ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
2026年7月半ば、船橋の夜は梅雨明け前の湿気がまだ部屋に居座っています。深夜0時、エアコンの除湿音だけが響く部屋で、私は米国発のニュース速報を見つめていました。
画面の下を、関税措置の期限を伝えるテロップが流れていきます。昼間に海老川沿いで浴びた蒸し暑さが、嫌な予感と一緒に背中へ蘇ってきました(汗)。窓の外では、雨上がりのアスファルトが街灯の光を鈍く照り返しています。
申し遅れました。私は証券アナリスト(CMA)とFP資格を持つ兼業ブロガーです。超高配当カバードコールETFを、1年間自腹で人体実験しています。2026年11月には、米国の中間選挙が迫っています。
舞台はトランプ政権第2期、歴史的に市場が不安定になりやすい局面です。自分の資産を防衛するためにも、過去の共和党第2期政権が刻んだパターンを検証したくなりました。今夜は歴史というカルテを開いて、命懸けの講義をお届けします。
刮目せよ、四年の鼓動——大統領選挙サイクル理論という羅針盤

まず武器となる理論を、正確に共有させてください。大統領選挙サイクル理論(PEC:米国株が大統領の4年任期に連動した循環を描くという理論)です。体系化したのは、イェール・ヒルシュという市場アナリストでした。1967年、「Stock Trader’s Almanac(株式トレーダー年鑑)」で発表されています。半世紀以上も参照され続けてきた、市場の古典的な羅針盤です。
基本形は、驚くほどシンプルです。政治家の生存本能が、市場の呼吸をつくるという発想に立ちます。
| 任期 | 政権の行動 | 市場の傾向 |
|---|---|---|
| 1年目 | 公約実行・痛みを伴う政策調整 | 軟調になりやすい |
| 2年目(中間選挙年) | 引き締め・インフレ抑制の継続 | 軟調・変動が大きい |
| 3年目(前選挙年) | 再選に向けた景気刺激 | 歴史的に最も強い |
| 4年目(選挙年) | 再選アピールの総仕上げ | 堅調になりやすい |
つらい政策は任期の前半に済ませ、選挙が近づいたら景気を吹かす。再選を狙う人間の動機が、4年周期の鼓動を生むわけです。もちろん万能の予言ではなく、あくまで統計的な傾向にすぎません。それでも「政権の都合」という視点は、ニュースの読み方を一変させます。羅針盤を手に入れたところで、いよいよ本題に入ります。
空白の玉座——「現職不在」選挙年に棲む魔物 🚨

なぜ共和党の「第2期政権」だけを、わざわざ取り上げるのか。理由は、任期4年目の構造が根本的に違うからです。第2期の大統領は、憲法の規定により3選出馬ができません。4年目の選挙は現職不在、いわゆる「オープンフィールド(現職のいない選挙戦)」になります。通常の再選シナリオとは、前提からして別物なのです。
通常の4年目が堅調なのは、現職が再選のため景気を支えるからでした。現職がいなければ、市場を支える最大のエンジンが消えます。数字が、事態の深刻さを物語ります。Stock Trader’s Almanacのデータによれば、1952年以降、現職が再選を目指す選挙年のS&P500平均リターンは+12.5%です。
一方でオープンフィールドの選挙年は、平均-1.5%と大きく劣後します(出典:Stock Trader’s Almanac、LPL Financial調査ブログ経由で言及)。同じ「選挙年」でも、+12.5%と-1.5%では中身がまるで違います。
さらに共和党特有の政策構造が、第2期後半のリスクを増幅すると考えられます。共和党の経済政策は、減税・規制緩和・関税推進という供給サイド路線が柱です。
供給サイド経済政策(減税などで企業の供給力を高める考え方)は、任期前半に成長を前借りする傾向があります。前借りのツケは、任期後半に回ってきます。財政赤字の累積、インフレ圧力、そして金融の不均衡という副作用です。
つまり共和党第2期の後半には、二重の逆風が吹きやすい構造があります。「現職不在」という政治的な空白と、「成長の前借り」の返済期限が重なるのです。歴史は、二重逆風の恐ろしさを三度も実演してくれています。次章で、傷跡を直視しましょう。
刻まれた爪痕——三代の共和党政権、第2期後半の記憶

理屈だけでは、命懸けの講義になりません。共和党の第2期政権後半に市場で何が起きたのか、実例を並べます。まず全体像を表でご覧ください。
| 政権 | 第2期の期間 | 危機の発生時期 | 何が起きたか |
|---|---|---|---|
| アイゼンハワー | 1957-1961年 | 1〜2年目(1957-58年) | アイゼンハワー景気後退 |
| レーガン | 1985-1989年 | 3年目(1987年) | ブラックマンデー |
| G・W・ブッシュ | 2005-2009年 | 4年目(2008年) | リーマン・ショック |
| トランプ | 2025年1月〜 | 現在2年目 | 進行中 |
アイゼンハワー第2期は1957年1月に始まりました。その1年目後半から2年目にかけての1957年8月から1958年4月にかけて、景気後退が発生しています。S&P500は1957年6月のピークから同年10月の底まで、約21%下落しました。実体経済の傷も深く、実質GDPは3.7%減少。
失業率は4.1%から7.5%へ悪化しました。恐ろしいのは、景気が沈んだのに物価が下がらず、逆に上昇した点です(出典:米国政府統計。詳細は後述のソース一覧参照)。不況と物価高が同居するスタグフレーション的な様相は、当時としては異例でした。
レーガン第2期の悲劇は、3年目の1987年10月19日に訪れました。「ブラックマンデー」です。ダウ工業株平均は、たった1日で約22%急落しました。思い出してください。3年目の前選挙年は、PEC理論上「歴史的に最も強い年」のはずでした。
最も上昇しやすいはずの年に、史上最大級の一日暴落が起きたのです。サイクル理論は確率であって、保証ではないという逆説を、レーガン相場は血で教えてくれました。
なお公平のために書くと、レーガン在任8年通算でダウは約135%上昇しています(1981年の950ドルから1989年の2,239ドルへ)。歴史的な強気相場のど真ん中に、暴落の落とし穴が口を開けていました。
ジョージ・W・ブッシュ第2期は、4年目の2008年に決定打を迎えます。住宅バブル崩壊を引き金に、リーマン・ショックが発生しました。S&P500は2008年に約38%下落し、大恐慌以来最悪の年となりました。
2008年は、まさに現職不在のオープンフィールド選挙年です。「オープンフィールド選挙年は弱い」というデータ通りの年に、歴史的な金融危機が重なりました。偶然と言い切るには、あまりに出来すぎじゃないですか?
そして四代目、トランプ第2期です。2025年1月に始動し、現在進行中です。2026年は2年目、中間選挙の年にあたります。私たちは今、歴史の比較対象がリアルタイムで刻まれていく現場に立っています(遠い目)。
……三つの暴落を立て続けに読まされて、胃のあたりが重くなった方もいるかもしれません。私も書きながら同じ気分でした。ただ、ここから先は「過去の暴落年表」ではなく「今、何が起きているか」の実況です。
歴史はあくまで確率の参考書であり、次の一文一文が新しい脅しというわけではありません。深呼吸してから、現在地の確認に進みましょう。
静かなる導火線——2026年7月、関税時計の針は進む

では現在地を、一次情報ベースで確認します。以下はすべて、2026年7月時点で確認できる事実です。将来の断定ではなく、あくまで現時点の状況報告として読んでください。
- 1974年通商法122条(国際収支対策として一律関税を認める条項)に基づく一律関税措置は、2026年7月24日に期限を迎える予定です
- トランプ政権は通商法301条(不公正な貿易慣行への制裁関税を認める条項)に基づく調査も並行して進めています。122条失効後に301条関税へ切り替える可能性が、2026年7月時点で指摘されています
- USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)は、2026年7月に予定される「共同見直し」を控えています。カナダ・メキシコへの優遇関税措置が見直される懸念があり、トランプ政権は現行協定の単純更新はしない方針を示しています
- 2026年11月の中間選挙を控え、野党・民主党は関税による生活コスト上昇を政権批判の材料にしています。2026年は関税の価格転嫁が本格化するとみられています
並べてみて、ゾッとしませんか。政策の副作用が表面化し、政治的不確実性が高まる時期。PEC理論が「2年目」に予測する典型的な風景と、2026年7月の現実が符合しているのです。
関税期限、協定見直し、中間選挙という導火線が同じ季節に束ねられた光景は、もはや教科書の再現図のようです。もちろん理論への当てはめは、後知恵の危険と常に隣り合わせです。それでも符合の事実そのものは、記録しておく価値があると考えています。
ここで正直に告白しておきます。PEC理論はあくまで米国内の政治サイクルを軸にした枠組みです。地政学リスク(ウクライナやガザを巡る紛争の拡大など)が市場を揺さぶれば、このアノマリーは簡単に吹き飛びます。
政治サイクルは市場を動かす一つの変数にすぎず、唯一の変数ではありません。この記事全体を読むときも、その前提だけは忘れないでください。
囁きに耳を澄ませ——嵐は金と債券をどう濡らすのか

中間選挙年の株式には、季節パターンがあります。4月頃にいったんピークをつけ、10月にかけて調整しやすい傾向です。そして選挙結果の判明後、第4四半期から翌年にかけて反発しやすいとされます。選挙という不確実性が晴れることが、反発の燃料になると解釈されています。
ただし数字は、正直にお伝えします。中間選挙年のS&P500パフォーマンスは、調査機関により3〜6%程度とされます。選挙翌年は15〜16%程度と、機関によって数値に幅があります。
複数の分析機関で数字にはばらつきがあるものの、「中間選挙年は軟調・翌年は反発」という方向性自体は共通しています。誠実に言えるのは、方向性までです。きれいに揃った数字だけを見せる解説を、私は信用しません(白目)。
金(ゴールド)はどうでしょうか。政治的不確実性の高まりや財政赤字への懸念は、「質への逃避(安全資産へ資金を移す動き)」の需要を強めやすいとされます。
中間選挙前の神経質な相場や関税をめぐる応酬は、金にとって追い風になりやすい環境です。正論です。が、将来の金価格を具体的な数字で予言することは、誰にもできません。当ブログは、根拠の示せない未来の数値を書かない方針を貫きます。
債券市場には、別の重力が働きます。任期後半に累積する財政赤字への懸念は、長期金利の上昇圧力になりやすいのです。
金利の上昇は、債券価格の下落圧力と同じ意味を持ちます(金利と債券価格はシーソーの関係)。減税と関税を柱とする政策は、財政の帳尻という宿題を任期後半に残します。株・金・債券が同じ政治サイクルに、違う顔で反応する。三つの市場を並べて眺める習慣こそ、資産防衛の第一歩だと考えています。
舵を切れ、563A——荒波を航海するための三つの仮説

さて、記事の目玉です。歴史の講義を、自分の懐の話に着地させます。563Aを保有していない方も、他人事ではありません。ここまで見てきた「政権の都合が市場を動かす」という構造は、あなたが保有するインデックスファンドにも、個別株にも、等しく作用しています。
今回は私の実例を通じて、その構造がどう資産に跳ね返るかを具体的に眺めてみましょう。私が保有する東証563A「グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF」は、政治サイクルの荒波をどう航海するのか。なお563Aの構造・NISA非対象・税金の詳細は、前回記事「【誤解注意】563AはNISA成長投資枠の対象外です」で解説済みです。今回は、政治サイクルとの関係だけに絞ります。
文脈に必要な特徴だけ再掲します。563Aは、2026年4月23日に上場した新しいETFです。NASDAQ100指数に対し、日次(翌営業日満期)のATMカバードコールを売ります。ただし売る対象はポートフォリオの約10%のみです。残り約90%は、指数の上昇をそのまま享受する設計になっています。
仮説その一、2026年(2年目・中間選挙年)です。奇しくも563Aは、ボラティリティ(価格変動の激しさ)が高まりやすい中間選挙年にデビューしました。ボラティリティの上昇は、オプションプレミアムの増加要因です。カバードコール戦略にとって、変動の嵐は収穫期にもなり得ます。
ただし忘れてはいけません。カバー率が10%に抑えられている以上、約90%は指数下落に対して無防備です。プレミアムが多少太った程度では、本格調整の痛みを相殺できないと考えられます。
仮説その二、2027年(3年目・前選挙年)です。歴史的に、最も急伸しやすい年とされます。フルカバー型(2865のように、ほぼ100%を覆う設計)は、上昇相場で値上がり益を放棄します。563Aはカバー率10%のため、株高局面でも値上がり益の約90%を享受できます。
前選挙年の上昇相場との相性は、フルカバー型よりも563Aの方が良い可能性があります(あくまで仮説です)。デビュー年の逆風と引き換えに、翌年の追い風を待つ航路です。
仮説その三、2028年(4年目・オープンフィールド選挙年)です。平均-1.5%の魔物が棲む年であり、G・W・ブッシュ第2期4年目(2008年)のような、金融システム全体へ波及するシステミックリスクが顕在化しやすい年でもあります。
もしショックが再来した場合、日々のプレミアム収入だけでは急落の緩衝材として不十分です。前回記事でも鳴らした警鐘を、もう一度鳴らします。「カバードコールだから安全」という思い込みこそ、最大の敵です。
念のため強調します。本章の三つの仮説は、すべて過去のパターンから導いた私の推測です。2027年が上がる保証も、2028年が下がる予言もありません。当ブログの鉄則として、将来の数値予測は一切書きません。仮説を立て、身銭で検証し、結果を記録する。人体実験ブログの本分は、予言ではなく記録だからです。
運命ではなく、確率——深夜のテロップに告ぐ

冒頭の深夜のニュース速報を、思い出してください。関税期限を告げるテロップは、見方によっては不安を煽る呪文です。しかし歴史のカルテを開いた今なら、違う読み方ができるはずですよね。共和党第2期の後半は荒れやすい。
中間選挙年は軟調で、翌年は反発しやすい。オープンフィールド選挙年は警戒に値する。どの命題も運命の宣告ではなく、確率の地図にすぎません。
地図を持つ者は、嵐に驚いても遭難はしません。2026年の残り、私は563Aの分配と基準価額を記録し続けます。2027年の追い風仮説も、2028年の警戒仮説も、自分の資産で検証していきます。
政治サイクルは運命ではなく、確率論です。確率の地図を握りしめて、荒波へ船を出そうじゃないですか。人柱の航海日誌は、次回も汗だくで更新します。船橋の蒸し暑い夜から、熱く、しかし冷静にお届けしました!
📌免責事項
本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。
参考一次情報ソース一覧(確認日:2026年7月15日)
- LPL Financial Research ブログ「Stock Markets: What To Expect When We’re Electing」(Stock Trader’s Almanac発、1952年以降の現職再選年+12.5%/オープンフィールド選挙年-1.5%のデータ引用元、https://www.lpl.com/research/blog/stock-markets-what-to-expect-when-were-electing.html)
- Carson Group「16 Charts (and Tables) to Know This Election Year Revisited」(大統領選挙サイクルの各年パフォーマンス集計、https://www.carsongroup.com/insights/blog/16-charts-and-tables-to-know-this-election-year-revisited/)
- アイゼンハワー景気後退(1957-1958年)に関するS&P500騰落率解説:TrendSpider Learning Center(https://trendspider.com/learning-center/the-eisenhower-recession-1957-1958/)。実質GDP・失業率・物価動向は米国政府統計(Recession of 1958関連の各種公的統計まとめ、英語版Wikipedia「Recession of 1958」等で確認可能)
- ブラックマンデー(1987年10月19日)のダウ工業株平均下落率22.6%:Federal Reserve History「Stock Market Crash of 1987」(https://www.federalreservehistory.org/essays/stock-market-crash-of-1987)
- レーガン政権期(1981-1989年)のダウ工業株平均推移(950→2,239、約135%上昇):Kiplinger「Best and Worst Presidents (According to the Stock Market)」(https://www.kiplinger.com/investing/602714/best-and-worst-presidents-according-to-the-stock-market)
- リーマン・ショック(2008年)のS&P500年間騰落率-38.49%:公式統計まとめサイト「S&P 500 Returns since 2008」(https://www.officialdata.org/us/stocks/s-p-500/2008)
- ジェトロ「米国関税措置への対応」ポータル(通商法122条・301条・USMCA見直しに関する2026年7月時点の報道、https://www.jetro.go.jp/world/us_tariff/)
- Global X Japan公式サイト 563Aファンドページ(https://globalxetfs.co.jp/en/funds/563A/index.html。構造・カバー率・NISA非対象・税金の詳細は前回記事「【誤解注意】563AはNISA成長投資枠の対象外です」参照)
※中間選挙年・選挙翌年のS&P500平均リターンは、集計期間や指数の取り方により調査機関ごとに数値の幅があります(本文参照)。本記事では特定の一機関の数値を断定的事実として扱わず、複数機関で共通する方向性のみを採用しています。
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