経済指標の中で重要な役割を果たす米PPI(Producer Price Index、卸売物価指数)。これは、企業が購入する商品やサービスの価格変動を測定する指標であり、インフレーションの先行指標として広く利用されています。
消費者物価指数(CPI)と並び、経済の健全性を測るための重要なデータポイントです。この記事では、米PPIの基本概念、その影響、および最新の動向について詳しく解説します。
最新のPPIデータが示す経済の変動要因を理解することで、投資戦略の見直しや経済動向の予測に役立ててください。
PPI(生産者物価指数)の結果
2024年7月の生産者物価指数(PPI)は、季節調整済みで0.1%増加したと、米国労働統計局が報告しました。最終需要価格は6月に0.2%上昇し、5月には変動がありませんでした。季節調整されていないベースで見ると、最終需要の指数は7月終了時点で前年比2.2%上昇しました。
7月の最終需要指数の上昇は、最終需要財の価格が0.6%上昇したことに起因しています。一方、最終需要サービスの指数は0.2%減少しました。
食品、エネルギー、および貿易サービスを除いた最終需要の価格は、6月の0.1%の増加に続いて、7月には0.3%上昇しました。7月終了時点の過去12ヶ月間で、食品、エネルギー、および貿易サービスを除いた最終需要指数は3.3%上昇しました。
生産者物価指数(PPI)
- 前月比:0.1%(予想:0.2%) 前回:0.2%
- 前年比:2.2%(予想:2.3%) 前回:2.7%
生産者物価指数(PPI)食品・エネルギー除くコア
- コア前月比:0.0%(予想:0.2%) 前回:0.3%
- コア前年比:2.4%(予想:2.6%) 前回:3.0%
最終需要
最終需要財: 最終需要財の価格は7月に0.6%上昇し、2月の1.1%の増加以来、最大の上昇となりました。7月の広範な増加の約60%は、1.9%上昇した最終需要エネルギーの指数に起因しています。食品およびエネルギーを除いた最終需要財と最終需要食品の価格も、それぞれ0.2%と0.6%上昇しました。
製品詳細: 7月の最終需要財指数の上昇の4分の1は、ガソリン価格が2.8%上昇したことに起因しています。また、ディーゼル燃料、肉類、ジェット燃料、新鮮な果物とメロン、基本的な有機化学品の価格も上昇しました。反対に、電力価格は1.1%減少しました。新鮮および乾燥野菜や製鉄所製品の指数も下落しました。(表2参照)
最終需要サービス: 最終需要サービスの価格は7月に0.2%減少し、2023年3月に0.2%下落して以来、最大の減少となりました。7月の減少は、1.3%下落した最終需要貿易サービスの指数に起因します。(貿易指数は卸売業者や小売業者が受け取るマージンの変動を測定します。)対照的に、貿易、運輸、倉庫保管を除いた最終需要サービスと、最終需要運輸および倉庫保管サービスの価格はそれぞれ0.3%および0.4%上昇しました。
製品詳細: 最終需要サービス価格の7月の減少を主導したのは、機械および車両卸売のマージンが4.1%減少したことです。また、食品およびアルコール小売、自動車小売(部分的)、自動車燃料および潤滑油小売、デスクトップおよびポータブルデバイス向けアプリケーションソフトウェアの出版、および医師のケアも減少しました。逆に、ポートフォリオ管理の価格は2.3%上昇しました。化学品および関連製品の卸売や、貨物トラック輸送の指数も上昇しました。
PPI(生産者物価指数)の最終需要財は、製造業者や生産者が最終消費者やビジネス向けに生産する物理的な商品を指します。これにはさまざまな種類の製品が含まれ、一般的には以下のように分類されます。
- 食品(Food): 農産物、加工食品、飲料など、食品関連の商品。
- エネルギー(Energy): ガソリン、天然ガス、電力などのエネルギー関連製品。
- 食品およびエネルギーを除く財(Goods less foods and energy): これはコア商品とも呼ばれ、食品やエネルギー以外の製品を含みます。例えば、自動車、家電製品、衣類、機械類、化学製品などが含まれます。
生産者物価指数(PPI)グラフ
7月のPPIは大幅に下落。
多くのエコノミストが注目する、食品・エネルギー・貿易サービスを除いたPPIは前月比で0.3%上昇し、3カ月ぶりの大きな上昇率となりました。前年同月比では3.3%上昇しています。
個人消費支出(PCE)価格指数の算出に用いられるPPIのカテゴリーは、全体的に伸びが抑えられました。このPCE価格指数は、米国の金融当局がインフレ目標の基準としている重要な指標です。
これらのカテゴリーの中では、診療費や航空運賃が低下し、外来医療費は変わらずでした。ポートフォリオ運用サービスは前月比で2.3%上昇しました。7月のPCE価格指数は今月30日に発表される予定です。
また、生産過程の比較的早い段階での価格を反映する中間財のコストは、前月比で0.7%上昇し、これも2月以来の大きな伸びです。ディーゼル価格の上昇が主な要因となりました。
サービスの最終需要が弱い理由の一つには、6月に大幅に拡大した利益率の反動が影響しています。
変動が大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは、前月と比べて変わらず、市場予想の0.2%の上昇を下回りました。
6月には0.3%の上昇を記録していましたが、前年同月比では2.4%の上昇となり、予想の2.6%や6月の3%から減少しました。
サービス価格は前月比で0.2%低下しました。これは機械や自動車の卸売業者の利益が減少したためです。一方で、財の価格は0.6%上昇し、これは2月以来の大きな伸びとなりました。特に食品やガソリン価格の上昇が全体の伸びを支えました。
CPIやPCEデフレーターの下落に追いつくように一気にPPIが下落しましたね。
この下落は今月のみの現象なのか。それとも8月の発表で改定され、今年5月のときのように速報値が下落しているものの、確定値で上昇しているのか?気になるところです。
コロナ以降のアメリカの経済市場は改定値が経済状態が、悪い方向へ変化する傾向が高いので個人的に確定値が出るまで数値が信用できません。。。
FEBウォッチ
9月の利下げは当たり前のように0.5%になりましたね。
このままだと、0.5%と2段階も利下げしても市場は当たり前のようにとらえて株価や為替の影響は限定的になりそう。
まあ、今夜発表されるCPIでまた変わる可能性はありますが、CPIの前年比の推移を見る限り、市場予想とかけ離れていなさそうだから、Febウォッチの数値はそれほどかわと考えています。
出所:https://www.cmegroup.com/ja/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html
GDP NowのGDP予想
2024年第3四半期の実質GDP成長率(季節調整済み年率)のGDPNowモデル推定値は、8月8日時点で2.9%であったので、8月6日から四捨五入後の値は変わりませんでした。
今朝発表された米国国勢調査局の卸売業貿易データを受け、第3四半期の実質民間国内総投資成長率の現在の予測は、2.8%から2.9%に上昇しました。
出所:https://www.atlantafed.org/cqer/research/gdpnow
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