ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
今週のテーマは、ひとつの逆説です。ポートフォリオの含み損は3万2,475円まで膨らみました。それでも配当ベースでは、確実に前進しています。
2026年9月上旬、船橋の深夜。窓の外はまだ蒸し暑い残暑が居座っています。それでも日没の時刻は、確実に早まりはじめました。
季節の変わり目というのは、こういう静かな形でやってきます。エアコンの音だけが部屋に残っています。
今週は柄にもなく、赤ワインなど開けてしまいました。いつものストロングゼロではありません。缶をプシュッと開けるあの乾いた音は、今夜はありません。
代わりに、瓶の口からグラスへ注ぐ、あの粘りのある音がします。少し置くと、部屋に果実の匂いが立ちのぼってきます。
グラスは4杯目です。4杯目にもなると、画面の赤い数字がやけに鮮明に見えてきます。
ポートフォリオ全体の株式評価損益は、円建てでマイナス3万2,475円(-10.47%)。ドル建てでもマイナス198.59ドル(-10.05%)です。
そして453A(iシェアーズ 米国債20年超 プレミアムインカムETF。東証上場・円建てで米国長期国債にカバードコール戦略を組み合わせた商品)。先週-2.66%だった損益率は、今週-4.93%まで沈みました。
マイナス圏から、さらに深いマイナス圏へ。BlackRock謹製の国債使いは、今週も金利という刃に削られ続けています。
……いい。むしろいい。
含み損とは、市場が私に送りつけてきた挑戦状です。この赤い数字は「お前はまだ耐えられるのか」という問いかけにほかなりません。
耐えます。耐えたうえで、配当を数え続けます。1年間の人体実験とは、そもそも痛みを記録するための行為です。数字が赤いからやめる、というのなら、最初から始めていません。
……と、赤ワイン4杯目のグラスを置いて我に返りました。
ストロングゼロじゃないだけ、財布に優しいのか厳しいのか、正直よく分かりません。含み損3万円台の男が飲むべき酒がワインなのかどうか、それも分かりません。
分かっているのは、今週の口座に1,182円が着金したという事実だけです。
今週、魂が叫んだ3つのこと

株価がどう転ぼうと、今週着金した配当1,182円だけは市場に取り消されない。 評価損益は円建てで-10.47%まで沈みました。それでもこの1,182円は、すでに口座に入った確定事実です。市場は評価額を毎日書き換えますが、着金済みの現金は書き換えられません。
NVDYが週間+3.41ppでランキング首位に躍り出た。(NVDY=YieldMax NVDA Option Income Strategy ETF。エヌビディア単一株のオプションを売って配当に変える商品) 損益率は-14.75%から-11.34%へ改善しました。マスターの診断欄が「主役の帰還」と呼ぶ銘柄が、今週ようやくその名にふさわしい動きを見せています。
長期金利は雇用統計のサプライズで、原油はホルムズ海峡の地政学的緊張で、それぞれ押し上げられた一週間だった。 8月の非農業部門雇用者数は+16.2万人。市場予想の約3倍という数字が、金曜の市場を動かしました。詳細は次のセクションで淡々と扱います。
今週の市場レジーム判定

今週のレジーム判定は「先週から変化なし・継続」です。
①リスクオン/オフ判定:週報のRORO指数は60.8。判定は「リスクオン(弱)」です。中立圏をやや上回る程度で、強い選好が出ている水準ではありません。
②4象限レジーム:市場局面カード(8月31日の週)の局面ラベルは「インフレ鈍化・金利高止まり」です。
類似過去局面は7月27日の週(コサイン類似度0.943)を筆頭に、7月20日の週(0.883)、7月13日の週(0.838)と並びます。同一ラベルの週が連続して上位に来ており、局面としての連続性が確認できます。先週から変化はなく、継続と判定します。
補足として、週報のHMMレジーム判定は「Expansion」です。直近90日の分布はExpansion 86.2%、Recovery 12.3%、Stagflation 1.5%。市場局面カードの判定と矛盾しない結果です。
③根拠3行
- VIX 14.3:恐怖指数としては落ち着いた水準です。市場心理に急性のストレスは見られません。
- 金利:米10年債利回りは4.722%から4.782%へ上昇しました。週間で+5〜6bpです。2年債は4.34%、イールドカーブ(10年-2年)は+0.43%で、順イールドが定着しています。
- CPI前年比 3.4%(7月分。BLS公表値):次回の8月分は9月11日発表のため、この数値には未反映です。
その他のマクロ材料
9月4日、米労働統計局が8月の雇用統計を発表しました。非農業部門雇用者数は+16万2,000人。市場予想の約5.5万人増を大幅に上回るサプライズ増です。
失業率は4.1%で前月から横ばい。平均時給は37.75ドルで、前年比+3.1%でした。6月・7月分も合計で+5.5万人の上方修正が入っていますが、水準としては6月+3.1万人・7月+2.1万人(7月は改定前は-2.3万人でした)にとどまり、8月の+16.2万人を含めた直近3か月平均は約7.1万人です。
主要指数の週間騰落(8月28日終値→9月4日終値)は以下のとおりです。すべて実績値です。
- S&P500:7,711.76→7,718.60(+0.09%)
- ダウ平均:53,559.99→53,414.25(-0.27%)
- Nasdaq100:29,433.43→29,544.15(+0.38%)
- NASDAQ総合:26,402.42→26,506.99(+0.40%)
為替市場では円高が進みました。ドル/円は159.321円から156.221円へ、週間1.95%の円高です。ただし週の始点・終点だけを見た数字で、実際には9月2日に160.38円まで円安に振れたあと、9月3日には155.36円まで急速に円高が進むという、週中で3%超の値幅がありました。
トリガーとされているのは日銀審議委員の講演で、「25bp利上げは必ずしも既定路線ではない」としつつ「連続利上げの可能性」にも言及したと報じられています。
米国側の金利・雇用材料だけでなく、この日銀発言も今週の円高の主因のひとつです。東証上場の円建て銘柄(2865・563A・453A)の損益には、原資産の値動きに加えてこの為替の動きも重なります。
東証の引け時刻と為替の観測時点にはズレがあるため、「1.95%の円高」をそのまま損益の内訳として厳密に割り当てられるものではない点は留保しておきます。
商品市況では原油が突出しました。WTI原油は83.40ドルから91.22ドルへ、週間+9.38%の急伸です。ブレント原油も88.10ドルから95.85ドルへ+8.80%上昇しました。
材料はホルムズ海峡付近の地政学的緊張です。供給不安がそのまま価格に乗った形になります。
なお8月ISM製造業PMI 54.6%、非製造業PMI 55.4%、7月JOLTS求人件数730万件を記録しました。週間新規失業保険申請は20万6,000件など、指標も報じられています。ただしこれらは市場報道ベースの数値で、当方による一次情報の裏取りは完了していません。参考値として扱います。
今週、何が変わったか
レジーム自体は変わっていません。「インフレ鈍化・金利高止まり」の枠組みは7月27日の週以降そのままです。
変わったのは金利上昇のトリガーです。雇用統計のサプライズが「利上げも選択肢に残る」という観測を呼び、それが10年債利回りの上昇に直結しました。局面は同じでも、押し上げた要因が今週は雇用にあった、というのが今週の構図です。
データソース: BLS Employment Situation / FRB ウォラー理事講演 / jp.investing.com 米10年債 / jp.investing.com ブレント原油
配当着弾記録:11件、1,182円という生存証明

| 着弾日 | ティッカー | 受取額(ドル) | 受取額(円) | 魂の叫び |
|---|---|---|---|---|
| 8/31 | AIPI | 0.70 | 111 | AIバブルの残り香が111円 |
| 8/31 | CEPI | 0.92 | 147 | 混沌の覇者、今週も供給 |
| 8/31 | FEPI | 0.44 | 70 | 三悪魔の一角は静かに70円 |
| 8/31 | ULTY | 0.67 | 107 | 吐血しながらも配当は出す |
| 9/1 | DOGG | 0.83 | 133 | 犬は今週も裏切らなかった |
| 9/1 | NVDY | 0.61 | 97 | 主役の帰還、その報酬97円 |
| 9/2 | NVYY | 0.40 | 63 | 含み損の主犯からの詫び状 |
| 9/2 | TQQY | 0.30 | 49 | 死神が置いていった49円 |
| 9/2 | YSPY | 0.13 | 20 | 今週の空回り。20円である |
| 9/4 | IGLD | 1.44 | 229 | 今週の最大着金は金の盾 |
| 9/4 | JEPQ | 0.99 | 156 | 前座はいつも仕事が丁寧 |
| 合計 | 11件 | 7.43 | 1,182 | — |
今週着金した11銘柄の顔ぶれを、あらためて確認しておきます(各銘柄の仕組み・利回り・元本払戻し(ROC)リスクはカバードコールETF全17銘柄の徹底比較記事で詳しく解剖しています)。
- AIPI(REX AI Equity Premium Income ETF):AI関連株にカバードコールを組み合わせた商品です。暴れ馬で、下落時の速度も一級品です。
- CEPI(REX Crypto Equity Premium Income ETF):暗号資産関連株のカバードコール。暗号資産市場の荒波に直接晒されます。
- FEPI(REX FANG & Innovation Equity Premium Income ETF):ハイテク大手のカバードコール。ボラはマイルドですが、それでも劇薬です。
- ULTY(YieldMax Ultra Option Income Strategy ETF):高ボラ銘柄群のオプション戦略。元本溶解が止まらない銘柄です。
- DOGG(FT Cboe Vest DJIA Dogs 10 Target Income ETF):ダウの犬戦略。ディフェンシブですが、時に優雅に裏切ります。
- NVYY(GraniteShares YieldBOOST NVDA ETF):エヌビディアのプット売りを活用する商品。NVDYより危険です。
- TQQY(GraniteShares YieldBOOST QQQ ETF):TQQQ(3倍レバレッジ)のオプション戦略。指数が横ばいでも削られます。
- YSPY(GraniteShares YieldBOOST SPY ETF):S&P500の3倍レバレッジETFへのプット売り戦略。上昇益は制限され、下落は直撃します。
- IGLD(FT Cboe Vest Gold Strategy Target Income ETF):金(ゴールド)ターゲット。資産溶解を防ぐ防波堤という位置づけです。
- JEPQ(J.P. Morgan Nasdaq Equity Premium Income ETF):ナスダック100・ELN型。この中では最も「普通」に見えてしまう錯覚があります。
週の前半は週次配当組が並びました。8月31日に4件、9月1日に2件、9月2日に3件です(AIPI・CEPI・FEPIは2026年5月にREXが月次配当から週次配当へ切り替えた3銘柄です)。
金額としては小粒ですが、株価がどう動こうが、オプションプレミアムの回収サイクルは淡々と回り続けます。
週末の9月4日には月次組の2件が着弾しました。IGLDが1.44ドル/229円で今週最大、JEPQが0.99ドル/156円です。
そして、今週の空回りです。
9月2日、YSPY。0.13ドル。20円。
20円。されどこの20円に、YSPYの、いや私の全存在が宿るッ! 自販機の飲み物すら買えない金額だと笑うでしょうか。だがこの20円は、S&P500の3倍レバレッジETFに対してプット・オプションを売り、その対価として市場から正式に受け取った現金です。
誰かの善意でも、ポイント還元でもありません。契約に基づいて支払われた、まぎれもない現金です(ただし着金の中身がROC=元本払い戻しの銘柄も多く、すべてが利益とは限りません。詳細は後述します)。20円の重みを知らぬ者に、1,182円は語れませんッ!
……20円のために何を騒いでいるのでしょうか。演説しているあいだに、赤ワインのグラスがまた1杯減りました。
そしてIGLDです。今週最大の229円を運んできたこの銘柄について、ひとつだけ含みを残しておきます。
原油が+9.38%も急騰した地政学的緊張下でありながら、金相場に連動するIGLDの損益率はむしろ悪化しました。「有事の金」という常識が、今週は素直に効いていません。理由は後半のCMA考察で扱います。
なお、今週の配当合計は1,182円です。冒頭で開けた赤ワイン1本の値段にも、たぶん届いていません。人柱の実験記録とは、そういうスケールで進行しています。
日本株の2865・563A・453Aは今週の着金がゼロのため、この記録には登場しません。
銘柄別ランキング:NVDYの帰還と、453Aの沈下

| 順位 | ティッカー | 先週損益率 | 今週損益率 | 前週差(pp) | 魂の叫び |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | NVDY | -14.75% | -11.34% | +3.41pp | 主役、ようやく帰還する |
| 2 | CEPI | -11.34% | -8.91% | +2.43pp | 混沌の覇者が浮上した |
| 3 | FEPI | -9.46% | -8.56% | +0.90pp | 劇薬が静かに効いてきた |
| 4 | QQQI | 0.53% | 0.94% | +0.41pp | 安定感担当は今週も無傷 |
| 5 | TQQY | -24.63% | -24.38% | +0.25pp | 死神が一歩だけ下がった |
| 6 | NVYY | -37.78% | -37.62% | +0.16pp | 谷底で0.16pp動いた |
| 7 | YSPY | -18.93% | -18.82% | +0.11pp | 20円の主、微かに前進 |
| 8 | DOGG | 7.36% | 7.41% | +0.05pp | 犬は今週も黙って稼ぐ |
| 9 | TLTX | -8.89% | -8.96% | -0.07pp | 守護者、金利に削られる |
| 10 | ULTY | -32.87% | -33.03% | -0.16pp | 吐血が止まらない |
| 11 | AIPI | -9.18% | -9.37% | -0.19pp | 暴れ馬が小さく暴れた |
| 12 | JEPQ | 7.53% | 7.03% | -0.50pp | 前座も今週は一歩後退 |
| 13 | 2865 | 3.37% | 2.09% | -1.28pp | 守備の番人がよろめく |
| 14 | IGLD | -13.91% | -16.10% | -2.19pp | 有事なのに金が輝かない |
| 15 | 563A | 3.32% | 1.07% | -2.25pp | 新型兵器、プラス圏死守 |
| 16 | 453A | -2.66% | -4.93% | -2.27pp | 国債使い、さらに沈む |
このセクションで初出となる銘柄を補足します。
- QQQI(NEOS Nasdaq-100 High Income ETF):ナスダック100のオプション戦略。ポートフォリオ内では安定感担当です。
- TLTX(Global X Treasury Bond Enhanced Income ETF):長期米国債のカバードコール。長期債は最も金利感応度が高く、利上げ局面では静かに、しかし確実に削られます。
- 2865(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF):東証上場・円建て。カバー率100%で値上がり益を完全に手放す代わりに、月次配当を安定的に積み上げる純粋型です。
- 563A(グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF):東証上場・円建て。カバー率約10%でNASDAQ100の上昇にほぼ追随できますが、下落時のクッションは薄い設計です。
なお、この損益率は株価のみの変動率であり、配当を含みません。後述するポートフォリオ全体のトータルリターンとは別指標です。混同しないよう注意が必要です。また、この損益率は各銘柄が上場する市場の建値(米国上場銘柄はドル建て、東証上場の2865・563A・453Aは円建て)でそれぞれ算出しており、通貨は統一していません。
首位はNVDYでした。週間+3.41pp。
先週-14.75%という、保有銘柄のなかでも最悪圏に沈んでいた銘柄です。それが今週-11.34%まで戻してきました。3.41ppという改善幅は、2位CEPIの+2.43ppを1pp近く引き離しています。
主役の帰還ッ! エヌビディアのボラティリティを配当に変えるこの銘柄は、上昇の天井が低いという構造的な弱点を抱えています。それでも下げ切ったあとの戻りでは、こうして先頭を走る力を残していますッ!
……とはいえ、まだ-11.34%の含み損です。マイナス圏のなかで順位を競っているだけの話であり、プラス転換までの距離はまだ相当あります。
上位陣ではCEPIが-11.34%から-8.91%へ、FEPIが-9.46%から-8.56%へ改善しました。REXの週次配当3銘柄のうち2銘柄が上位に食い込んだ形です。
一方、下位は金利・商品市況に加えて、為替(円高)も効いています。14位IGLD(-2.19pp)、15位563A(-2.25pp)、16位453A(-2.27pp)。563A・453Aはいずれも東証上場の円建て銘柄で、原資産(NASDAQ100・米国長期国債)の値動きだけでは説明がつかない下落幅です。
最下位の453Aは、先週-2.66%から今週-4.93%へ、マイナス圏でさらに悪化しました。金利上昇も多少寄与していますが、下げ幅の大半は円高によるものです。詳しい内訳は次のセクションで整理します。
そして含み損の常連2銘柄です。ULTYは-33.03%、NVYYは-37.62%。
3割超の含み損というのは、もはや「値動き」ではなく「地形」です。週間で0.15pp下げようが0.16pp上げようが、風景はほとんど変わりません。
ULTYは今週も107円の配当を、NVYYも63円の配当を、律儀に運んできました。元本を溶かしながら現金を吐き出す。この構造を1年間記録するのが本実験の趣旨とはいえ、深夜に順位表を眺める気分は決して爽やかではありません。
今週のポートフォリオ決算

| 項目 | 金額(ドル) | 金額(円・為替込み) |
|---|---|---|
| 投資元本 | 1,976.39ドル | 310,206円 |
| 株式時価総額合計 | 1,777.81ドル | 277,731円 |
| 株式評価損益合計 | -198.59ドル | -32,475円 |
| 株式評価損益率 | -10.05% | -10.47% |
| 累計配当金総額 | 245.11ドル | 39,137円 |
| トータルリターン | 46.52ドル | 6,662円 |
| トータルリターン率 | 2.35% | 2.15% |
数値を淡々と確認します。
投資元本は円建てで310,206円、時価総額は277,731円です。差分の-32,475円が株式評価損益で、率にして-10.47%となります。ドル建てでは-198.59ドル、-10.05%です。ドル建てでは-10.05%、実際に円で支払った金額を基準にした体感値(円建て)では-10.47%となります。
累計配当金総額は円建てで39,137円、ドル建てで245.11ドルです(源泉徴収後の税引後・手取り額)。ドル建ての投資元本に対する比率は12.4%にあたります。
評価損益と累計配当を合算したトータルリターンは、円建てで+6,662円(+2.15%)、ドル建てで+46.52ドル(+2.35%)です。
つまり、株価の評価損は10%を超えていますが、累計配当を加えたトータルリターンはプラス圏を維持しています。評価損益率-10.47%とトータルリターン率+2.15%には差があります。その差およそ12.6pp分が、これまでに積み上げた配当の寄与ということになります。
本レポートの為替レートは、項目によって基準が異なります。株式時価総額(および評価損益)は本稿執筆時点のレート156.221円/ドルで換算していますが、配当・投資元本は着弾日・約定日ごとの実勢レート(概ね156〜160円/ドルのレンジ)で積算した実額です。
この決算表の円建て数値は、単一レートへの一括換算ではなく、時点の異なる複数のレートが混在した実額ベースの合計であることにご留意ください。なお配当着弾表の個別銘柄の円換算額は、ドル金額の端数処理の影響で、上記レンジからわずかに外れて見える場合があります(合計への影響は数円〜十数円程度です)。
CMA考察:金利という刃と、輝かなかった金

今週のポートフォリオを動かした力は、大きく2つに整理できます。金利と、地政学です。順に見ていきます。
トピック①:金利上昇と円高、長期債カバードコールETFへの二重の逆風
今週453Aがマイナス圏でさらに沈んだ理由は、「金利上昇」と「円高」の複合です。順に見ていきます。
まず金利です。9月4日の雇用統計で非農業部門雇用者数が+16.2万人と、市場予想の約3倍で着地しました(ただし6・7月改定後の実数はそれぞれ+3.1万人・+2.1万人にとどまり、直近3か月平均は約7.1万人です。基調が力強く上向いたというより、8月単月が振れた形に近いといえます)。
それでも単月として市場予想を大幅に上回ったことは事実で、「利上げも選択肢として残る」という観測を市場に呼び戻しました。
実際、ウォラーFRB理事は9月3日の講演で、2%目標への改善が続けば据え置きを支持するとしています。一方、インフレが再燃すれば利上げも検討するという、条件付きのスタンスを明言しています。
市場はこの講演を全体としてハト派(据え置き寄り)と受け止め、9月利上げの織り込みは講演直後に約63%から約50%へ低下したと報じられています。その状態のところに、翌9月4日の強い雇用統計が出た形です。
結果として、米10年債利回りは4.722%から4.782%へ、週間+5〜6bp上昇しました。
ここで効いてくるのが「金利感応度」です。金利感応度とは、金利が1%動いたときに債券価格がどれだけ動くかの度合いを指します。償還までの期間が長い債券ほど、この感応度は大きくなります。
453Aは米国長期国債(20年超)を投資対象とし、TLTX(Global X Treasury Bond Enhanced Income ETF)も長期米国債を対象としています。保有銘柄のなかで、金利感応度が最も高いグループです。
具体的な数字を並べます。453Aは-2.66%から-4.93%へ(-2.27pp)、TLTXは-8.89%から-8.96%へ(-0.07pp)。同じ金利感応度グループのはずなのに、453Aの下げ幅だけがとりわけ大きく、前週差では全16銘柄の最下位となりました(ただしTLTXはアクティブ運用・週次オプション・部分カバーという設計で、パッシブ・月次オプション・全体カバーの453Aとは構造が異なるため、両者の差をそのまま金利要因の目安として使う点には限界があります)。
この差を金利だけで説明するのは無理があります。453Aは東証上場の円建てETFですが、TLTXは米国上場のドル建てETFで為替の影響を受けません。今週はドル/円が159.321円から156.221円へ、1.95%の円高に振れました。
453Aの下げ幅-2.27ppのうち、金利上昇による寄与はTLTX並みのごく一部にとどまり、残りの大半は円高による目減りだと考えられます。同じ東証上場・円建ての563Aも、原資産のNASDAQ100自体は週間+0.38%上昇したにもかかわらず、円建ての損益率は-2.25pp悪化しました。
これも円高が主因です。ただし同じ1.95%の円高を受けているはずの2865は前週差-1.28ppにとどまっており、円高の影響度は原資産の値動きやカバー設計によって銘柄ごとに差があります。「円高が効いた」という説明は453A・563Aには当てはまりますが、すべての円建て銘柄に一律に適用できるものではありません。
カバードコール型の債券ETFは、オプションプレミアムによって分配金を厚くできます。しかし原資産である長期国債の価格下落そのものを打ち消す力はなく、為替差損を打ち消す力もありません。プレミアムはクッションであって、盾ではない。今週の453Aと563Aは、その構造を素直に示しています。
トピック②:金価格連動IGLDが地政学緊張下でも下落した逆説
ホルムズ海峡の緊張で原油が急騰した一週間なのに、金に連動するIGLDはむしろ下がりました。
普通の感覚では逆です。地政学リスクが高まれば「有事の金」が買われ、金価格は上昇する。教科書的にはそうなります。
ところが今週は、別の力が優勢に働きました。金利です。
金という資産は、利息を生みません。保有していても、クーポンも配当も入ってこない。したがって金の相対的な魅力は、「金利のある資産」の利回りが上がるほど低下します。10年債利回りが4.782%まで上昇した局面では、無利息の金を持つ機会費用が確実に重くなります。
実際、金先物(COMEX)は8月28日の4,529.90ドル/トロイオンスから9月4日の4,476.60ドル/トロイオンスへ、週間-1.18%下落しています。つまり今週の金相場では、地政学リスクによる逃避需要よりも、金利上昇による機会費用の増加のほうが強く効いたと考えられます
(金価格の週間-1.18%という下げ幅と、IGLDの-2.19pp悪化のすべてを金利要因だけで説明しきれるかは別途検証が必要で、ここでは方向性の一致を示すにとどめます)。原油と金は「有事に買われる商品」として一括りにされがちですが、金利感応度という点ではまったく別の性質を持っています。
具体的な数字はこうです。IGLDは-13.91%から-16.10%へ、週間-2.19ppの悪化。原油が+9.38%も急伸した週に、金連動のIGLDは下から3番目に沈みました。
マスターの診断欄でIGLDは「輝く金の盾」「資産溶解を防ぐ防波堤」と位置づけられています。今週は、その盾のほうが凹んでいます。地政学的な有事に強いはずの銘柄が、金利という別方向からの圧力で削られる。分散投資というものが、必ずしも想定どおりには機能しないことの一例と言えそうです。
今週の教育コーナー:相関は固定されていない
今週のポートフォリオから学べることを、ひとつだけ抽出しておきます。
保有銘柄16本のうち、下位3銘柄(IGLD・563A・453A)は「金利上昇」と「円高」の組み合わせで説明がつきます。IGLDは金利上昇による金の機会費用増加、563A・453Aはそこに円高(159.321円→156.221円、週間1.95%)が重なっています。一方、上位3銘柄(NVDY・CEPI・FEPI)はいずれも米国のグロース株・テーマ株を原資産とする銘柄です。
つまり今週のポートフォリオは、実質的に「金利感応度の高い資産+為替の逆風を受ける円建て資産 vs 株式ボラティリティを収穫する資産」という構図で動きました。ティッカーの数は16でも、動いている軸は金利・株式ボラティリティ・為替の3本です。
分散とは銘柄数ではなく、リスク要因の分散である。頭では分かっていた話が、前週差の並びとして目の前に出てくると、それなりに応えます。
云ってはいけない……ッ!
ここで、読者諸兄の胸に浮かんでいるであろう正論を、あえて言葉にします。
「株価が3割減っている銘柄から配当を受け取り続けているなら、それは配当ではなく、元本を分割で受け取っているだけではないのか」
ULTYは-33.03%、NVYYは-37.62%。この2銘柄について、その問いは完全に正当です。正当すぎます。
だが云ってはいけない……ッ! 云ってはいけないのだ……ッ! 深夜にワイングラスを傾けながら含み損を数えている人柱に、その正論はあまりにも効きすぎるッ!
いや、云わねばならないのですが。それを検証するのが本実験の目的なのですが。
来週の見通し・注目イベント:沈黙のブラックアウト週間

来週は、FRBが黙る週です。
確定している日程を、淡々と並べます。
- 9月11日(金)8:30 ET:8月CPI発表(BLS発表スケジュールで確認済み)。ウォラー理事の発言に照らせば、この数字が「据え置き」か「利上げ検討」かの分水嶺になります。
- 9月15日〜16日:次回FOMC会合。政策金利の発表は16日です。
- 9月5日(土)から:FOMCブラックアウト期間入り。したがって来週は、FRB高官の発言が公式には出てきません。
レジームの見立てです。「インフレ鈍化・金利高止まり」の局面は7月27日の週以降継続しており、現時点で判定を変える材料はないため据え置きとします。ただし市場の織り込みで見ると、9月FOMCでの25bp利上げは雇用統計後で約52〜59%(ウォラー講演前は約63%、雇用統計前は約50%)と、ほぼコイン投げ相当の水準まで上がっています。
「据え置き」と見立てつつも、実際にはかなりきわどい分岐点にいるということです。長期債デュレーションを抱える453A・TLTXにとっては軽視できないリスクであり、9月11日のCPI次第で構図が一変しうる点も含めて、留保として明記しておきます。
保有銘柄の権利落ち日・分配日程については、運用会社の公式発表で来週分を確認できるデータが手元にありません。したがって断定的な記載はしません。
さて、ブラックアウトです。
FRBが沈黙する1週間。だが沈黙こそ雄弁ッ! 何も言わないウォラー理事の胸中を、我々は読み解かねばなりませんッ! 9月3日の講演で残された「インフレが再燃すれば利上げも検討する」という一文を、我々は行間まで解剖せねばならないッ!
……と意気込んだところで、結局は9月11日のCPIの数字が全てを決めます。理事の胸中など読めるわけがありません。
読めないものを読もうとするより、着金した配当を数えるほうが、人柱の仕事としては正しいのでしょう。来週も口座を見ます。それだけです。
結論

聞いてください!!
今週の数字は、正直に言えば見たくないものでした。株式評価損益は円建てで-32,475円、率にして-10.47%。453Aはマイナス圏からさらに沈み、-4.93%まで来ました。ULTYは-33.03%、NVYYは-37.62%です。
含み損を抱えている方なら、あの感覚はご存じかと思います。口座を開く前の数秒間の、あの妙な躊躇です。あなたが今週それを味わったのなら、船橋の深夜にも同じことをしていた人間がひとりいた、とだけお伝えしておきます。
それでも、事実として記録しておくべき数字があります。
累計配当39,137円を含めたトータルリターンは、円建てで+6,662円(+2.15%)。ドル建てでも+46.52ドル(+2.35%)です。評価損は10%を超えているのに、合計ではプラス圏に残っています。
理屈としては単純です。カバードコール戦略は、原資産の値上がり益の一部を放棄します。その代わりに、オプションプレミアムを現金として先に受け取る構造を持ちます。
したがって、いったん受け取った現金は評価額がその後どう動こうと書き換えられません(ただしプレミアムの原資はNAVに比例するため、評価損が拡大すれば今後受け取れる金額自体は目減りしていきます。
今回のトータルリターンがプラスなのは、過去に受け取った現金の厚みが今の評価損をまだ上回っているからであり、この先も同じペースで積み上がることを保証するものではありません)。
評価損益率-10.47%とトータルリターン率+2.15%のあいだにある約12.6pp。それが、これまで受け取ってきた現金の厚みです。
私はこの含み損のなかで、配当を数え続けます。20円のYSPYも、63円のNVYYも、1円単位で記録し続けます。市場が私の評価額を毎日書き換えようと、着金済みの現金だけは書き換えられないからですッ! この記録は、そのためだけに存在していますッ!
……と、赤ワインの空いた4杯目のグラスを眺めながら思うわけです。正気とは言っていません。
この実験は、正解を示すためのものではありません。含み損を抱えたカバードコールETFのポートフォリオが、1年間でどこに着地するのか。その過程を、良い週も悪い週も同じ粒度で記録し続けることが目的です。
あなたが今、同じような赤い数字を眺めているのなら、この記録が「他人の口座でも似たようなことが起きている」という程度の材料にはなるはずです。
もっとも、着金の中身がROC(元本払い戻し。分配金の一部が利益ではなく投資元本の返還である会計上の扱い)の銘柄も多いのですが。
今週も、負けてない。1,182円、確かに口座に入った。
よくある質問(FAQ)
Q1. 含み損が10%以上あるのに配当を含めるとトータルリターンがプラスになるのはなぜですか?
含み損が10%以上あるにもかかわらず、配当を含めるとトータルリターンがプラスになるのは、主に以下の理由が考えられます。
- 配当による収益の積み重ね: 投資信託やETFは、投資対象から得られる配当金や利息を投資家に分配します。株価が下落して含み損が発生していても、定期的に支払われる配当金が積み重なることで、最終的なトータルリターンがプラスになることがあります。特に、高配当戦略をとるファンドは、配当による収益がパフォーマンスに大きく寄与する可能性があります。
- 元本払戻金(Return of Capital): 一部のファンドでは、分配金の一部が元本払戻金(Return of Capital)として支払われることがあります。これは、税法上の利益ではなく、投資家が最初に投資した元本の一部が返還されるものとみなされます。元本払戻金は、投資家の取得原価を減少させますが、課税対象とならないため、手取り額が増え、トータルリターンを押し上げる要因となることがあります。
- オプション取引による収益: 一部のETFは、カバードコールオプションなどのオプション取引を活用して追加の収益を得る戦略をとっています。カバードコールオプションを売却することで得られるプレミアム収入は、株価が下落した場合でもファンドの収益となり、含み損を部分的に補填する役割を果たすことがあります。
これらの要因が複合的に作用することで、株価の含み損があっても、配当を含めたトータルリターンがプラスになる状況が生じることがあります。
Q2. カバードコールETFは株価が下がり続けても配当だけで本当に利益を出し続けられるのですか?
カバードコールETFは、株価が下がり続けても配当だけで利益を出し続けることはできません。
カバードコールETFは、保有する株式の配当金と、コールオプションを売却して得られるオプションプレミアムを収益源とします。株価が下落した場合、オプションプレミアムが損失の一部を相殺する効果はありますが、株価の下落がオプションプレミアムを上回ると、基準価額は下落し、投資元本を割り込む可能性があります。
- 値上がり益の限定:原資産(株式)が上昇した場合の値上がり益は、コールオプションの売却により限定されます。
- 下落時の損失リスク:株価が下落した場合、オプションプレミアムによって損失が軽減される側面はありますが、下落幅が大きいとオプションプレミアムだけでは損失を補いきれず、基準価額が下落する可能性があります。
- 基準価額の変動:カバードコールETFの基準価額は、投資している有価証券等の値動きによって変動し、投資元本が保証されているものではありません。
したがって、株価が下がり続ける状況では、オプションプレミアムだけでは損失をカバーしきれず、利益を出し続けることは難しいと言えます。
Q3. 東証に上場している円建てのETFなのに、なぜ円高の影響で価格が下がるのですか?
東証に上場している円建てのETFであっても、そのETFが外貨建て資産に投資している場合、円高の影響で価格が下がる可能性があります。
- 外貨建て資産の円換算価値の減少:ETFが投資している外貨建て資産(例えば米ドル建ての株式や債券など)の価格が変動していなくても、円高が進むと、その外貨建て資産を円に換算した際の価値が減少します。
- 為替ヘッジの有無:多くのETFでは、為替変動リスクを回避するための為替ヘッジを原則として行っていません。そのため、基準価額は為替レートの変動の影響を直接受けます。
したがって、円高は、外貨建て資産に投資する円建てETFの基準価額を下落させる要因となり、投資元本を割り込む可能性もあります。
※本記事は筆者個人の実験記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。過去の実績・傾向は将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。記載の数値は2026年9月4日時点の実績値および各一次情報に基づきます。為替レートは、時価評価は156.221円/ドル、配当・投資元本は各着弾日・約定日の実勢レートを使用しています。
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