米国経済は、今、歴史的なターニングポイントに立っています。
高騰するインフレ率と、それに立ち向かうための連邦準備制度(Fed)の政策。
これらは、世界最大の経済体の未来を左右する重大な要素です。
今日、私たちはソフト・ランディング(経済が緩やかに減速し、リセッションを避けること)が可能かどうか、そしてそれに必要な条件について深堀りします。
このデリケートなバランスを達成するためには、何が必要なのでしょうか?
ソフト・ランディングするための3つの条件
私は米国がソフト・ランディングを達成するためには、3つの条件が必要と考えています。
- インフレの抑制:持続的な高インフレは経済の安定にとって大きな障害です。ソフト・ランディングを達成するためには、インフレ率を抑制し、消費者の購買力を保つ必要があります。
- 雇用市場の安定:高い雇用率と安定した賃金成長は、消費を促進し経済の健全性を保つのに重要です。過剰な失業率の上昇は消費を抑制し、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 企業投資の持続:企業の投資意欲が続くことは、新技術の開発や生産性の向上につながり、経済成長を支えます。
インフレの抑制
アメリカ合衆国の連邦準備制度(Fed)は、2%のインフレ率を目標としています。これは、経済成長を支え、雇用を促進するための、適度なインフレ率と見なされています。
12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇と、前月の3.1%上昇から伸びが加速しました。ただ、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前月の4.0%からわずかに鈍化し、同3.9%上昇でした。
ただ、GDIを見る限り、CPIの下降は1月以降は下降すると思います。
雇用市場の安定
12月の非農業部門雇用者数は前月から21万6,000人増と、市場予想の17万人増を大きく上回りました。
また、10月の数値が15万人増から10万5,000人増に、11月の数値が19万9,000人増から17万3,000人増にそれぞれ下方改定されました。
就業者数は前月から68万3,000人減少し、失業者数は6,000人増加でした。
失業者のうち、一時解雇の失業者は前月より2万8,000人増の91万7,000人、恒常的失業者は前月より4万6,000人減の154万3,000人でした。
労働参加率は、生産年齢人口が前月から16万9,000人増の2億6,799万人、労働力人口が前月から67万6,000人減の1億6,745万人となった結果、前月から0.3ポイント低下の62.5%に大きく低下しました。
以上の要因を踏まえた失業率は、前月と変わらず3.7%でした。
市場予想の3.8%よりも低い数値となりましたが、労働参加率の低下が寄与したかたちです。
2020年代初頭の時点で、連邦準備制度(Fed)は自然失業率を約4%前後と推定していました。
失業率は下がりましたが、あまり内容はよくありません。
ただ、4%を下回っているため問題のない水準だと感じています。
企業投資の持続
1月22日から米国企業の決算が本格化します。
先週は台湾積体電路製造(TSMC)の好調な業績見通しや人工知能(AI)関連需要への期待を受け半導体株を中心に米国株は上昇しました。
たとえ、2023年の決算が悪くても、2024年の見通しが良ければ株価は下支えされると思いますが、2024年の見通しが悪ければ、先は暗いです。
米国経済の状況を把握するために注目している企業を以下に記載します。
- テクノロジー・情報技術: アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google/Alphabet)、アマゾン(Amazon)。
- 金融: JPモルガン・チェース(JP Morgan Chase)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)。
- 消費財: ウォルマート(Walmart)、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)、コカ・コーラ(Coca-Cola)。
- エネルギー: エクソンモービル(ExxonMobil)、シェブロン(Chevron)。
- ヘルスケア: ファイザー(Pfizer)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)。
- 工業: キャタピラー(Caterpillar)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)、3M。
- 通信: AT&T、ベライゾン(Verizon)。
これらの企業は、それぞれの業界における重要なプレイヤーであり、米国経済の状況を理解するための有力な指標を提供しています。
さて、消費者物価指数、雇用統計は今のところ問題ないように見えますが、企業業績はどうなるか?
注目です。
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