ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
2026年8月初旬の船橋は、夕立の当たり月です。今日も夕方に一雨きて、アスファルトから湯気が立ちのぼりました。濡れた歩道橋の上から東の空を見ると、薄い虹がかかっています。きれいだなと思う一方で、頭の中はある「化け物ETF」のことでいっぱいでした。
申し遅れました。私は証券アナリスト(CMA)とFP資格を持つ兼業ブロガーです。超高配当カバードコールETFを、1年間自腹で人体実験しています。
今回の主役はCEPI(暗号資産関連株を対象とする個別株カバードコールETF)です。私は5株を保有していて、2026年5月末からは毎週分配金が届いています。直近の入金は税引後で週0.97ドル、日本円で157円ほどでした。
このCEPI、調べれば調べるほど「規格外」の数字が出てきます。実測の分配利回りは47.8%。2025年は株価が3割近く下がったのに、分配込みではプラスでした。
そして19a-1通知(分配金の内訳を知らせる法定書面)を開くと、6月の分配は100%が元本の払い戻しです。何がどうなっているのか。保有者として確認した事実を、命懸けの講義でお届けします。
化け物の履歴書――CEPIとは何者か

CEPIの正式名称は「REX Crypto Equity Premium Income ETF」です。オプション戦略に強い米国REX Sharesが手掛け、2024年12月にナスダックへ上場しました。経費率は0.85%、純資産総額は約1.1億ドルです(2026年7月16日時点・筆者確認)。同じREX社のAIPIやFEPIと比べると、規模はまだ小ぶりな弟分です。
投資対象は「BITA Crypto Assets & Digital Payments Index」の構成銘柄です。暗号資産(仮想通貨)に関わる米国上場企業25銘柄で構成されます。マイニング、取引所、ブロックチェーン開発などの「暗号資産リーダー」が80%。
決済プラットフォームなどの「デジタル決済リーダー」が20%という設計です。比率は毎月調整され、銘柄は四半期ごとに入れ替わる仕組みです(BITA公式メソドロジーおよびREX開示資料より・2026年7月17日確認)。
収益の心臓部は、カバードコール戦略です。カバードコールとは、株式を保有したままコールオプションを売る手法です。コールオプションとは、株を決まった価格で買える権利のことです。権利の買い手が払う代金=プレミアム(オプション売却収入)が、分配金の主な原資になります。
ここで重要なのは、CEPIが個別株ごとにコールを売る設計だという点です。暗号資産関連株は、米国市場でも指折りの暴れ馬です。オプションの値段は変動の激しさに比例して高くなります。つまり暴れ馬の背中に乗り、火の粉のようなプレミアムを毎週集めるわけです。荒業こそがCEPIの正体です。
実測47.8%――分配金の推移と週次化

数字を確認しましょう。CEPIは2025年の1年間で、1口あたり合計17.10ドルを分配しました。2026年も7月15日までに合計6.81ドルを支払っています(いずれも筆者が2026年7月17日にyfinanceで照合した実績値)。
| 権利落ち日 | 分配金(ドル) | 頻度 |
|---|---|---|
| 2026年1月27日 | 1.252 | 月次 |
| 2026年2月24日 | 1.114 | 月次 |
| 2026年3月24日 | 1.064 | 月次 |
| 2026年4月28日 | 1.171 | 月次(最終) |
| 2026年5月27日 | 0.278 | 週次(初回) |
| 2026年6月4回合計 | 1.132 | 週次 |
| 2026年7月(15日まで3回) | 0.801 | 週次 |
運用会社のREX Sharesは2026年5月20日、CEPIを含む3ファンドの分配を月次から週次へ移行すると発表しました。適用は5月28日支払分からです。月1.1ドル前後だった分配が週0.26〜0.29ドル程度に刻まれ、年間水準はおおむね維持されています。
直近12ヶ月の分配合計は15.08ドル。2026年7月16日の終値31.53ドルで割ると、実績利回りは47.8%です。2年ちょっとで元本相当を配り切るペースであり、もはや金融商品の顔をした何かです(白目)。私の5株では、毎週0.97〜0.99ドル、約157〜160円が着弾しています。
2025年の怪――株価3割下落でも、分配込みプラス

CEPIの2025年は、カバードコールという戦略の説明書のような1年でした。株価そのものは47.11ドルから33.67ドルへ、28.5%下落しています(筆者実測)。暗号資産相場の乱高下を、まともに浴びた結果です。
ところが分配金をすべて再投資したと仮定すると、2025年の成績は約プラス9.4%になります(調整後株価から筆者概算)。株価の下落分を、年間17.10ドルの分配が丸ごと埋めてお釣りが出た計算です。変動の激しさがプレミアム収入に化ける「ボラティリティの収穫」が、教科書どおりに機能しました。
ただし、この結果をもって「下落に強い」と結論するのは早計です。プレミアムのクッションには厚みの限界があります。相場が一方向に崩れ続ければ、クッションを貫通して元本は削れます。
実際、この1年間の株価は23.8%下落しており、分配込みでも約14.7%のプラスにとどまります(2026年7月16日時点・筆者実測)。同じ期間のQQQ(ナスダック100連動ETF)は約26.3%伸びていますから、上昇相場では明確に見劣りします。上値を売り渡すという構造の代金は、CEPIでもきっちり請求されているのです。
中身が別物に――クリプトETFがAIインフラETFへ

保有者として一番驚いたのは、この2年でCEPIの中身がほぼ別物になっていたことです。
2025年春の上位銘柄は、ロビンフッド(HOOD)、マイクロストラテジー(MSTR)、コインベース(COIN)といった顔ぶれでした。暗号資産の取引や保有を本業とする、いかにも「クリプトETF」らしい構成です。
ところが2026年半ばの上位には、マイクロン(MU)、AMD、アイレン(IREN)、アプライド・デジタル(APLD)が並びます。半導体メモリーとAIデータセンターの銘柄群です(SECに提出された半期報告書=2025年4月30日時点と、運用会社の保有開示=2026年6月初旬時点の比較より)。
背景には、マイニング業界の地殻変動があります。ビットコインを掘っていた企業が、保有する電力インフラとデータセンターをAI計算用に転用し始めたのです。指数はルールに従って時価総額の変化を反映した結果、「仮想通貨のETF」が「AIインフラのETF」へ静かに変貌しました。
この変化は、良し悪しの前に「認識のズレ」として危険です。ビットコインの値動きを想定して買った人は、いつの間にか半導体サイクルに賭けています。
逆にAIブームの分散先のつもりなら、暗号資産の規制リスクも同時に抱えています。自分が何に投資しているかは、買った日ではなく今日の中身で決まります。四半期ごとの構成確認は、CEPI保有者の必修科目です。
19a-1の答え合わせ――こちらも「元本100%」

さて、47.8%という利回りの原資は本当に「稼ぎ」なのでしょうか。答え合わせの書面が19a-1通知です。米国のファンドは分配のたびに、利益からの分配か元本の払い戻し(ROC:Return of Capital)かの内訳を開示します。
私はCEPIの2026年6月分の19a-1通知を確認しました(2026年7月17日・REX Shares公式サイト掲載のPDF)。結果はAIPIと同じでした。6月の週次分配4回は、いずれも推定100%がROCです。オプションで稼いだ現金が、会計上は保有株の含み損と相殺され、元本の払い戻しに分類される構図です。
ROCは即座に「詐欺的」という意味ではありません。米国では課税繰り延べの利点として語られる面もあります。しかし元本を配り続ければ、基準価額は構造的に痩せていきます。
2025年に株価が3割近く下がった背景には、相場そのものの下落に加えて、元本を配る構造も横たわっています。分配金の再投資を怠ると、痩せた元本と減っていく分配額だけが残るリスクがあるのです。
特定口座の落とし穴――日本の保有者だけの宿題

ROCには、日本の投資家に固有の実務問題が付いてきます。詳しくはAIPIの記事でも解説しましたが、要点を繰り返します。
米国ETFのROCは、日本の税務上「資本の払い戻し」と判定され得ます。その場合、特定口座内で取得単価の修正と「みなし譲渡」の計算が発生し得ます。1株も売っていないのに、譲渡益課税の対象が生まれ得るのです。
さらに国内証券会社のシステム対応が追いつかない場合、該当取引が特定口座の計算から除外される可能性があります。最悪の場合、投資家自身による確定申告が必要になるリスクまであります。
なお私の口座では、2026年7月時点の週次分配は通常の配当と同じ扱いで着弾しています。税引前1.35ドル相当に対して受取0.97ドルですから、外国税と国内税でおよそ28%が源泉徴収された計算です。
ROCとしての処理が年間取引報告書にどう反映されるかは、今後の観察課題です。保有中の方は、ご自身の証券会社の対応を一度確認しておくと安心です。
対処法――暴れ馬に乗るなら手綱の長さを決める

事実を踏まえて、実務的な対処を整理します。
- 19a-1通知を毎月確認する:REX Shares公式サイトの資料ページで公開されます。ROC比率の推移は、ファンドの健康診断書です。
- 保有はサテライト枠の、さらに端に置く:暗号資産×カバードコールは、リスクの二階建てです。失っても実験と笑える金額に限定してください。私の5株も缶コーヒー予算の実験枠です。
- 中身の変化を四半期ごとに見る:クリプトETFのつもりが半導体ETFになっていないか。構成上位10銘柄の確認を習慣にしてください。
- 分配金の一部は再投資に回す:基準価額の目減りを補正しないと、雪だるまは溶ける一方です。
- 申告リスクに備えて書類を保管する:19a-1と年間取引報告書は、確定申告に備えてセットで保存してください。
私自身の結論は「5株のまま、増やさず減らさず観察継続」です。毎週157円の入金は愉快ですし、2025年のような下落相場での粘りは実際に見事でした。それでも中身が元本の払い戻しで、対象テーマまで変貌し続ける商品を、資産の柱にはできません。人柱の柱は、柱にしないから面白いのです。
結論――夕立と虹と、週157円

夕立あがりの虹は、10分もせずに消えました。空に架かる派手な光は、雨粒という「元手」が尽きれば消えます。利回り47.8%という虹の元手が何なのか、19a-1通知は教えてくれました。あの美しい数字は、あなたの雨粒で描かれています。
断言します。CEPIは禁じ手ではありませんが、正体を知らずに買ってよい商品でもありません。暴れ馬のボラティリティを現金に変える設計は、金融工学として本当に面白いのです。面白いからこそ、乗るなら手綱の長さを自分で決めてください。あなたの手綱は、あなたにしか握れません。
私は今週も、5株分の入金157円を淡々と記録します。そして年末には、ROC100%の分配が年間取引報告書でどう処理されるのか。日本の保有者だけに課された「宿題」の答え合わせを、この人体実験記録で必ず続報します。あなたが同じ宿題を抱える前に、ぜひまた読みに来てください。
📌 免責事項本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。記載の数値は特定時点の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。高分配型ETFには元本毀損・価格変動・分配金減少のリスクがあります。税務の取り扱いは個々の状況や証券会社の対応により異なるため、具体的な判断は税理士等の専門家にもご相談ください。投資判断はご自身の責任において行ってください。
参考一次情報ソース一覧(いずれも2026年7月17日確認)- REX Shares「CEPI – REX Crypto Equity Premium Income ETF」公式ページ(経費率・戦略・19a-1資料):https://www.rexshares.com/cepi/- REX Shares「Transition to Weekly Distributions for FEPI, AIPI, and CEPI」(2026年5月20日発表):https://www.rexshares.com/rex-shares-announces-transition-to-weekly-distributions-for-fepi-aipi-and-cepi/- CEPI 19a-1通知(2026年6月分・分配金内訳):REX Shares公式サイト掲載PDF- SEC EDGAR:ETF Opportunities Trust(CEPI)提出書類(Form 485BPOS・N-CSRS)- 分配金・株価実績:yfinance(Yahoo Finance)データを筆者照合(2026年7月16日終値基準)
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