聞いても、それが私たちの生活や投資にどう影響するのか、ピンとこないかもしれません。

でも、ご安心ください。この記事で解説する「欠員率(けついんりつ)」という一つの指標を理解するだけで、アメリカ経済の「今」が驚くほどよく見えるようになります。

「欠員率」は、いわば経済の健康状態をはかる「体温計」のようなもの。この数字が上がったり下がったりする理由を知ることで、ニュースの裏側にある本当の意味を読み解く力が身につきます。

この記事では、難しい専門用語は一切使わず、以下のポイントをわかりやすく解説していきます。

  • そもそも「欠員率」って何?
  • どうやって計算されているの?
  • この数字から何がわかるの?

読み終える頃には、あなたも経済ニュースを「自分ごと」として捉え、一歩先を読む視点を持っているはずです。さあ、一緒にアメリカ経済の「体温」を測ってみましょう!

目次

すべては「JOLTS調査」から始まる

まず、欠員率という数字がどこから来るのか、その源泉を探ってみましょう。答えは、アメリカの労働省労働統計局(BLS)が毎月発表している「求人労働移動調査(JOLTS)」です 。  

JOLTSは、全米約21,000の企業や政府機関へのアンケートをもとに作られる、非常に信頼性の高い統計データです 。金融のプロやアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)も、このデータを注意深く見ています。  

JOLTSが信頼される最大の理由は、その「求人」の定義がとても厳しいことにあります。どんな募集でもカウントされるわけではなく、以下の3つの条件をすべてクリアしなければなりません 。  

  1. 具体的な仕事があること そのポジションのための具体的な業務がちゃんと存在している必要があります。正社員だけでなく、パートや短期の仕事も含まれます。
  2. 30日以内に仕事を開始できること 採用されたら、30日以内に働き始められる見込みがあることが条件です。
  3. 会社の「外」から積極的に募集していること 社内公募や昇進のためのポストは対象外。新聞やインターネットなどを通じて、会社の外部から新しい人材を探している必要があります。

この厳しい基準のおかげで、JOLTSの求人数は「企業が本気で人を探している数」を正確に示しています。求人サイトにずっと載っているだけの「幽霊求人」は含まれないのです。だからこそ、経済のリアルな実態を映す鏡として、これほどまでに重視されているのですね。

欠員率の計算式は、意外とシンプル!

では、JOLTSのデータを使って、欠員率はどう計算するのでしょうか?計算式を見てみましょう。

この式は、英語では「Job Openings Rate」と呼ばれ、「求人率」と訳されることもあります 。  

ちょっと複雑に見えますか?大丈夫、具体例で考えれば一瞬で理解できます。

【例】とあるIT企業に95人の従業員がいて、新たに5人のエンジニアを募集している場合

  • 求人数:5人
  • 雇用者数:95人

これを式にあてはめると…

欠員率=5÷(95+5)​×100=5÷100×100=5%

この会社の欠員率は5%ということになります。

ここで面白いのは、分母が「雇用者数 + 求人数」になっている点です。これは「会社が理想とする全ポジションのうち、何%が空席か」を示しているからです。「雇用者数 + 求人数」は、その会社や経済全体が目指す「満員の姿」なんですね。

この計算方法によって、労働市場がどれだけ人手を欲しているか、その「熱量」をより正確に測ることができるのです。

経済の体温計!欠員率でアメリカの今がわかる

お待たせしました!いよいよ本題です。この欠員率という「体温計」の目盛りから、アメリカ経済の何が読み取れるのでしょうか。

企業の採用意欲は?人手は足りてる?

欠員率が教えてくれる最もストレートな情報は、企業の採用に対する「本気度」です 。  

  • 欠員率が高いとき 多くの企業が「もっと人を雇って事業を大きくしたい!」と考えている証拠。経済が元気で、未来に明るい見通しを持っている状態です。
  • 欠員率が低いとき 企業が採用にブレーキをかけているサイン。「景気の先行きが不安だから、今は人を増やすのをやめておこう…」という慎重なムードが漂っています。

一般的に、アメリカでは欠員率が3%前後なら、労働市場は安定的で健康的だと考えられています 。しかし、コロナ禍後の経済再開の時期には、この数字が異常なレベルに跳ね上がりました。2022年3月には、なんと過去最高の7.4%を記録 。これは、経済活動の急回復に人々の働き手が全く追いついていない、極端な人手不足を示していました。  

労働市場のパワーバランス:今は「売り手市場」?

欠員率は、会社と働き手の力関係も教えてくれます。

欠員率が高い → タイトな労働市場 仕事がたくさんあり、働き手が見つかりにくい状態です。これは、働き手にとってはより良い条件の会社を選べる「売り手市場」を意味します。企業は人材を確保するために、給料を上げたり、福利厚生を良くしたりする必要に迫られます。

この状況を裏付けるのが、JOLTSで同時に発表される「離職率(Quits Rate)」です。これは、自発的に会社を辞めた人の割合。

欠員率と離職率が両方とも高い場合、それは「景気が良いから、もっといい会社に転職しよう!」と考える人が多い証拠。コロナ禍後に「グレート・レジグネATION(大退職時代)」という言葉が生まれたのは、まさにこの現象でした 。  

失業者1人に対して、求人は何件ある?

労働市場の状況をもっと直感的に理解できる、とっておきの指標があります。それが「失業者1人あたりの求人数」です 。  

計算はシンプルです。

失業者1人あたりの求人数=JOLTSの総求人数​÷総失業者数

この数字が「1.0」を超えるかどうかが、大きな分かれ目です。

  • 1.0より大きい:仕事を探している人より、募集中の仕事の方が多い。つまり「人手不足」です。
  • 1.0より小さい:仕事より、仕事を探している人の方が多い。つまり「人余り」で、就職が厳しい状況です。

アメリカでは2021年5月以降、この比率は常に1.0を上回っており、人手不足が続いていることがわかります 。下の表で、歴史的な変化を見てみましょう。  

時期失業者1人あたりの求人数市場の状況
2009年7月 (金融危機後)約0.16件深刻な人余り。失業者6人で1つの仕事を奪い合う状態。
2020年2月 (コロナ禍直前)約1.2件健全な人手不足。経済はとても安定していました。
2022年3月 (ピーク時)約2.0件極端な人手不足。失業者1人に対し求人が2件もありました。
2025年6月 (最近)約1.4件過熱感は落ち着いたものの、依然として人手不足は続いています。

この比率を見るだけで、労働市場の「熱気」が手に取るようにわかりますね。

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この記事を書いた人

真毅のアバター 真毅 自由人

趣味はカメラ、ランニング、読書。職業はシステムエンジニア。昔はリサーチハウスで企業調査、産業分析を行っていました。目標は投資で稼いでゆっくり生きる。資格はFP2級、証券アナリスト。投資対象は日本株、米国ETF、金、暗号資産、不動産。金融資産と実物資産の両輪で資産形成。

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