2024年7月5日に発表された米国労働統計局(BLS)の最新の雇用統計によると、総非農業部門の雇用者数は206,000人増加し、失業率は4.1%と前月から0.1%増加しました。
この結果は、特に政府、医療、社会福祉、および建設業での雇用増加が主な要因となっています。この記事では、最新の雇用統計の詳細を分析し、米国経済の現状を解説します。
雇用市場の堅調な成長は、労働力参加率の安定や賃金の増加にも表れており、特に長期失業者数の増加やパートタイム労働者の状況など、依然として残る課題についても触れます。
最新の統計データをもとに、米国の労働市場がどのように変化しているのかを詳しく見ていきましょう。
雇用統計
2024年6月の米国雇用統計によると、総非農業部門の雇用者数は206,000人増加し、失業率は4.1%と前月から0.1%増加しました。この統計は、政府、医療、社会福祉、および建設業での雇用増加が主な要因です。
雇用増加の詳細
政府部門では70,000人の雇用が増加し、これは過去12か月の平均月次増加数49,000人を上回る結果となりました。地方政府(教育を除く)で34,000人、州政府で26,000人の雇用がそれぞれ増加しています。
医療部門では49,000人の雇用が追加されましたが、これは過去12か月の平均月次増加数64,000人を下回っています。特に、外来医療サービスで22,000人、病院で22,000人の雇用が増加しました。
社会福祉部門では34,000人の雇用が増加し、その大部分が個人および家族向けサービス(26,000人)での増加です。過去12か月間、社会福祉部門は月平均22,000人の雇用を追加しています。
建設業では27,000人の雇用が追加され、これは過去12か月の平均月次増加数20,000人を上回る結果です。
失業率と労働力の状況
失業率は4.1%で、失業者数は680万人でした。これらの数値は前年の3.6%および600万人から増加しています。長期失業者(27週間以上失業している人)の数は16万6,000人増加し、合計150万人となりました。これは前年の110万人からの増加を示しています。長期失業者は全失業者の22.2%を占めています。
労働力参加率は62.6%、就業者比率は60.1%で、これらの指標は年間を通じてほとんど変化がありませんでした。経済的理由でパートタイム労働をしている人の数は420万人で、これも前月からほとんど変化がありません。これらの個人はフルタイムの仕事を希望していましたが、労働時間が減少したか、フルタイムの仕事を見つけることができませんでした。
賃金の動向
6月の非農業民間部門の全労働者の平均時給は10セント(0.3%)増加し、35.00ドルとなりました。過去12か月で平均時給は3.9%増加しています。非農業民間部門の生産および非監督労働者の平均時給も10セント(0.3%)増加し、30.05ドルとなりました。
業種別の雇用状況
専門職およびビジネスサービス分野の雇用は6月にほとんど変化がありませんでした(-17,000人)。一時雇用サービスの雇用は49,000人減少し、2022年3月のピーク以来515,000人減少しています。専門職、科学技術サービスの雇用は6月に24,000人増加しました。
その他の主要産業(鉱業、採石、石油およびガス抽出、製造業、卸売業、運輸および倉庫業、情報産業、金融活動、レジャーおよびホスピタリティ、その他のサービス)では、月を通じてほとんど変化がありませんでした。
修正情報
4月の総非農業部門の雇用増加数は57,000人減少し、165,000人から108,000人に修正されました。5月の雇用増加数も54,000人減少し、272,000人から218,000人に修正されました。これらの修正により、4月と5月の合計雇用増加数は当初の報告より111,000人少なくなっています。この修正は、最後に発表された推定値以来、事業および政府機関からの追加報告と季節要因の再計算によるものです。
結論
2024年6月の雇用統計は、米国経済が引き続き安定して成長していることを示しています。政府、医療、社会福祉、建設業での雇用増加が特に顕著であり、労働市場全体の強さを支えています。ただし、失業率の上昇や長期失業者の増加などの課題も引き続き存在します。
- 非農業部門雇用者数:20.6万人(予想19.0万人) 前月改定値:21.8万人
- 失業率:4.1%(予想4.0%) 前月:4.0%
- 平均時給:0.3%(予想0.3%) 前月:0.4%
- 労働参加率:62.5% 前月:62.7%
欠員率
欠員率は4.85%でした。前月と比較して僅かに増加。
2001~2019年(コロナ前)の失業率が4%以下のときの欠員率の平均が4.4%ということを考えると、まだ改善の余地あります。
失業率が徐々に増加していることが気になります。ついに4.1%まで増加しました。
フルタイムとパートタイム
前年同月比でみると、フルタイムの雇用は右肩下がりです。昨年の11月頃から雇用をパートタイムで補っている傾向が見て取れます。
先月に引き続きフルタイムの雇用は減少傾向、パートタイムの雇用は増加傾向です。
フルタイムの雇用を減少させ、パートタイムの雇用が増加するのはアメリカが景気後退時に見せる一般的な兆候です。
フルタイムとパートタイムの関係だけ見れば、アメリカは景気後退に陥っています。
サームルール
先月に引き続きサームルールをギリギリで回避していますね~
7月の雇用統計発表で4.3%まで失業率が上昇するとサームルール発動です。
失業率が上昇傾向ですし、サームルール発動の可能性は大いにあると感じています。
サームルールを知らない方は以下を御覧ください
Febウォッチ
Febウォッチはを見ると、9月の利下げの可能性が高いです。
先月までは最短で11月から利下げでしたが、前倒しになりました。
5月から一気に経済指標が悪化した影響ですね。
今年に入り、利上げから利下げに転換した地域・国は以下の通りです。
3月21日 スイス
5月8日 スウェーデン
6月5日 カナダ
6月6日 ユーロ圏
9月にはアメリカも仲間に入りそうです。
今月雇用統計後
前月雇用統計後
雇用統統計の発表後の市場の動き
ドルの動向は円高傾向です。
株価はダウ平均、S&P500、NASDAQともに上昇しました。
利下げ期待が高まった影響だと思えます。
出所:https://finance.yahoo.co.jp/stocks/us
まとめ
米労働市場が緩やかながらも正常化に向かっています。6月の米雇用統計は労働需給が緩和し、賃金の伸びも鈍化していることを示しました。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げが一歩近づいた感じがあります。
ただ、労働市場の軟化は、『正常化』と言えるものではなくなり始め、明らかに懸念となりつつあると言う意見もありました。
個人的にはソフトランディング路線継続ですが、5月から想定以上に経済指標が悪化したのは気になるところです。
雇用統計リリースページ
米国労働統計局:https://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htm?ref=upstract.com
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