ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
七月最後の金曜、船橋の夜は湿った匂いを引きずったままでした。深夜零時を回った台所で、私は冷蔵庫の扉を開け、いちばん奥の缶を指先で探り当てます。ストロングゼロの結露が手のひらに移り、蛍光灯の下でぬるく光りました。
テレビは消したままです。この一週間、画面の向こうでは「決算祭り」という言葉だけが何度も繰り返されていました。マイクロソフトが跳ね、アマゾンが跳ね、その裏でアップルとメタが沈む。祭りの太鼓は、どうやら私の家の外だけで鳴っていたようです。
証券アプリを開くと、指数の欄には青ではなく緑が並んでいました。S&P500もナスダックもダウも、そろって週間プラス。
ところが同じ画面を下へ送った先、自分の保有銘柄の列だけが、律儀に赤で埋まっています。祭りの提灯の下に、自分の店だけシャッターが下りている感覚です。
缶のプルタブを起こし、最初の一口を流し込みました。妙なのは、この赤い数字が、ドル建てで見るよりも円建てで見たほうが少しだけ浅く見えることです。円は今週、三円以上も強くなったのに。矛盾が二重になった夜に、私は今週も通信簿を開いていきます。
指数は勝ち、我が軍は負けた──今週の魂の叫び

今週、ぬるい炭酸とともに飲み下した核心は3点です。
- メガキャップ決算ラッシュで市場全体は乱高下し、S&P500は週間+1.05%と勝ち切りました。それなのに私のポートフォリオは評価損を-33,068円まで拡大させています。指数の勝ちが、私の勝ちにならない構造がむき出しになりました。
- ドル円は一週間で三円以上も動く荒い相場でした。前週の集計レート163.83円から、今週は160.18円へ。円安という追い風が、静かに巻き戻された一週間です。
- それでも配当は10発、合計1,038円(5.89ドル)が着弾しました。含み損がどれだけ膨らもうと、入金の音だけは今週も止まりませんでした。
決算祭りの狂騒と、静かに戻る円──今週の市場レジーム判定

固定コーナー「今週の市場レジーム判定」から始めます。RORO指数(リスクオン・リスクオフの傾きを測る指数)は32.5で、判定はリスクオフ(弱)でした。前週の41.3から8.8ポイント低下しており、市場の傾きは一段リスク回避へ寄っています。
4象限のレジーム判定はExpansion(拡大局面)で、直近90日の分布はExpansionが87.7%、Recoveryが10.8%、Stagflationが1.5%という構成です。
判定の根拠は3行で示します。第一に、VIX(恐怖指数)は17.1でした。パニックと呼ぶには程遠い水準ですが、決算week特有のざわつきは残っています。
第二に、10年国債利回りは4.68%と高止まりのままです。第三に、イールドカーブ(10年債−2年債)は+0.45%の順イールドを維持しました。
景気後退のサインは出ていない、しかし金利は下りてこない。この組み合わせが今週の骨格です。
analysis-lab独自の市場局面カードも確認します。局面ラベルは「インフレ鈍化・金利高止まり」で、CPI(消費者物価指数)は前年比3.5%、失業率は4.2%、FF金利(実効)は3.63%です。
類似する過去局面の上位は2026年のW24・W20・W23・W21・W25と、すべて直近1〜3ヶ月以内に集中していました。相場は新しい景色に入ったわけではなく、同じ部屋の中を歩き回っているだけだということです。
主要指数は、前週金曜から当週金曜にかけて総じて上を向きました。ただし、上げ方の内訳が今週の全てを説明します。
| 指標 | 前週終値(7/24) | 当週終値(7/31) | 週間騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,411.98 | 7,489.72 | +1.05% |
| NASDAQ総合 | 24,975.82 | 25,373.85 | +1.59% |
| NASDAQ100 | 28,128.34 | 28,274.20 | +0.52% |
| NYダウ平均 | 51,947.25 | 52,485.03 | +1.04% |
| 日経平均 | 64,611.15 | 64,362.02 | -0.39% |
| ビットコイン(BTC/USD) | 64,189.0ドル | 62,899.0ドル | -2.01% |
| 金(ゴールド) | 4,070.80 | 4,107.00 | +0.89% |
| 米10年債利回り | 4.679% | 4.745% | +0.066pt |
| ドル円(analysis-lab集計) | 163.83円 | 160.18円 | -2.23%(円高) |
出典(指標別):– S&P500– NASDAQ総合– NASDAQ100– NYダウ– 日経平均– ビットコイン– 金– 米10年債利回り
※ドル円だけは注意が必要です。ドル円はほぼ24時間取引のため、日足をJST基準で切るかNY市場基準で切るかで終値が一営業日分ずれます。
本稿の決算報告はanalysis-lab DB基準(7/31=160.18円)で算出しているため、為替は本文全体を通じて160.18円に統一しています。市場局面カードの10年債利回り4.68%と、上の表の終値4.745%の差も、集計基準の違いによるものです。
(補足)なお8/1(土曜)付のデータとして157.40円という値も観測されています。しかし株式市場は土曜休場のため株価側の更新はなく、この為替値も金曜NY市場終盤の値が、日付境界の関係で翌日付に記録された可能性が高いものです。
本稿の数値には反映せず、あくまで参考情報として付記します。
FOMCと決算、二つの祭り
まず7月29日のFOMC(連邦公開市場委員会)です。政策金利は3.50%〜3.75%で据え置きとなりました。ただし賛否は9対3と割れています。
反対票を投じたのは、ハマック(クリーブランド連銀総裁)・カシュカリ(ミネアポリス連銀総裁)・ローガン(ダラス連銀総裁)の3名で、いずれも0.25%の追加利上げを主張しました。
今回のFOMCは、2026年5月に第17代FRB議長へ就任したケビン・ウォーシュ氏の下で開かれています。
据え置きなのに反対票が3つ、しかも全て「利上げすべき」という方向。これは実質的にタカ派寄りの据え置きです。10年債利回りが週を通じて4.679%から4.745%へ切り上がったのも、この綱引きの結果とみるのが自然でしょう。
そして今週の主役、メガキャップ決算ラッシュです。7月29日から30日にかけて発表された結果は、Microsoft +8%、Amazon +10%、Apple -3〜4%、Meta -10%でした。
まさに祭りと葬式が同時開催の内容です。
アップルは中国売上のミスとサービス部門の伸び鈍化が嫌気され、メタはAI投資計画への失望から二桁の下落となっています。
一方でマイクロソフトとアマゾンは大きく買われました。指数全体では買われた側が勝ち、S&P500は+1.05%で着地しています。
NASDAQ100とカバードコールの相性最悪ゾーン
ここで、今週最大のギャップに踏み込みます。NASDAQ総合が+1.59%だったのに対し、NASDAQ100は+0.52%にとどまりました。その差は1.07ポイントです。
理由は構成銘柄のウェイトにあります。NASDAQ100は上位数銘柄の比重が極めて大きい指数で、アップルとメタの下落がそのまま指数の足を引っ張りました。
時価総額の小さい銘柄まで広く含むNASDAQ総合とは、同じ「ハイテク」でも受けた傷が違うということです。
私のポートフォリオは、JEPQ・QQQI・563A・2865・TQQYといったNASDAQ100系と、NVDY・NVYYという個別株オプション系が中心です。
つまり、今週プラスだった指数のうち、最も上がらなかった部分を集中的に握っていた形になります。
さらに構造的な問題が重なりました。カバードコール戦略は、保有株のコールオプションを売ってプレミアム(オプション料)を受け取る代わりに、値上がり益の上限を手放す仕組みです。
マイクロソフト+8%やアマゾン+10%のような決算ギャップアップは、コールを売っている側にとっては「売り渡した上値」でしかありません。
逆に、アップルやメタの下落は受け取ったプレミアム分しか緩衝できず、ほぼそのまま基準価額に響きます。決算をまたぐ週は、カバードコールにとって「上は取れず、下は食らう」最悪の非対称が発生するのです。
指数がプラスで終わった週に私の口座が沈んだ最大の理由が、ここにあります。
為替については、正直に「わからない」と書いておきます。利上げを主張する反対票が3つ出るタカ派寄りのFOMCだったにもかかわらず、ドル円は円高方向へ三円以上も動きました。
金利差だけで為替を説明しようとすると、こういう週に必ず足をすくわれます。相関アラートでは、ハイイールド債スプレッドと新規失業保険申請の逆相関がz=-4.00まで強まっており、市場の内側でも通常とは違う力が働いていた形跡があります。
データソース:– jp.investing.com(各指数・為替・金利・商品)– FRB(FOMC声明)– FRB(議長就任発表)– TradingKey(決算スコアカード)– CNBC(Apple・Amazon決算)– analysis-lab DB集計(市場局面カード・インターマーケット週次)
祭りの外で鳴った10発──1,038円の配当着弾記録

| 着弾日 | ティッカー | 受取額(ドル) | 受取額(円) | 魂の叫び |
|---|---|---|---|---|
| 2026-07-27 | 453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場) | — | 78 | 国債使い、円建てで静かに一発 |
| 2026-07-27 | AIPI(AI関連株カバードコールETF) | 0.68 | 110 | 暴れ馬、祭りの日も律儀に払う |
| 2026-07-27 | CEPI(暗号資産関連株カバードコールETF) | 0.94 | 153 | 混沌の覇者、今週も入金額トップ級 |
| 2026-07-27 | FEPI(ハイテク大手カバードコールETF) | 0.44 | 72 | 三悪魔、決算week中の義理立て |
| 2026-07-27 | QQQI(NASDAQ100オプション連動高配当ETF) | 1.37 | 223 | 安定感担当、堂々の最大着弾 |
| 2026-07-27 | ULTY(高ボラ銘柄群オプションETF) | 0.69 | 112 | 吐血しながら112円を吐き出す |
| 2026-07-28 | NVDY(エヌビディア単一株オプションETF) | 0.62 | 102 | 最下位でも払う、それが主役 |
| 2026-07-29 | NVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF) | 0.50 | 82 | 含み損の主犯、今週も82円 |
| 2026-07-29 | TQQY(TQQQ・3倍レバレッジオプションETF) | 0.48 | 79 | 死神の施し、レバ3倍の代償 |
| 2026-07-29 | YSPY(S&P500オプションETF) | 0.17 | 27 | 偽りの安全、小銭でも参戦 |
| 合計 | — | 5.89ドル | 1,038円 | — |
今週の配当着弾は10発、合計5.89ドル・1,038円でした。前週(W30)の890円から148円の増加で、着弾回数も9発から10発へ増えています。相場が荒れた週に入金が増えるという、この実験でおなじみの逆説がまた顔を出しました。
金額の首位はQQQI(NASDAQ100オプション連動高配当ETF)の223円です。月次組の一発が、週次組の小銭を軽々と上回りました。
2位はCEPI(暗号資産関連株カバードコールETF)の153円で、ビットコインが週間-2.01%と沈む中でも入金だけは崩れていません。
着弾日の分布にも注目してください。10発のうち6発が7月27日の月曜に集中しています。決算祭りが始まる前に、ETFの分配金だけは静かに口座へ届いていたことになります。
市場がマイクロソフトやメタの数字に一喜一憂している間、私の口座では別の時計が動いていたわけです。
特筆すべきは、今週ランキング最下位に沈んだ銘柄ほど配当を届けている点です。NVDY(エヌビディア単一株オプションETF)が102円、NVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF)が82円、TQQY(TQQQ・3倍レバレッジオプションETF)が79円を届けました。
価格を最も削った銘柄が、同じ週に現金を運んでくる。この構図こそカバードコール戦略の本体であり、私がこの実験を続けている理由そのものです。焼け石に水と笑われようと、水は確かに落ちています。
DOGGの孤高とNVDYの断末魔──銘柄別損益率ランキング

| 順位 | ティッカー | 先週損益率 | 今週損益率 | 週間騰落率 | 魂の叫び |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | DOGG(ダウの犬戦略ETF) | +4.62% | +5.34% | +0.72pp | 孤軍奮闘、ダウ高で首位奪還 |
| 2 | QQQI(NASDAQ100オプション連動高配当ETF) | -2.78% | -2.21% | +0.57pp | 最下位からの生還、安定感の面目 |
| 3 | AIPI(AI関連株カバードコールETF) | -16.14% | -15.61% | +0.54pp | 暴れ馬、AI決算の熱を少し拾う |
| 4 | JEPQ(ナスダック100連動・ELN活用型プレミアムインカムETF) | +3.61% | +4.13% | +0.52pp | 前座、地味にプラス圏を拡大 |
| 5 | YSPY(S&P500オプションETF) | -19.53% | -19.34% | +0.19pp | 偽りの安全、微かな上向き |
| 6 | IGLD(金価格連動カバードコールETF) | -18.64% | -18.48% | +0.16pp | 金の盾、金高で薄く光る |
| 7 | FEPI(ハイテク大手カバードコールETF) | -14.62% | -14.47% | +0.15pp | 三悪魔、辛うじて踏みとどまる |
| 8 | 2865(NASDAQ100カバードコールETF・東証上場・カバー率100%) | +2.09% | +1.28% | -0.80pp | 守備の番人、円高に削られる |
| 9 | TQQY(TQQQ・3倍レバレッジオプションETF) | -23.25% | -24.10% | -0.85pp | 3倍レバの死神、底を掘り続ける |
| 10 | ULTY(高ボラ銘柄群オプションETF) | -32.08% | -33.21% | -1.12pp | 吐血銘柄、出血は止まらず |
| 11 | 453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場) | +0.33% | -1.06% | -1.39pp | 国債使い、金利と円高の二重刺し |
| 12 | CEPI(暗号資産関連株カバードコールETF) | -9.71% | -11.23% | -1.53pp | 混沌の覇者、ビットコイン安に沈む |
| 13 | TLTX(米国長期国債カバードコールETF) | -6.67% | -8.29% | -1.61pp | 金利の刃、また深く抉られる |
| 14 | NVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF) | -34.31% | -35.96% | -1.65pp | 含み損の主犯、最深部を更新 |
| 15 | 563A(NASDAQ100日次カバードコールETF・カバー率約10%・東証上場) | +3.41% | +1.37% | -2.05pp | 国産新型兵器、上値追随の代償 |
| 16 | NVDY(エヌビディア単一株オプションETF) | -14.41% | -17.62% | -3.21pp | 主役の断末魔、単独で3ポイント超の陥落 |
今週の首位はDOGG(ダウの犬戦略ETF)の+0.72ppでした。NYダウが週間+1.04%と堅調だったことが、そのまま追い風になっています。
ハイテク決算の熱狂とは無縁の、地味な高配当銘柄群が最後に勝ち残る。ディフェンシブの真価が出た一週間です。
2位のQQQI(+0.57pp)は、前週に週間-2.73ppで最下位に沈んだ銘柄でした。そこからの生還で、「意地のハイテク」という評価をかろうじて守っています。
3位のAIPI(AI関連株カバードコールETF・+0.54pp)、4位のJEPQ(ナスダック100連動・ELN活用型プレミアムインカムETF・+0.52pp)です。NASDAQ100系の主力がそろって上位に並んだのも今週の特徴です。
改善したのは16銘柄中7銘柄で、9銘柄が悪化しました。指数がプラスで終わった週としては、明らかに分が悪い内訳です。
最下位はNVDY(エヌビディア単一株オプションETF)の-3.21ppでした。前週-14.41%から今週-17.62%へ、単独で3ポイント超の陥落です。
14位のNVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF・-1.65pp)とあわせ、エヌビディア関連の2銘柄がそろって下位に沈みました。
決算を発表したメガキャップに資金が選別的に向かった結果、決算発表を控える銘柄が置き去りにされた面があるとみられます。ただし、この点は一次情報での裏付けが取れていないため、断定はしません。
確かなのは、単一株オプション型は原資産が転べば逃げ場がないという構造だけです。
もう一つ、見逃してはいけない共通点があります。東証上場の円建て3銘柄が、そろってマイナス圏に沈みました。8位の2865(-0.80pp)、11位の453A(-1.39pp)、15位の563A(-2.05pp)です。
理由は明快で、円高です。円建てETFは、原資産がドル建て資産である以上、円が強くなれば基準価額が目減りします。
とりわけ563Aはカバー率約10%でNASDAQ100の値動きにほぼ追随する設計のため、円高の影響も素直に受けました。453Aに至っては、米長期金利の上昇と円高のダブルパンチです。
つまり今週のランキングは、ドル建て銘柄が「運用の実力」を、東証3銘柄が「運用+為替」を映す二層構造になっていました。この分離こそ、今週のCMA考察の入口になります。
円高という刺客──血の決算報告とポートフォリオ全景

| 項目 | 金額(ドル) | 金額(円・為替込み) |
|---|---|---|
| 投資元本 | 1,970.35ドル | 310,206円 |
| 株式時価総額合計 | 1,730.13ドル | 277,137円 |
| 株式評価損益合計 | -240.22ドル | -33,068円 |
| 株式評価損益率 | -10.66% | -12.19% |
| 累計配当金総額 | +213.98ドル(元本比+10.86%) | +33,825円 |
| トータルリターン | -26.24ドル | +757円 |
| トータルリターン率 | +0.24% | -1.33% |
※為替レート:1ドル=160.18円(2026年7月31日時点)
今週の通信簿を、私が実際に体感する円建て(為替込み)を主役に読み解きます。円建てのトータルリターンは+0.24%(+757円)でした。
元本310,206円に対し、株式評価損-33,068円と累計配当33,825円を合算した実額です。
株式評価損益は-33,068円、率にして-10.66%まで沈みました。指数が軒並みプラスで終わった週に、ここまで赤を深くしたという事実は、素直に重いものがあります。
ここで、冒頭に書いた「矛盾が二重」の意味を明かします。ドル建ての評価損益率は-12.19%、円建ては-10.66%です。円建てのほうが1.53ポイントも傷が浅い。円が三円以上強くなった週なのに、円換算するとむしろマシに見えるのです。
からくりは元本の取得為替にあります。投資元本310,206円を1,970.35ドルで割ると、平均取得レートは約157.4円になります。
現在の160.18円は、この平均取得レートよりまだ2.8円ほど円安です。だから円換算した瞬間に、含み損が薄まって見えるわけです。
言い換えれば、私の口座には「円安の貯金」が2.8円分だけ残っています。先週の163.83円時点では6.4円分あった貯金が、たった一週間で半分以下に削られました。
この貯金が今後も縮み続けるとは限りませんが、現時点では確実に薄くなっています。この貯金が尽きたとき、円建ての数字はドル建てより悪く見え始めます。
トータルリターンで見ると景色はさらに一変します。ドル建て-1.33%はまだ赤字ですが、円建ては+0.24%とかろうじてプラスに転じました。この1.57ポイントの差が、赤字と黒字の分かれ目そのものです。
ただしこの差額も運用の成果ではありません。円で買ってドルの資産を持っているという、それだけの事実が生んだ数字です。
為替はカバードコールの味方か刺客か──CMA週替わり考察

結論から言います。今週の私の口座で起きたことは、「カバードコールの上値切り」と「為替の巻き戻し」という二つの減点が同時に来たというだけの、極めて説明のつく現象です。
今週の教育テーマとして、為替とカバードコールETFの関係を正面から扱います。
まず前提の整理です。海外上場のカバードコールETFに円で投資すると、損益は二階建てになります。一階はドル建ての基準価額と分配金、つまり運用の実力です。
二階はドル円の為替レート、つまり運用とは一切関係のない外部要因です。私たちが証券アプリで見ている円建ての数字は、この二階建ての合計値でしかありません。
今週の数字で、この二階を分解してみます。ドル建ての評価損益率は前週-11.61%から今週-12.19%へ、0.58ポイントの悪化でした。ところが円建ては前週-8.26%から今週-10.66%へ、2.40ポイントも悪化しています。
差し引き1.82ポイント分は、運用ではなく為替が奪った損失です。つまり今週の円建ての痛みは、その大半が円高由来でした。決算祭りで削られたのは0.58ポイント、円の巻き戻しで削られたのが1.82ポイント。犯人の配分を間違えると、次に打つ手も間違えます。
次に、為替とカバードコールの相性という論点に踏み込みます。ここには意外な非対称があります。
カバードコールETFの分配金は、原資産のボラティリティ(価格変動の大きさ)が高いほど厚くなります。決算weekのようにボラティリティが上がる局面では、オプションプレミアムが膨らみ、分配金原資は増えやすいのです。
今週の着弾が10発1,038円と前週より増えたのは、この効果と無縁ではないでしょう。
一方で、この分配金はドルで支払われます。円高が進めば、同じ1ドルの分配金が円に換算された瞬間に目減りします。
ボラティリティ上昇でプレミアムが増える追い風と、円高で分配金の価値が削られる向かい風が、同じ週に同時に吹く構図です。今週はまさに追い風と向かい風の両方が起きました。
CMA(証券アナリスト)として、留意点を4つ明記しておきます。
第一に、為替差益は「実現していない利益」です。今週円建ての傷が浅く見えたのは、平均取得レート157.4円と現在160.18円の差、わずか2.8円が生んだ幻に近いものです。
この差はドル円が157.4円を割った瞬間に消え、そこから先は円建てのほうがドル建てより悪く見え始めます。
第二に、為替の方向は個人には読めません。今週のFOMCは9対3で、反対票は全て利上げを求めるタカ派でした。金利差の理屈だけなら円安に振れてもおかしくない材料です。
それでもドル円は三円以上の円高に動きました。理屈で読める部分は、思っているより小さいということです。
第三に、あなたも「円建てなら為替リスクを避けられる」と思っていませんでしたか。それは誤りです。今週、東証上場の2865・563A・453Aは3銘柄そろってマイナスに沈みました。
円で買えて円で値段が付いていても、中身がドル建て資産である以上、為替は必ず基準価額を通じて効いてきます。「円建ての仮面」に騙されてはいけません。
第四に、それでも為替は分散の対象になります。私のポートフォリオはドル建て13銘柄と円建て3銘柄で構成されていますが、この配分自体が通貨のバランスを決めています。
そして高頻度で着弾する分配金は、受け取るたびに異なる為替レートで円に換算されます。結果として、分配金の積み上げは為替レートの平準化そのものになります。
一度に円転する集中リスクを、週次・月次の入金が自動的にならしてくれるわけです。ここは、超高配当カバードコールETF戦略が持つ、あまり語られない副次的な利点だと私は考えています。
最後に、今週の教訓を一行にまとめます。カバードコールは相場の上下を分配金に変える装置ですが、為替を分配金に変える装置ではありません。
為替は最後まで、自分ではどうにもならない外部変数として残り続けます。だからこそ私は、自分で積み上げられる配当という一点だけを、淡々と数え続けます。
なお、カバードコール・オプションインカム型ETFの分配金には、運用益だけでなく元本の一部払い戻し(ROC=Return of Capital)が含まれる場合があります。運用会社が公表するSection 19(a)通知(直近判明分)で確認すると、今週配当が着弾した10銘柄のうち6銘柄が、分配金の大半をROCが占めていました(453Aは東証上場のためSection 19(a)の対象外です)。
AIPI・CEPI・FEPIはROC100%、TQQYはROC98.22%、QQQIはROC98.0%、YSPYはROC90.25%でした。いずれも受け取った配当のほとんどが運用益ではなく元本の払い戻しです。
ROC比率が高い銘柄ほど長期的には基準価額そのものが目減りしていく構造のため、「配当利回りが高い=儲かっている」と単純に読むのは危険です。
分配金の中身を疑う視点は、超高配当カバードコールETFと付き合ううえで必須のリテラシーだと考えています。NVYYは31.56%でした。ULTY・NVDYは直近確認分で低ROCでしたが、月によって変動するため継続的な確認が必要です。
本記事は筆者個人の運用記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 カバードコールETFを含む本稿で扱う商品はいずれも元本が保証されておらず、価格変動により元本割れする可能性があります。本記事で示す過去の運用実績(配当実績・評価損益等)は、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
結論

聞いてください!!
指数は全部プラスだった。ニュースは決算祭りで盛り上がっていた。それなのに自分の口座だけが赤い。そんな夜、あなたは「自分の選び方が間違っていたのか」と自分を責めませんでしたか。
責めなくていい。今週の答えは、すでに数字の中に出ています。カバードコールは、上がった分を売り渡す代わりに現金を受け取る戦略です。
マイクロソフトが+8%、アマゾンが+10%と跳ねた週に取り分が乏しかったのは、失敗ではなく設計どおりの動作です。あなたは負けたのではなく、最初から上値と引き換えに現金を選んでいたのです。
そして円高。円建ての悪化2.40ポイントのうち、1.82ポイントは為替が持っていきました。運用の腕とは何の関係もない部分です。
ここを混ぜて考えるから、必要以上に自分を責めることになります。犯人は二人いた。片方は構造、もう片方は為替。どちらも、あなたの銘柄選定の失敗ではありません。
正直に言えば、私の口座は評価損-33,068円という深手を負っています。それでも配当の積み上げ33,825円が土俵際で支え、トータルリターンは+757円とかろうじてプラスを死守しました。誇れる戦績ではなく、薄氷の踏ん張りに過ぎません。
円安の貯金も残り2.8円まで削られました。それでも今週、配当は10発・1,038円が着弾しています。価格を最も削ったNVDYが102円を、NVYYが82円を、TQQYが79円を運んできました。
覚えておいてください。市場が毎日書き換える評価損益は、まだ確定していない「意見」です。口座に着弾した1,038円は、誰にも取り消せない「事実」です。意見に振り回されて事実を手放すのが、この戦略でいちばん高くつく失敗です。
だからあなたに伝えたいのは、たった1つ。祭りの外で鳴っている入金の音を、指数の歓声にかき消させないでください。
円安の貯金2.8円が尽きたとき、この口座がどう見えるか。それも含めて、来週も見届けます。
今夜も船橋の台所で、ぬるくなったストロングゼロを片手に、私はその音を数えています。人体実験は、まだ続く。
よくある質問(FAQ)
Q1. S&P500などの主要指数が上昇しているのに保有銘柄の評価損が拡大した理由は何ですか。
S&P500などの主要指数が上昇しているにもかかわらず、保有銘柄の評価損が拡大する理由はいくつか考えられます。
まず、投資信託やETFは、値動きのある有価証券等に投資するため、基準価額は変動します。したがって、投資元本が保証されているわけではなく、これを割り込むことがあります。
具体的な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- カバードコール戦略の特性:カバードコール戦略を採用しているファンドの場合、原資産価格が上昇しても値上がり益が限定されるため、原資産のみに投資した場合に比べて投資成果が劣後する可能性があります。また、戦略を再構築する中で、原資産価格が下落し、その後当初の水準程度まで回復しても、基準価額の回復は原資産価格に比べて緩やかになる可能性があります。オプションプレミアムの水準は、株価指数水準や株価指数変動率(ボラティリティ)などによって変動し、コール・オプションの評価値が変動することで損失を被る場合があります。
- 株価の変動:株価は、政治・経済情勢、発行企業の業績、市場の需給などを反映して変動します。組入銘柄の株価が下落した場合には、基準価額が下落する要因となり、投資元本を割り込むことがあります。特に、特定の銘柄への組入比率が高い場合、より多数の銘柄に分散投資した場合に比べて基準価額の変動が大きくなる可能性があります。
- 為替リスク:外貨建て資産の円換算価値は、資産自体の価格変動のほか、当該外貨の円に対する為替レートの変動の影響を受けます。為替レートが円高方向に進んだ場合には、基準価額が下落する要因となり、投資元本を割り込むことがあります。為替ヘッジを行わないファンドの場合、基準価額は為替レートの変動の影響を直接受けます。
- 市場リスク:特定の投資、またはファンドの株式全般の価値が下落するリスクです。証券は、経済、政治、規制要因、金利の変化、証券価格のトレンドなど、現実または認識された不利な要因によって引き起こされる市場の変動に左右されます。
- 流動性リスク:解約資金を賄うために組入証券を売却する際、市場規模や市場動向によっては市場実勢を押し下げ、当初期待される価格で売却できないことがあります。この場合、基準価額が下落する要因となります。
- レバレッジリスク:レバレッジを利用しているファンドの場合、損失が当初投資額を超える可能性があり、損失の速度が加速する可能性があります。
これらの要因は、S&P500などの主要指数が上昇している状況下でも、個別の保有銘柄やファンドの基準価額が下落する原因となり得ます。
出典:グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF(563A)簡易目論見書、グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF(2865)簡易目論見書、FT Cboe Vest DJIA Dogs 10 Target Income ETF(DOGG)Prospectus
Q2. カバードコール戦略において「上は取れず下は食らう」とはどのような仕組みのことですか。
カバードコール戦略における「上は取れず下は食らう」とは、原資産価格が上昇した場合の利益が限定される一方で、原資産価格が下落した場合には損失を被る可能性があるという特性を指します。
具体的には以下の仕組みです。
- 上は取れない(利益が限定される):カバードコール戦略では、保有している原資産(株式など)に対してコールオプションを売却し、オプションプレミアム(権利行使料)を受け取ります。しかし、原資産の価格がコールオプションの権利行使価格を上回って上昇した場合、オプションの買い手は権利を行使し、投資家は原資産を権利行使価格で売却しなければなりません。このため、原資産価格が権利行使価格を超えてどれだけ上昇しても、投資家が得られる利益は、オプションプレミアムと権利行使価格までの値上がり益に限定されます。
- 下は食らう(損失を被る可能性がある):原資産価格が下落した場合でも、オプションプレミアムを受け取っているため、その分だけ損失を軽減できます。しかし、原資産価格が大きく下落した場合、受け取ったオプションプレミアムだけでは損失を相殺しきれず、原資産の価格下落による損失を被ることになります。
この特性から、カバードコール戦略は、原資産価格が大きく上昇する局面では利益を取りこぼし、大きく下落する局面では損失を被る可能性があるため、「上は取れず下は食らう」と表現されることがあります。
出典:YieldMax Ultra Option Income Strategy ETF(ULTY)Prospectus、FT Cboe Vest Gold Strategy Target Income ETF(IGLD)Prospectus、グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF(563A)簡易目論見書

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