アメリカ経済の健全性を測る重要な指標であるPCEデフレーターと個人所得・支出の最新データが公開され、消費者の動向や経済の現状が浮き彫りになりました。
PCEデフレーターは、個人消費支出に基づく消費者物価指数であり、インフレーションの動向を把握するために重要です。この指標は、消費者が購入する財やサービスの価格変動を示し、連邦準備制度(Fed)がインフレ目標を設定する際の基準となります。
一方、個人所得・支出は、賃金や給与、事業収入、投資収益などを含む国民の収入状況と、それに基づく支出行動を示す指標です。これにより、消費者の経済活動や景気の健全性を測ることができます。
最新データから見える消費者の購買行動や市場トレンドを分析し、これが投資家や市場関係者にどのような影響を与えるのかを探っていきましょう。
PCEデフレーター
2024年5月のPCEデフレーター(個人消費支出価格指数)の発表がありました。
- PCEデフレーター:前年比 2.6%(予想:2.6%) 前回:2.7%
- PCEデフレーター:前月比 0.0%(予想:0.0%) 前回:0.3%
- PCEコアデフレーター:前年比 2.6%(予想:2.6%) 前回:2.8%
- PCEコアデフレーター:前月比 0.1%(予想:0.1%) 前回:0.3%
5月のPCE価格指数は、前年同月比2.6%上昇しました。商品の価格は0.1%下落し、サービスの価格は3.9%上昇。
食品価格は1.2%上昇し、エネルギー価格は4.8%上昇しました。食品とエネルギーを除くと、PCE価格指数は前年比2.6%上昇しました。
2024年1月からのPCEデフレーター(個人消費支出価格指数)
- 2024年5月:前年比 2.6%(予想:2.6%)
- 2024年4月:前年比2.7%
- 2024年3月:前年比2.7%
- 2024年2月:前年比2.5%
- 2024年1月:前年比2.4%
2024年1月からのPCEコアデフレーター(食料品とエネルギーを除く)
- 2024年5月:前年比 2.6%(予想:2.6%)
- 2024年4月:前年比2.8%
- 2024年3月:前年比2.8%
- 2024年2月:前年比2.8%
- 2024年1月:前年比2.9%
今年に入って上昇傾向だったPCEデブレータでしたがわずかに下落しました。
PCEコアデフレーターはPCEデブレータとは違い下落傾向です。
年後半のFRBの利下げ期待を正当化する内容ではあるものの、予想通りの内容でもあったことから、米株式市場の反応はいまのところ限定的となりました。
サービス価格とエネルギー価格の上昇が止まりませんね~
サービス価格もエネルギー価格も消費者の生活の直結するだけに米国の消費者は生活が苦しくなっている気がします。
ただ、全体の数値は下落傾向で良い感じです。

前月比で見ても、下落傾向が維持されています。

5月はCPI、PPI、PCEデフレータ全てで下落しました。
この傾向が来月以降も続くのか。もしくは横ばい、または上昇に転じるのか見ものです。
PPIが昨年の11月以降上昇傾向だったので、そろそろCPI、コアPCEデブレーターの下落が止まると思っていたのですが。。。
コロナ禍の補助金が切れて、政策金利が5.25-5.5%の効果がでてきたのかもしれません。

個人所得、個人支出、個人利息支払い
個人所得と個人支出の増加が安定しており、消費者の購買力と経済活動が強固な基盤にあることが示唆されます。これにより、経済全体の成長が支えられています。
利息支払いの減少は、消費者の債務負担が軽減されていることを示しており、これが消費や投資の余裕を増大させています。
PCEデフレーターを見ると、米国の生活は厳しくなってきているようですが、個人所得、個人支出、個人利息支払いを見ると、経済活動は底堅さを感じます。
数値を見る限りソフトランディング路線は継続です。
- 個人所得:前年比1.08% 前回:0.94%
- 個人支出:前年比 5.05% 前回:5.04%
- 個人利息支払い:前年比 11.48% 前回:17.46%

Febウォッチ
Febウォッチを見ると、9月利下げの確率が高そうです。

まとめ
連邦準備制度(Fed)がインフレ目標を設定する際の基準となるPCEコアデフレーターは下落傾向。
個人所得、個人支出、個人利息支払いは底堅い動きをしています。
現状の経済指標を見る限り、9月に利下げが始まり、ソフトランディングになる可能性が一番大きいと感じます。
情報ソース
https://www.bea.gov/news/2024/personal-income-and-outlays-may-2024
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