サナエノミクスで何が変わる?11月からの株・為替・金利を徹底予測

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【最速結論】2025年11月市場予測と10月の重要ポイント

この記事は、2025年10月に発生した日米市場の「地殻変動」を徹底的に分析します。

そして、11月以降の具体的な投資戦略を専門家の視点で予測するものです。

この記事を読み終えることで、10月の複雑な値動きの「理由」を深く理解できます。

さらに、自信を持って11月の相場に臨むための「判断材料」を得ることが可能になります。

11月以降の市場予測(サマリー)

日本株(日経平均)

短期的には「サナエノミクス」への期待が相場を牽引するでしょう。

高値圏(52,000円台)で堅調に推移する可能性があります。

ただし、期待先行の側面が強く、政策の具体性が見えない場合、12月にかけて調整するリスクも抱えています。

・米国株(S&P 500)

10月の利下げと米中緊張緩和を背景に、年末ラリーへの期待が高まっています。

S&P 500指数は7,000ポイントを目標とする強気な見方も出ています。

しかし、AI投資のコスト増大懸念や、暴落の予兆とされるテクニカル指標の点灯 9 が、上値を重くする可能性もあります。

・為替(ドル円)

市場は「米国の利下げ」と「日銀の利上げ寸前」という、金融政策の「決定的分岐」を迎えました。

円安地合いは継続し、市場は1ドル155円~160円を次のターゲットとして意識しています。

この水準は、日本政府・日銀による為替介入の強力な警戒ラインとなります。

2025年10月を動かした「3つの地殻変動」

2025年10月の市場は、3つの巨大なイベントによって支配されました。

1. 【日本】「サナエノミクス」の誕生

高市早苗氏が自民党の新総裁に選出されました。

市場は「アベノミクスの再来」を期待し、円安が加速。

日経平均株価は歴史的最高値(52,466円)を更新しました。

2. 【米国】「データ・ブラックアウト」下の利下げ

米政府機関が閉鎖(シャットダウン)しました 15。

これにより、NFP(雇用統計)やCPI(消費者物価指数)といった最重要の経済指標の発表が停止・遅延しました。

FRB(米連邦準備制度理事会)は、経済の先行き不透明感を懸念し、10月29日に「目隠し状態」で利下げを断行しました。

3. 【日米】「金融政策の決定的分岐」

米国が利下げした翌日、日銀は金利据え置きを決定しました。

しかし、その内幕では高田委員・田村委員が「利上げ(0.75%へ)」を強く主張していたことが判明。

この日米の真逆の金融政策ベクトルが、10月末の急速な円安(153円台目前)を招きました。

10月の主要マーケット指標(2025年10月31日終値時点)

10月は、リスクオン(株高)とリスクオフ(金利低下期待によるゴールド高)が同時に進む異例の相場でした。

これは、日本の政治期待(日本株高)と、米国の利下げ期待(ゴールド高)が両立した結果です。

指標名10月1日 始値(参考)10月31日 終値10月中高値10月中安値月間変動
日経平均株価 (JP225)44,831.9552,47852,46644,357.65大幅上昇
S&P 500 (SPX)6,664.926,745.466,920.346,550.78堅調
ドル円 (USD/JPY)147.9円154円154.44150.92円安加速
ゴールド (XAU/USD)$3,858

$3,953$4,381$3,870乱高下

【深掘り① 日本市場】「サナエノミクス」への熱狂と円安の加速

10月の日本市場は、たった一つの政治イベントによって景色が一変しました。

このセクションでは、熱狂の理由とその裏に潜むリスクを徹底的に深掘りします。

10月4日、「高市早苗」新総裁の誕生

10月4日、自民党総裁選で高市早苗・前経済安全保障相が新総裁に選出されました。

市場はこの結果に即座に反応しました。

「高市トレード」と呼ばれる活況相場が始まり、日本株は歴史的な上昇トレンドに入ります。

なぜ日経平均は52,000円を突破したのか?

市場の反応は劇的でした。

日経平均株価は総裁選の翌週から連日のように史上最高値を更新。

10月31日には52,466ポイントという史上最高値を記録しました。

この月だけで、日経平均は17%以上も上昇しています。

背景にあるのは、高市氏が掲げる経済政策、通称「サナエノミクス」への強い期待です。

「高市トレード」の正体:市場の期待

市場が「サナエノミクス」に期待した内容は、主に以下の2点に集約されます。

1. 積極財政(財政出動)

国土強靭化(公共事業の積み増し) や、地方政府への補助金、ディーゼル燃料費の削減など、大規模な財政出動による景気刺激策への期待です。

2. 金融緩和の維持

高市氏はかねてより「政府が金融政策の方向性を決める責任がある」と発言してきました。

これは、利上げを模索する日本銀行(日銀)を牽制し、緩和的な金融環境を維持させるという市場の思惑に繋がりました。

この「積極財政+金融緩和」という組み合わせは、投資家に安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の再来を強く想起させました。

恩恵を受けたセクター、打撃を受けたセクター

この政策期待は、セクター(業種)別の株価動向に明確に表れました 5

上昇したセクター(高市トレード):

  • 円安恩恵株: 機械、電機・精密、自動車。
  • 低金利恩恵株: 不動産、グロース株全般。
  • 政策関連株: 高市氏が原発再稼働の推進派であることから電力株が買われました。また、経済安全保障の観点から防衛関連や、核融合などの先端技術 にも物色の矛先が向かいました。

下落したセクター:

  • 銀行株: 日銀の利上げが遠のくとの見方が広がりました。金利上昇による「利ざや改善」の期待が剥落し、市場全体の上昇とは逆に、銀行株は下落しました。

なぜ円は1ドル153円台目前まで下落したのか

「サナエノミクス」による金融緩和の長期化観測は、日米の金利差がさらに拡大することを意味します。

これが円を売る強力な材料となりました。

特に10月後半、米FRBが利下げに踏み切ったにもかかわらず、円安は止まりませんでした。

ドル円は一時153円台に迫り、市場は次の節目として155円~160円を意識し始めています。

【歴史的背景】「サナエノミクス」は「アベノミクス」の再来ではない

「アベノミクス再来」という市場の熱狂には、重大な見落としがあります。

野村證券の分析を筆頭に、多くの専門家はむしろ慎重な見方を示しています。

決定的な違いは「経済環境」です

  • アベノミクス(2012年)
    • 課題: 行き過ぎた円高(1ドル80円台)と、デフレ(物価下落)。
    • 国民の要求: デフレ克服。
    • 政策の正当性: 円安誘導とインフレ(物価上昇)が「正義」でした。
  • サナエノミクス(2025年)
    • 課題: 行き過ぎた円安(1ドル150円超)と、物価高(インフレ) 30
    • 国民の要求: 物価高対策 5
    • 政策の矛盾: 「サナエノミクス」が実行されれば、更なる円安(輸入物価高)とインフレを招きます。これは国民の要求と真逆の結果をもたらします。

【批判的視点】なぜ市場専門家は「サナエノミクス」に慎重か

熱狂する株式市場とは裏腹に、エコノミストやストラテジストが冷静な理由は複数存在します 5

1. 政治的基盤の弱さ

高市総裁の自民党内での政治的基盤は盤石ではありません。

総裁選の決選投票は、小泉進次郎氏の145票に対し149票と、僅差での勝利でした。

2. 政策の「骨抜き」リスク

総裁選で幅広い支持を得るため、麻生太郎最高顧問ら党内重鎮と何らかの取引があった可能性が指摘されています。

野村證券の分析によれば、高市氏の持論であった「消費税率引き下げ」はすでに封印されました。

また、昨年のような「過激な日銀批判」も鳴りを潜めています。

3. 財政規律の「歯止め」

幹事長候補に麻生派の鈴木俊一氏(元財務相)が挙がるなど、財政規律を重視する勢力が、高市氏の積極財政スタンスに歯止めをかける可能性が濃厚です。

4. 日銀の独立性

2013年は日銀総裁の交代時期でしたが、現在は植田和男総裁の任期が2028年4月まで続きます。

その日銀はむしろ利上げを模索しており(後述)、政府の圧力が効きにくい状況です。

【社会科学的影響】国民が求める「物価高対策」と政策のジレンマ

10月の「高市トレード」は、「国民生活」と「株式市場」の間に深刻なねじれを生んでいます。

株価が上昇しても、国民の多くが求めるのは資産価格の上昇ではありません。

日々の生活を圧迫する「物価高」の鎮静化です。

高市新政権が株式市場(の期待)に応えようとすれば、円安・インフレが加速し、国民の支持を失います。

逆に、国民の支持を得ようと物価高対策(財政出動の抑制や日銀への利上げ容認)を行えば、「高市トレード」は即座に崩壊します。

10月の歴史的な株高は、この根本的な矛盾を無視した「期待先行」のラリーであり、極めて脆弱な土台の上にあると分析できます。


【深掘り② 米国市場】「データ・ブラックアウト」下の利下げ

10月の米国市場は、ワシントンD.C.の政治的混乱によって支配されました。

経済指標が停止するという異例の事態が、中央銀行の政策判断を歪めました。

10月1日、米政府機関の閉鎖(シャットダウン)突入

10月1日、2026年度(2025年10月~)予算が米議会で通過しませんでした。

これにより、米連邦政府はシャットダウン(政府機関閉鎖)に突入しました。

これはトランプ政権下で3回目 15、2018-19年に次ぐ規模のシャットダウンです。

約90万人の連邦職員が一時帰休(furlough)となり、約200万人が給与未払いで働くという異常事態に陥りました。

市場が最も恐れた「経済指標の発表停止」

シャットダウンが市場に与えた最大のインパクトは、経済データの発表が停止したことです。

労働省統計局(BLS)のウェブサイトは更新を停止しました。

これにより、10月3日発表予定だった9月NFP(非農業部門雇用者数)や、10月16日頃に予定されていた9月CPI(消費者物価指数)の発表が「延期」されました。

投資家も、そして中央銀行であるFRBも、経済の健康状態を測る「体温計」や「羅針盤」を失った状態に陥ったのです。

経済への深刻な打撃:GDPと国民生活

シャットダウンは単なる政治ショーではありませんでした。

米議会予算局(CBO)は、シャットダウンが4週間続いた場合(10月29日頃まで)、2025年第4四半期の実質GDP成長率が年率1.0~2.0ポイント押し下げられると試算しました。

さらに深刻なのは、約4000万人の低所得者が利用するSNAP(補助的栄養支援プログラム、通称フードスタンプ)の給付が、11月1日から停止する可能性が浮上したことです。

FOMC(10月29日)は「目隠し」で利下げを決定

10月28日から29日にかけて、FRBの金融政策決定会合(FOMC)が開催されました。

この会合は、まさに「データ・ブラックアウト」の最中で行われました。

FRBは、経済の強さを示す最新のNFPもCPIも無いまま、重大な政策判断を迫られたのです。

なぜデータが無いのに「利下げ」に踏み切ったのか?

FRBは市場の予想通り、0.25%の利下げを決定しました。

政策金利(FF金利)の誘導目標は3.75%~4.00%となりました。

この決定は、「インフレは依然として根強い(利上げ要因)」が、「労働市場は冷え込んでいる(利下げ要因)」 というジレンマの中で行われました。

データが無い以上、FRBは「シャットダウンそのものが経済に与える甚大な悪影響」と、トランプ大統領からの強い利下げ圧力 を考慮しました。

最終的に、リスク管理(保険的利下げ)として利下げを選択したと分析されます。

パウエル議長の警告:「12月の追加利下げは既定路線ではない」

しかし、FOMC後のパウエル議長の記者会見は、市場の楽観論に釘を刺すものでした。

議長は「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」と発言しました。

この発言を受け、市場が織り込んでいた12月の追加利下げ観測は、会見前の100%近い水準から7割程度まで後退しました。

これは「今回の利下げはシャットダウン対応の例外的なものだ」というメッセージです。

FRBはインフレへの警戒を解いていない証左と言えます。

遅れて発表された9月経済指標の分析

政府機関の一部再開に伴い、遅延していた経済指標が10月下旬に発表されました。

9月CPI(10月24日発表):

前年同月比3.0%上昇、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も3.0%上昇しました。

市場予想(3.1%程度)は下回ったものの、依然としてFRBの目標である2%を大幅に上回っています。

9月NFP(未発表・8月統計の参照):

シャットダウン直前の8月のNFPは+22,000人と、雇用の伸びが4月以降ほとんど変化していない(=雇用の著しい鈍化)ことが示されていました。

失業率も4.3%に悪化していました。

これらの弱い労働市場データが、FRBが10月に利下げを断行する(シャットダウンとは別の)根拠の一つになったと考えられます。

【深掘り③ 日米金融政策】10月末「決定的分岐」の裏側

10月最終週、日米の中央銀行は「歴史的な分岐点」を迎えました。

この2日間の出来事が、11月以降の円安トレンドを決定づけました。

10月29日:FRB(米国)が「利下げ」

前述の通り、FRBはシャットダウンによる経済への悪影響を懸念し、0.25%の利下げを決定しました。

この決定を受け、米国債利回りは上昇し、ドル買いが強まりました。

予想外の市場反応:ドル高・円安の加速

ここで不可解な現象が起きています。

通常、ある国の「利下げ」は、その国の通貨安要因(ドル安)となるはずです。

しかし、FOMCの利下げ決定後、ドル・円は151円87銭から152円48銭へと、逆にドル高・円安に振れました。

これは、市場が「米国の利下げ」という事実よりも、翌日に控えた「日銀の金融緩和維持(=日米金利差のさらなる拡大)」を先回りして織り込んだためです。

10月30日:日銀(日本)は「利上げ」寸前だった

翌10月30日、日銀は金融政策決定会合で「政策金利の据え置き(0.50%程度)」を決定しました。

この決定自体は、市場の予想通りでした。

しかし、真のサプライズは「議決内容」にありました。

7対2の採決。高田委員・田村委員はなぜ利上げを主張したか

政策金利据え置きの採決は、7対2の多数決で可決されました。

反対票を投じたのは、高田創審議委員と田村直樹審議委員です。

両名は「政策金利を0.75%に引き上げること(=0.25%の利上げ)」を提案しましたが、否決されました。

彼らが利上げを主張した理由は、以下の通りです:

  • 高田委員: 「物価安定の目標(2%)の実現が、概ね達成された」。
  • 田村委員: 「物価の上振れリスクが膨らんでいる」。

これは、日銀内部で「タカ派(利上げ派)」が明確に勢力を増していることを示します。

市場が期待する「サナエノミクス(金融緩和の維持)」とは真逆のベクトルが、日銀内部で強まっていたのです。

この「日米金利差の拡大観測」が円安をさらに加速させた

10月末の2日間で、市場は以下の現実を突きつけられました。

  1. 米国: シャットダウンの影響で「利下げ」を実行した。
  2. 日本: 「サナエノミクス」の緩和期待に反し、日銀は「利上げ」寸前だった。

高市新政権の発足や、米国発の経済データ不足という不透明感を考慮し、日銀は今回(10月)の利上げを見送らざるを得ませんでした。

結果として、短期的には「米利下げ・日銀据え置き」となり、日米金利差は拡大しました。

これが10月末の円安(153円台)を強く後押ししたのです。

【深掘り④ 米国株】好決算でも「AI支出懸念」が冷や水

10月の米国株は、S&P 500が新高値圏 13 に達するなど堅調でした。

しかし、その中身を詳しく見ると「AIブーム」の変調が明らかになりました。

10月の米国株:明暗を分けた「マグニフィセント・セブン」

米国株を牽引してきたのは「マグニフィセント・セブン(M7)」と呼ばれる巨大ハイテク企業群です。

10月下旬、M7の決算発表が集中しました。

結果は、明確に明暗が分かれました。

好材料:アマゾン、アップルの好決算

アマゾン(AMZN):

決算発表後、株価は9.6%も急騰しました。

利益が市場予想を大幅に上回ったことが評価されました。

特に、収益の柱であるクラウド事業(AWS)の成長が、2022年以来のペースに加速したことが好感されました。

アップル(AAPL):

同様に好決算を発表しました。

iPhoneの売上見通しが市場予想を上回り、株価も時間外取引で上昇しました。

悪材料(批判的視点):メタ、マイクロソフトの株価急落

一方で、AI投資を牽引してきた2社が市場に冷や水を浴びせました。

メタ(META):

決算発表後、株価は11.3%も急落しました。

マイクロソフト(MSFT):

同様に、株価は2.9%下落しました。

なぜ好決算なのに売られたのか?「巨額AI投資」の副作用

両社ともに、売上高は市場予想を上回る堅調なものでした。

にもかかわらず株価が売られた原因は、その「AIへの巨額支出(設備投資)」です。

  • メタ: 2026年の設備投資(CapEx)が、2025年の水準を大幅に上回るとの見通しを示しました。
  • マイクロソフト: 第1四半期の設備投資額が過去最高の350億ドルに達し、今年度の投資がさらに増加する見通しを示しました。

市場は、AIが「利益を生む魔法の杖」であるフェーズ(第1段階)から、AIが「莫大なコストを要求する重荷」となるフェーズ(第2段階)に入ったことを悟りました。

AIブームの「次の段階」を示唆する事象

投資家はもはや「AIをやっている」という事実だけでは評価しません。

「AI投資のROI(投資対効果)」を厳しく問い始めたのです。

これは、AIブームの「熱狂」が終わり、「選別」の時代が始まったことを示唆しています。

なお、メタ(META)のEPS(1株あたり利益)が市場予想を84.3%も下回ったのは、AI投資コストが直接の原因ではありません。

これは、「繰延税金資産の引当金」という一時的かつ非現金の会計処理(159.3億ドル)が主因です。

10月の市場を揺さぶった「その他の要因」

米中緊張の緩和:

10月末、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が韓国・釜山で会談しました。

米国が中国製品への関税を一部引き下げる代わりに、中国はレアアースの輸出規制を一時停止することなどで合意しました。

この貿易摩擦の緩和は、10月末の米国株にとってポジティブな材料となりました。

ゴールド価格の乱高下:

10月上旬、米利下げ期待や地政学リスクから、金価格は史上最高値の1オンス=4,000ドルを突破しました。

しかし、米中緊張緩和を受けて月末にかけて急落。高値(4,381ドル)から8%以上下落する荒い値動きとなりました。

2025年11月以降の市場予測(強気・弱気シナリオ)

10月の混乱を経て、11月は「米国の経済データ正常化」が最大の焦点となります。

今後の市場を占う上で重要なイベントと、強気・弱気のシナリオを整理します。

11月・12月の重要経済イベントカレンダー

11月はFOMCが開催されません。

したがって、市場の関心はシャットダウンの影響が反映される「NFP」と「CPI」の2大指標に集中します。

これらのデータが「労働市場の軟化」と「インフレの鈍化」を明確に示せば、12月の追加利下げ期待が再燃し、株高(特にナスダック)要因となります。

日付(日本時間)イベント名注目ポイント (検索意図への回答)
11月7日(金) 22:30米国10月 NFP(非農業部門雇用者数)シャットダウンの影響が初めて反映される公式統計。雇用の大幅な落ち込みが確認されるか。
11月13日(木) 22:30米国10月 CPI(消費者物価指数)インフレの鈍化傾向が続くか。これが12月FOMCの判断を左右する最重要データとなる。
11月19日(水)米国エヌビディア(NVIDIA)決算発表AIブームの「震源地」。AI支出懸念の中で、チップ需要の強さを示せるか。
11月29日(土)米国FOMCブラックアウト期間開始この日までに、FRB高官の発言が12月の利下げ期待をコントロールする。
12月9日(火)~10日(水)米国FOMC(金融政策決定会合)0.25%の追加利下げはあるか。パウエル議長の「既定路線ではない」 42 発言がどう変化するか。
12月18日(木)~19日(金)日本日銀 金融政策決定会合10月に利上げを主張した2名に追随する委員は現れるか。利上げのシグナルが出るか。

【米国株 強気シナリオ】S&P500は7,000ポイントを目指す

根拠①(金融緩和):

10月の利下げ 10 と、12月の追加利下げ期待が市場心理を支えます。

金利が低下すれば、ハイテク株(グロース株)は買われやすくなります。

根拠②(企業業績):

2025年7-9月期の決算は好調です。

S&P 500企業のEPS(1株あたり利益)成長率は10.34%に達しています。

さらに2026年に向けても14%の利益成長が予測されており、ファンダメンタルズは堅調です。

根拠③(市場心理):

専門家からは、S&P 500の年末目標を7,000~7,100ポイントとする強気な見方が相次いでいます。

【米国株 弱気シナリオ】「ヒンデンブルグ・オーメン」の点灯

根拠①(テクニカルな警告):

10月30日、市場の暴落を予兆するとされるテクニカル指標「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯しました。

これは、市場内部の健全性が悪化している(高値更新銘柄と安値更新銘柄が同時に多発している)ことを示します。

根拠②(AI期待の剥落):

メタやマイクロソフトの「AI支出懸念」が他のハイテク企業にも広がり、市場の牽引役だったM7が失速するリスクがあります。

根拠③(政治リスク):

11月1日時点で、米政府機関のシャットダウンは継続中です。

11月1日にSNAP(フードスタンプ)給付が本当に停止すれば、米国の個人消費が急速に冷え込み、景気後退(リセッション)懸念が再燃します。

【日本株 見通し】高値圏での推移(目標52,600円)

「高市トレード」と、円安による企業業績の押し上げ期待から、日経平均株価は引き続き堅調と見られます。

アナリストからは、P/Eレシオ(株価収益率)の割安感(米国23倍に対し日本21倍)などから、50,700円~52,600円をターゲットとする見方が出ています。

リスク要因としては、前述した「サナエノミクスのパラドックス」に市場が気付いた場合。

または、12月の日銀会合でタカ派色が強まり、利上げが現実味を帯びた場合。

この場合、期待が剥落して急調整するリスクをはらんでいます。

【為替 見通し】155円~160円が介入警戒ライン

円安要因:

日米の金融政策の「分岐」 10 は11月も継続します。

FRBは利下げ方向、日銀は(据え置きでも)利上げ方向を模索しており、円安地合いは変わりません。

円高要因(リスク):

1ドル155円~160円の領域は、日本政府・日銀による円買い為替介入の強い警戒ラインとなります。

11月は、円安トレンドと介入警戒感の「綱引き」相場が予想されます。

介入が実施されれば一時的に150円近辺まで円高が進む可能性もあります。

しかし、日米金利差という根本要因が変わらない限り、円安圧力は続くとみられます。


【結論】予測を踏まえ、投資家が今すぐ取るべき最初の行動

2025年10月は、「日本の政治期待(サナエノミクス)」と「米国の政治機能不全(シャットダウン)」という、2つの「政治」が金融政策を歪め、市場を大きく動かした異例の1ヶ月でした。

この複雑な状況を踏まえ、投資家が11月にまず取るべき具体的な行動を2つ提案します。

ステップ1:11月の「米国データ発表日」をカレンダーに登録する

11月はFOMCが開催されません。

市場の全神経は、シャットダウン後の「経済データ」に集中します。

特に以下の2日を、ご自身のカレンダーに登録し、アラートを設定してください。

  • 11月7日(金) 22:30:米 10月雇用統計
  • 11月13日(木) 22:30:米 10月消費者物価指数

この結果が「悪い(景気後退懸念)」ほど、12月の米利下げ期待が高まります。

その場合、ドル安・株高(特にハイテク株)に振れやすくなるため、注目が必要です。

ステップ2:自身のポートフォリオの「円・ドル比率」を再確認する

今、為替市場は「歴史的な円安」 と「日銀の利上げ(円高への大転換)の可能性」 の狭間にいます。

ご自身のポートフォリオにある、円建て資産(日本株など)とドル建て資産(米国株など)の比率を再確認してください。

そして、現金(預金)としての「円」と「ドル」の比率も見直してください。

円安が続くと考える(=米国株やドル建て資産の比率を高める)か。

それとも、日銀の転換や政府介入による「円高」に備えるか。

10月に示された日米の「金融政策の分岐点」は、ご自身の資産配分とリスク許容度を見直す絶好の機会です。

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真毅のアバター 真毅 自由人

趣味はカメラ、ランニング、読書。職業はシステムエンジニア。昔はリサーチハウスで企業調査、産業分析を行っていました。目標は投資で稼いでゆっくり生きる。資格はFP2級、証券アナリスト。投資対象は日本株、米国ETF、金、暗号資産、不動産。金融資産と実物資産の両輪で資産形成。

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