今回はGDIで経済分析してみようと思います。
GDIとは
GDI(国内総所得)は、国内で生産された財やサービスによって発生した所得の総和を示す経済指標です。
これには賃金や給与、利益、レンタル収入、税引き前の企業収入などが含まれます。
GDIは、GDP(国内総生産)と理論的には同じ値になるべきですが、GDIは所得の側面から経済を捉え、GDPは生産の側面から捉えます。
そのため、GDIは経済の健康状態を異なる角度から評価するのに有効です。
たとえば、GDIがGDPより高い場合、それは所得の増加が消費の伸びを上回っていることを示し、経済に対する異なる洞察を提供します。
GDPとGDIが理論的におなじになる理由(三面等価の原則)
三面等価の原則とは、一国の経済において、生産(付加価値)、分配(所得)、支出(需要)の3つの側面でみた額が、一定期間が経過した後(事後的)には等しくなることを指す、マクロ経済学上の原則のことです。
生産面のみならず、所得面や支出面の視点から評価することで、経済構造の多面的な把握や景気動向の予測などへの活用ができます。
生産、分配、支出の一致
理論的には以下が一致します。
国内総生産(GDP)… 民間消費+民間投資+政府支出+(輸出ー輸入)
国内総所得(GDI) … 賃金(雇用者所得)+利潤(営業余剰)+固定資本減耗(減価償却費)+租税(間接税-補助金)
国内総支出(GDE) … 民間消費+民間投資+政府支出+(輸出ー輸入)
これらの計算式は、経済の異なる側面を測定するために用いられ、理論的にはGDPとGDIは等しい値になるべきですが、実際には計測方法や使用されるデータの違いにより差異が生じることがあります。
GDEという用語は一般的には使用されませんが、GDPの支出アプローチとして理解することができます。
長期的には一致しています。
2023年に乖離が見られるGDPとGDI
2023年のGDPとGDIの前年比を見てみると2つのデータには大きな乖離が見られます。
2023年第三四半期、GDPがプラス2.9%でしたが、GDIはマイナス0.15と僅かですがマイナスになりました。
ここまで大きな乖離はリーマンショック以降で初です。
GDIがGDPより低いということは、米国全体の消費の伸びが所得の増加を上回っていることになります。
また、GDIがマイナスになったということは、米国全体の所得が減少に転じたことを意味します。
一般的に考えて、所得が減っているにも関わらず、消費が増加するとは考えられません。
近い将来、消費が大きく落ち込む可能性が高いと考えられます。
リーマンショックのときはGDIが2期マイナスになった後、景気後退になりました。
次のGDPの発表が1月25日なのでGDIも同時に発表されると思います。
もしここで、2期連続でマイナスになった場合、米国の景気後退はすぐそこまで来ているかもしれません。
景気後退で企業業績が悪化すれば、株価低迷も起こりうると考えます。
2000年以降と以前のGDPとGDIの関係
2000年以降はGDPとGDIが下落するタイミングは同じでその後景気後退が起こっていたのですが、2000年以降はGDIがGDPよりも先行して下落し、景気後退を正確に捉えていることがわかります。
青線がGDP、赤線がGDIです。
2000年まで
2000年以降
参考
Better Measure of Output: GDP or GDI?
Is the economy growing? Depends on how you measure it
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