ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
2026年10月中旬の週末、船橋の自宅で網戸を張り替えました。近所のホームセンターの金物売り場で、押さえゴムとローラーを買ってきたのです。レジの横には、もう来年のカレンダーが積まれていました。
帰ってから、網戸の枠を拭きながら思い出しました。19世紀に編まれた暦を、アメリカの金物屋が客に一枚のカードにして配っていたことを。そのカードには、2059年までの「儲け時」が刷られています。金物屋は昔から、未来の暦まで配っていたわけです。
申し遅れました。私は証券アナリスト(CMA)とFP資格を持つ、アラフィフの兼業ブロガーです。普段は高配当・カバードコール型ETFを中心とした「オプション活用実験」を続けています。
今日はその実験の外側にある、一枚の古いカードの答え合わせをします。
2026年10月16日、S&P500の終値は7,659.44でした。終値ベースの年高値(2026年10月6日の7,818.93)から2.0%下の位置です。
ベナーのカードは、この2026年を「売れ」の年と記しています。
あなたはいま、何を見ていますか。チャートですか、ニュースですか、それとも19世紀のカレンダーですか。そしてその地図は、本当に当たるのでしょうか。
ベナーサイクルの前作(2026年を「最後の審判」の年と書いた記事)は2023年11月に書き始め、2025年9月の改訂で、このカードを手がかりに2026年を好景気の頂点と整理しました。今日は、その過去の自分への通信簿をつけます。
使う道具は、yfinance(Yahoo Finance)の終値だけです。占いの答え合わせを、アナリストの物差しでやる。正気とは言っていません。
① ベナーサイクルとは——金物屋のカードに刷られた、売り時と買い時の暦

ベナーサイクル(Benner’s cycle)とは、19世紀アメリカの農夫ベナー(Samuel Benner)が唱えた景気と相場の周期説です。
1907年版の原典の題名どおり、銑鉄・豚・トウモロコシ・食料品(provisions)の価格の上下から、儲かる年を割り出しました。
原典では、パニック(恐慌)は16年・18年・20年の間隔で巡るとされています。

広く出回っている図の実物は、米デンバーの金物商 George Tritch Hardware Co. が配った販促カード「Periods When to Make Money」です。
カードの下部には「COMPILED 1872」「COPYRIGHT 1883 and 1897」と印字されています。
カードは、年を3つの区分に分けています。年の数字は、低解像度の画像から私が目で読み取ったものです。
| 区分 | カードの英文(要旨) | 意味 | カード上の年表(画像から読み取り・抜粋) |
|---|---|---|---|
| A | Years in which panics have occurred and will occur again | パニックが起きた年、また起きる年 | 1927、1945、1965、1981、1999、2019、2035、2053 |
| B | Years of Good Times, High Prices and the time to sell Stocks and values of all kinds | 好景気・高値で、株などを売る時期 | 1999、2007、2016、2026、2034、2043、2053 |
| C | Years of Hard Times, Low Prices, and a good time to buy Stocks… | 不景気・安値で、株を買い、好景気まで持つ時期 | 2005、2012、2023、2032、2039、2050、2059 |
Aの間隔を数えると、1981→1999が18年、1999→2019が20年、2019→2035が16年。原典の「16・18・20年」の並びと、カードの年表は噛み合っています。
ここで、確度を正直に書いておきます。
- 成立年が揺れている:資料によって1872年・1875年・1884年・1897年と記述が割れます。本記事では断定せず、カードの印字だけを示します。
- 日付が合わないことがある:本記事の実測でも、Aは1年遅れ、Cは1年早まりました(③で詳しく見ます)。
- 科学的な検証はない:統計的に確かめられた理論ではなく、経験則の一つです。
冷静に並べると、なかなかの代物です。
さあ、ご覧ください。こちらのカード一枚で、2059年までのパニックの年も、売り時も、買い時も、まるごと分かります。お値段は……金物屋さんの販促品ですから、たぶん釘のおまけです。
(ここで通販番組の司会者が、急に小声になる)
しかも百数十年後のネットでは、肝心の予言者の名前が一文字ずれています。Wikimedia Commonsのファイル名は「Banner」。年がずれるのも、ここまで来ると伝統芸かもしれません。
……失礼しました。CMAの顔に戻ります。
② 胸が騒ぐ経過表——カードの暦と実測を、一年ずつ並べる

今回のサイクルは、2016年(B)から始まり、2019年(A)、2023年(C)を経て、2026年(B)に至る流れです。カードの区分と、S&P500の実測を並べました。
| 年 | カードの区分 | S&P500の実測(終値) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 2016 | B(好景気・売り) | 2/11安値1,829.08→12/13高値2,271.72/年末2,238.83 | 売り時の年に、年安値をつけて上昇 |
| 2017 | 区分なし | 年末2,673.61 | ― |
| 2018 | 区分なし | 9/20高値2,930.75→12/24安値2,351.10(−19.8%)/年末2,506.85 | 区分のない年に下落 |
| 2019 | A(パニック) | 年末3,230.78/年高値3,240.02(12/27) | パニックは起きず、年末に年高値 |
| 2020 | 区分なし | 2/19高値3,386.15→3/23安値2,237.40(−33.9%)/年末3,756.07 | コロナ下落はこの年 |
| 2021 | 区分なし | 年末4,766.18 | ― |
| 2022 | 区分なし | 1/3高値4,796.56→10/12安値3,577.03(−25.4%)/年末3,839.50 | 区分のない年に大きな下落 |
| 2023 | C(不景気・買い) | 年末4,769.83(前年末比+24.2%)/年安値3,808.10(1/5) | 上昇の年 |
| 2024 | 区分なし | 年末5,881.63 | ― |
| 2025 | 区分なし | 2/19高値6,144.15→4/8安値4,982.77(−18.9%)/年末6,845.50 | 区分のない年に下落 |
| 2026 | B(好景気・売り) | 1/27高値6,978.60→3/30安値6,343.72(−9.1%)→10/6高値7,818.93(史上最高値)→10/16終値7,659.44 | 年の途中、判定保留 |
(出典:yfinance(Yahoo Finance)終値。年内の高値・安値は終値ベース。2026年10月19日取得)
2026年3月30日の安値から10月6日の高値までは+23.3%です。そこから10月16日までに2.0%下げました。
長い目で見ると、2019年末から2026年10月16日までの上昇率は+137.1%。2020年3月23日の安値からは+242.3%です。
③ 遅刻とフライング——的中と外れを、過去の自分もろとも採点する

経過表から、答え合わせを4点にまとめます。
- 2016年のB(売り):この年のS&P500は、2月11日に年安値1,829.08をつけてから上昇しました。2016年末(2,238.83)から2019年末(3,230.78)までは+44.3%。売り時とされた年のあとも、上昇は3年続いています。
- 2019年のA(パニック):2019年に暴落はありませんでした。実際の急落は2020年2月19日から3月23日にかけての−33.9%。カードより1年遅れです。
- 2023年のC(底):S&P500の安値は2022年10月12日の3,577.03でした。カードより1年早い底です。2023年の安値3,808.10は、前年の安値を上回っています。
- 区分のない年の下落:2018年は高値から−19.8%、2022年は−25.4%、NASDAQ100は−35.3%(1/3の16,501.77→12/28の10,679.34)。2025年もS&P500は−18.9%下げています。
下落は来た。でも、日付が合わない。しかも、区分のない年にも来ている。
ただし、これは日付の採点です。「Cの2023年に買い、Bの2026年まで持つ」という売買の指示として見ると、2022年末の終値3,839.50から2026年10月16日の7,659.44まで+99.5%になります(※仮定計算)。採点の物差しを変えると、評価は反転します。
ここからは、採点基準そのものを疑います。
ベナーのカードは、2016年の売り時のあとも相場を上げ続けさせ、2019年のパニックには1年遅れ、2023年の底には1年早く着きました。遅刻とフライングを交互にやるのだから、手に負えません。それでも誤差は数年で、世紀単位でずれてはいません。「せいぜい数年」と言い出した時点で、私はもうカードの味方です。
もう一人、採点しなければならない相手がいます。前作を改訂した2025年秋の私です。前作で、私は2026年を好景気の頂点と整理しました。
さらに、前作を書き始めた頃(2024年初頭の版)の私は、2022年10月の底を、2023年の底との「2か月の誤差、恐るべき精度」と絶賛していました。今回、同じ底を「暦年で1年早い」と採点しています。
同じ底、同じカード、同じ私。変わったのは、採点者の機嫌だけです。採点基準が、2年で甘口から辛口に変わりました。いちばん信用できない採点者は、私でした。
では2026年はどうか。10月6日に史上最高値なら、頂点の年は当たっているように見えます。ただ、年はまだ2か月半残っています。
ここで丸をつけて12月に相場が崩れたら、また採点を直すことになります。過去の自分で、もう懲りました。2026年が天井の年だったかどうかは、年が終わるまで判定保留です。
保留は無罪ではなく、宿題の先送りです。
正直に打ち明けます。当たってほしいのか外れてほしいのか、自分でも決めかねています。当たれば前作の面目は立ちますが、下落は人柱の口座にも直撃します。外れれば口座は助かりますが、前作は赤ペンだらけです。見栄と財布が、逆向きに引っ張ってきます。
前作では、通説の的中例として1929年・2000年・2008年・2020年を挙げました。カード上でも、2007年のBの翌年にリーマン・ショックが起きています。
ただ本記事で実測を確かめたのは2016年以降なので、それより前の採点は控えます。当たった例だけを拾うのも、避けたいところです。
④ 2026年の通信簿——株・金・ビットコイン・金利は、同じ方向を向かなかった

カードのBは「株と、あらゆる価値あるもの(values of all kinds)」を売る年でした。では2026年、資産ごとの成績はどうだったのでしょうか。2026年10月16日時点(ビットコインは10月17日)の通信簿です。
| 資産 | 直近の高値(終値・日付) | 2026年の安値(終値・日付) | 最新値 | 高値からの位置 |
|---|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,818.93(2026-10-06) | 6,343.72(2026-03-30) | 7,659.44 | −2.0% |
| NASDAQ100 | 31,224.47(2026-10-06) | 22,953.38(2026-03-30) | 29,187.55 | −6.5% |
| 日経平均 | 72,366.34(2026-06-25) | 51,063.72(2026-03-31) | 65,324.29 | −9.7% |
| 金(GC=F先物) | 5,318.4(2026-01-29) | 3,992.1(2026-07-16) | 4,181.1 | −21.4% |
| ビットコイン | 124,752.53(2025-10-06) | 58,558.86(2026-06-30) | 81,382.15(10/17) | −34.8% |
| 米10年債利回り | 5.31%(2026-10-05・年高) | ― | 5.10% | ― |
(出典:yfinance(Yahoo Finance)終値。2026年10月19日取得。日経平均の2025年末は50,339.48、金の2025年末は4,341.1)
S&P500とNASDAQ100は、10月6日にそろって年高値をつけ、いまもその近くにいます。
金は高値から7月16日の安値まで−24.9%、ビットコインは高値から2026年6月30日の安値まで−53.1%でした。
米10年債利回りの5.31%は、2020年3月9日の0.50%(終値ベースの年安)とはまるで別の景色です。
並べてみると、高値をつけた時期が資産ごとにばらばらです。株は秋、日経平均は初夏、金は年初、ビットコインは前年の秋でした。


「あらゆる価値あるものが高い年」という絵とは、少し違います。同じ時期にこうした動きが起きた、という事実までは言えます。それがサイクルのせいかどうかは、私には断定できません。
⑤ 2027年からの分かれ道——三つのシナリオと、後出しを封じる物差し

カード上の年表(画像から読み取り)では、この先は次のように並んでいます。
| 年 | 区分 | 意味 |
|---|---|---|
| 2026 | B | 好景気・高値(いまここ) |
| 2032 | C | 不景気・安値(カードが底と記す年) |
| 2034 | B | 好景気・高値 |
| 2035 | A | パニック |
| 2039 | C | 不景気・安値 |
カードどおりなら、2027年から2032年にかけて、相場は「Hard Times」に向かう計算です。ここから考えられる道は、三つあります。
- シナリオ1:カードどおり。2026年が天井となり、2027年から下落の時期に入る。
- シナリオ2:1〜2年ずれる。天井も底も、前後にずれる。今回のサイクルでも、Aは1年遅れ、Cは1年早まり、2016年のBは売り時のあとも上昇が続きました。ずれの向きも大きさも一定ではありません。
- シナリオ3:外れる。2032年に向けた不景気そのものが来ない。
強いて挙げるなら、私が一番ありそうだと感じているのはシナリオ2です。根拠は今回のサイクルで日付が合わなかった3回だけで、統計的な裏付けはありません。
ただ、シナリオを並べるだけでは、どれが来ても「想定内でした」と言えてしまいます。それでは後出しジャンケンです。
🚨 そこで、結果が出る前に答え合わせの物差しを宣言しておきます。予測ではありません。あとで自分を逃がさないための物差しです。
- 物差し1:S&P500が、2027年12月末までに終値で7,818.93を上回るか。
- 物差し2:S&P500が、2027年12月末までに終値で約5,833以下に届くか。
物差し2の約5,833は、2026年10月6日の高値7,818.93から、2022年と同じ−25.4%下げた水準です(※仮定計算:7,818.93×(1−0.254)≒5,833)。
| 物差し1(高値更新) | 物差し2(約5,833以下) | 読み方 |
|---|---|---|
| 上回らない | 届く | シナリオ1(カードどおり)に近い |
| 上回る | 届く/届かない | 2026年は天井ではなかった。その後の下落の時期で、シナリオ2(ずれ)か3(外れ)かを見分ける |
| 上回らない | 届かない | 判定保留(どちらとも言えない横ばい) |
物差しは検証のための目安であり、相場の予想でも売買の基準でもありません。なお、シナリオ2(ずれ)は2027年12月末の1回では白黒がつきません。2028年以降も同じ物差しで、年末ごとに採点を続けます。
2027年12月末に、この表で一度採点します。最終的な判定は、カードが底と記した2032年まで続けます。
⑥ 暦に賭けず、物差しを持つ——私の備え方

ここからは、私の投資哲学としての整理です。
ベナーのカードを眺めるとき、私は売買の合図を探しているわけではありません。自分の判断基準を点検する「目覚まし時計」として使っています。
一つ目は、判断の基準を先に決めておくことです。⑤で物差しを結果より先に書いたのは、そのためです。相場が動いたあとに基準を作ると、人はたいてい自分に甘くなります。私も例外ではありません。
二つ目は、複数の指標で確かめることです。2026年は株価指数が高値圏にいる一方、金とビットコインは高値から大きく下にいました。一つの暦や指数だけで「景気の季節」を決めると、景色の半分を見落とします。
守りの手順は、前作で「3つの鉄則」(トレーリングストップなど)として整理したので、ここでは繰り返しません。カードが当たっても外れても、数字を記録し、見立てと突き合わせ、ずれを認める。私がすることは変わりません。
ちなみに、網戸は張り替えましたが、ポートフォリオの網目はまだ張り替えていません。蚊は入ってこなくても、含み損は入ってくるかもしれません。
⑦ 結論——カードが底と記す2032年まで、通信簿は閉じない

2026年の天井は当たったのか。今日の時点での答えは「分からない」です。
10月6日に史上最高値の7,818.93。10月16日はそこから2.0%下。年はまだ終わっていません。
今回のサイクルを実測で振り返ると、カードは日付を外し続けていました(Aは1年遅れ、Cは1年早く、2016年のBは売り時のあとも上昇が続きました)。区分のない年に、大きな下落もありました。方向が当たっていたかどうかは、数点の実測で言い切れるものではなく、統計的な裏付けもありません。地図としては粗い。けれど、点検の日付を教えてくれる暦としては、まだ使い道があると私は考えています。
通信簿の所見欄には、こう書いておきます。
「遅刻とフライングが目立ちますが、毎回ちゃんと出席はしています。2032年の期末試験に期待」。
カードの年表は、2059年まで続いています。正直に言えば、カードの寿命より、検証する私の体力の方が不確かです。
それでも、2032年のCの年までは見届けます。2027年12月末には、物差しで一度採点します。
今回は、判定保留。7,818.93という数字だけが、確かに記録に残りました。
👇 採点される側の答案は、こちらです。2025年秋の私が何をどこまで言い切ったか、通信簿と見比べてください。

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📌 免責事項本記事は、筆者個人の検証記録と公開情報に基づく情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買や投資を勧誘するものではありません。ベナーサイクルは19世紀に作られた経験則であり、科学的な検証はなされておらず、過去の値動きや的中例は将来の結果を保証しません。本記事の物差しやシナリオは検証のための目安であり、将来の相場の予想や売買の指示ではありません。株式・債券・金・暗号資産等には価格変動、為替変動、金利変動等のリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。掲載数値は作成時点のものです。最終的な投資判断は、ご自身の責任で行ってください。
参考一次情報ソース一覧
- ベナーサイクル図(George Tritch Hardware Co.「Periods When to Make Money」、Wikimedia Commons、パブリックドメイン):https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/7c/Banner_Cycle.jpg(2026-10-19確認)
- Wikimedia Commons ファイル説明ページ:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Banner_Cycle.jpg(2026-10-19確認)
- Wikipedia「Benner’s cycle」:https://en.wikipedia.org/wiki/Benner%27s_cycle(2026-10-19確認)
- Internet Archive「Benner’s prophecies of future ups and downs in prices」(1907年版):https://archive.org/details/bennersprophecie04benn(2026-10-19確認)
- 前作(当ブログ)ベナーサイクル記事:https://makotoichikawa.net/investment/business_cycle/p=143/(2026-10-19確認)
- Yahoo Finance(yfinance経由で終値を取得。^GSPC、^NDX、^N225、GC=F、BTC-USD、^TNX):https://finance.yahoo.com/(2026-10-19確認)
- Weblio辞書「ベナーサイクル」(概要・3区分の定義。日本語版Wikipediaの転載):https://www.weblio.jp/content/ベナーサイクル(2026-10-19確認)






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