金ETF『IGLD』の安定に飽きて、さらにヤバい『IAUI』に手を出した話

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千葉県船橋市の自宅。窓の外では春を拒むような冷たい雨がシトシトと降り続いていますが、私の手元にはキンキンに冷えたストロングゼロがあります。モニターに映し出されているのは、真っ赤に染まった米国株の評価損益画面。皆様、今日もお疲れ様です。息をしていますでしょうか。

私のポートフォリオにおいて、金のカバードコール戦略をとる IGLD は、文字通り「聖域」でした。ハイテク株がドロドロに溶け出していく「資産溶解」の真っ最中において、唯一燦然と輝きを放ち、私の理性を繋ぎ止めてきた守護神。

証券アナリストとしての私は、この「盾」の堅牢さを高く評価し、着実な分配金という名の麻酔によって、日々の含み損という痛みを和らげてきました。

しかし、人間とは、いや、私という強欲な投資家は、どこまでも救いようがありません。安定した盾で身を守るだけでは飽き足らず、その盾を溶かしてでも、より刺激的で、より高濃度の「配当」を求めてしまう。その視線の先にあるのが、NEOS社が放つ新星、IAUI です。

今日は、人類の欲望の象徴である黄金の歴史を振り返りつつ、正確な市場データに基づいた比較、そして「金が暴落した際の絶望」という不都合な真実までをも曝け出し、書き連ねていこうと思います。

このブログの内容は動画で詳しく解説しています

目次

第1章:人類を狂わせた「黄金」の叙事詩

金(ゴールド)は、地球上で最も人類を翻弄してきた物質です。私たちがカバードコールなどという小細工で金から現金を搾り取ろうとする前に、この輝きが刻んできた血と欲望の歴史を知る必要があります。

1. 神の肉から、不滅の価値へ

紀元前3000年以上前、古代エジプトにおいて金は「太陽神ラーの肉」と信じられていました。腐食せず、輝きを失わないその性質は、不老不死の象徴だったのです。ツタンカーメンの黄金のマスクを例に出すまでもなく、金は常に権力の頂点に君臨してきました。

2. 金本位制の栄光と、ニクソン・ショックという断絶

19世紀、大英帝国を中心に「金本位制」が確立されました。紙幣の価値が、保有する金の量によって裏付けられる時代です。しかし、1971年の「ニクソン・ショック」により、ドルと金の交換は停止されました。金本位制は終焉を迎え、通貨の価値は国家の信用という、目に見えない虚構の上に置かれることになったのです。

3. 「何も産まない」からこそ「究極の避難先」

皮肉なことに、金本位制が終わってからの方が、金の「安全資産」としての価値は先鋭化しました。インフレ、戦争、金融危機。既存のシステムが揺らぐたびに、人類は数千年の歴史に裏打ちされた黄金の輝きに回帰します。

しかし、証券アナリストとしての冷徹な視点で見れば、金は「利息を生まず、成長もしない」無機質な物質に過ぎません。ウォーレン・バフェットが金を「何も産まないガチョウ」と評したのは、投資の真理を突いています。

だが、私はそのガチョウの首を絞めてでも、黄金の卵(現金)を無理やり産ませたいのです。その欲望が、私をカバードコール戦略へと駆り立てるのです。

第2章:徹底比較!「お堅い優等生」IGLD vs 「ハイブリッド策士」IAUI

一括りに「金のカバードコール」と言っても、IGLDとIAUIでは運用手法が全く異なります。ここを誤解すると、暴落時に致命傷を負うことになります。

1. IGLD:金価格に連動する「お堅い優等生」

  • 正式名称: FT Vest Gold Strategy Target Income ETF
  • 運用手法:FLEXオプションによるターゲット収益戦略IGLDは現物の金を直接持たず、FLEXオプション(取引所外でカスタマイズされたオプション)を使用してリターンを構築します。
  • 戦略の本質:「金価格の動きを再現」しつつ、「米国債利回り+年率約3.85%」程度の安定したインカムを狙います。つまり、金価格が横ばいでも、裏側の米国債運用で着実に現金を稼いでくれる、極めて銀行的な設計です。
  • 公式サイト: First Trust IGLD Summary
項目内容
正式名称FT Vest Gold Strategy Target Income ETF
ティッカーIGLD
CUSIP / ISIN33733E856 / US33733E8562
上場取引所Cboe BZX
設定日2021年3月2日
経費率0.85%
分配頻度毎月
運用会社First Trust Advisors L.P. (Sub-Adviser: Vest Financial, LLC)

2. IAUI:現物+オプションの「ハイブリッド策士」

  • 正式名称: NEOS Gold High Income ETF
  • 運用手法:現物ETF + アクティブ・オプション・スプレッドIAUIは、資産の大部分(最大25%以上)を物理的に裏付けられた金ETF(IAU等)に実際に投資しつつ、残りでオプション取引を行います。
  • 戦略の本質:単にコールを売るだけでなく、「コール・スプレッド」を駆使します。これにより、インカムを確保しつつ、金が急騰した際の「取りこぼし」を最小限に抑えようとする設計です。さらに、税効率を最適化することで、手残りの配当を厚くしています。
  • 公式サイト: NEOS IAUI Product Page
項目内容
正式名称NEOS Gold High Income ETF
ティッカーIAUI
CUSIP / ISIN78433H550 / US78433H5506
上場取引所Cboe BZX
設定日2025年6月4日
経費率0.78%
分配頻度毎月
運用会社NEOS Investments LLC

第3章:2025年下半期・決戦の記録(6月〜12月)

IAUIが設定された2025年6月からの半年間。金価格(XAU/USD)が4,000ドルの大台を突破する狂乱の中で、両銘柄がどのような挙動を見せたのか。ドルベースの数字を整理しました。

2025年6月〜12月:金価格(XAU/USD)・IGLD・IAUI 詳細比較表

※ 金価格(XAU/USD)は月次終値(ドル建て)。

※ 騰落率は前月末価格(5月末 $3,277.99)との比較。

金価格 (XAU/USD)金価格騰落率IGLD価格IGLD騰落率IGLD配当IAUI価格IAUI騰落率IAUI配当
6月3,352.00+2.26%22.32+5.2%0.132049.650.5224
7月3,338.31-0.41%21.78-2.4%0.126849.04-1.23%0.5204
8月3,362.99+0.74%21.780.0%0.130849.10+0.12%0.5113
9月3,665.20+8.99%23.07+5.9%0.134751.49+4.87%0.5434
10月4,053.28+10.59%23.80+3.2%0.141253.21+3.34%0.5807
11月4,082.95+0.73%24.86+4.5%0.142255.22+3.78%0.5706
12月4,289.48+5.06%25.00+0.6%1.060955.90+1.23%0.5975
合計+30.86%+12.0%1.8775+12.59%3.8463

金価格データソース:Investing.com / YCharts

2025年6月を100として計算

【アナリストの考察:配当という名の「目眩まし」】

  • トータルリターン(配当込み):
    • IGLD:約 +20.4%
    • IAUI:約 +20.3%

トータルリターン(配当込み)で見ると、半年間で両者とも約20%前後と、驚くほど似通った数字に着地しています。

しかし、その「質」は決定的に違います。IAUIは分配金としてIGLDの倍以上を吐き出していますが、それは金価格の爆騰局面で本来得られたはずの「価格上昇」を配当として先食いしているに過ぎません。

強欲な私が求めているのは、資産形成ではなく「通帳に刻まれる数字の快感」であることを、このデータは残酷に証明しています。

※ノイズである12月のキャピタルゲイン分配を除外した、6ヶ月間(6月〜11月)の通常の分配金による累計利回りを比較すると以下になります。

IGLD 実質利回り:約 3.62% (6ヶ月累計分配 0.8077 / 22.32)

(年換算:約7.24%)

IAUI 実質利回り:約 6.54%(6ヶ月累計分配 3.2488 / 49.65)

(年換算:約 13.08%)

【考察:配当込みリターンの真実】

トータルリターンではほぼ互角。しかし、中身は別物です。IAUIはIGLDの2倍以上の配当を吐き出していますが、それは元本の上昇を削り取っているに過ぎません。結局、IAUIを選ぶ理由は「毎月口座に振り込まれる現金の額に酔いたい」という、投資家の自己満足に他ならないのです。

補足:2025年 XAU/USD および IGLD 月次パフォーマンス評価

※ 金価格はドル建てスポット価格(XAU/USD)。

※ IGLD価格騰落率は前月末価格比。

※ IGLD合計騰落率 = (当月末価格- 前月末価格 + 配当) / 前月末価格 × 100。

2025年月次データ比較表

金価格 (XAU/USD)金騰落率IGLD価格IGLD価格騰落率IGLD配当IGLD合計騰落率 (トータルリターン)
1月2,709.69+2.48%19.25+1.37%0.1138+1.97%
2月2,894.73+6.83%19.79+2.81%0.1186+3.43%
3月2,983.25+3.06%19.83+0.20%0.1203+0.81%
4月3,207.48+7.52%21.35+7.67%0.1259+8.31%
5月3,277.99+2.20%21.22-0.61%0.1323+0.01%
6月3,352.00+2.26%22.32+5.18%0.1320+5.80%
7月3,338.31-0.41%21.78-2.42%0.1268-1.85%
8月3,362.99+0.74%21.780.00%0.1308+0.60%
9月3,665.20+8.99%23.07+5.92%0.1347+6.54%
10月4,053.28+10.59%23.80+3.16%0.1412+3.77%
11月4,082.95+0.73%24.86+4.45%0.1422+5.05%
12月4,289.48+5.06%25.00+0.56%1.0609+4.83%

2025年累計実績

項目2024年12月末 (始値)2025年12月末 (終値)騰落率 / 累計額
金価格 (XAU/USD)2,644.074,289.48+62.23%
IGLD 市場価格18.9925.00+31.65%
IGLD 累積配当2.4795
IGLD トータルリターン+44.70%

1. 一般的に広く知られている事実

2025年は地政学リスクの高まりや中央銀行の買い越しを背景に、金価格が記録的な上昇を見せました。本来「金」は利息を生みませんが、IGLDのようなカバードコール戦略を用いることで、この上昇相場から毎月の現金フローを捻出することが可能です。

2. 実務経験や事例ベースの分析

IGLDのトータルリターン +44.70%は、高配当ETFとしては驚異的です。しかし、金スポットの +62.23%と比較すると、明白な「アンダーパフォーム」が確認できます。

カバードコール戦略は、原資産が一定以上の速度で上昇すると「権利行使価格」によって利益がキャップされます。特に9月〜10月のような金の急騰局面では、配当を加味してもインデックスに大きく劣後しています。

第4章:絶望の耐性シミュレーション —— 金価格が20%「暴落」したら?

証券アナリストとしての冷徹な予測です。もし金価格が1ヶ月で20%暴落する局面が訪れたら、両銘柄はどうなるのか。

シミュレーション:金価格

-20%

(1ヶ月)

銘柄予測価格騰落率予測配当トータルリターンアナリストの予測
IGLD-17%~-18%0.13-16.5%FLEXオプションの構造上、下落をわずかに緩和する力が働きます。
IAUI-25%~-%0.50-24.5%資産溶解の真骨頂。 合成ポジション(ロング・オプション)は、急落時に価格が先行して崩れます。

第5章:なぜ私は IGLD では満足できないのか?(強欲の正体)

アナリストとしての私は、こう警告しています。「金はポートフォリオの保険だ。保険にレバレッジをかけるのは、火災保険の掛け金をカジノで稼ごうとするようなものだ」と。

しかし、一人の「人柱ブロガー」としての私は、その警告を無視します。 現在の私のポートフォリオは、ハイテク株の暴落により満身創痍。IGLDの「安定した盾」は確かに有難いですが、私の「配当依存症」を癒やすには、あまりにも刺激が足りないのです。

私が求めているのは、20年後の豊かな老後ではなく、「今、この瞬間」に私の銀行口座に振り込まれるドル。例えそれが、自分の身を削って作る「黄金のスープ」であっても、今の私にはその味が必要なのです。

結び:心中ルールの継続と、毒杯の味

私は今、指を震わせながらマネックス証券の「購入」ボタンにカーソルを合わせています。 「心中ルール」に基づき、一度買えば1年間は地獄の底まで付き合う覚悟です。

安定という名の安息を捨て、IAUIという毒杯を煽る。その先に待っているのが、配当金で含み損を殴り倒す「強制勝利」の世界か、あるいは資産が完全に蒸発した「死の深淵」かは、誰にも分かりません。

黄金の盾を置き、私は紫色の液体を飲み干します。 2歳の子を持つ親として、アナリストとして、あるまじき行為かもしれません。しかし、ストロングゼロの酔いが回った今の私には、IAUIの放つ怪しい輝きが、何よりも確かな救いに見えるのです。

人柱としての私の実験は、ここからが本番です。

投資のリアル

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★今回使用した証券会社:マネックス証券 「SBIでFEPIが買えない!」と嘆いている同志へ。 私が使っているのはここです。銘柄スカウターも使えるので、変態ETFを探す旅には必須の装備です。

マネックス証券

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この記事を書いた人

真毅のアバター 真毅 自由人

趣味はカメラ、ランニング、読書。職業はシステムエンジニア。昔はリサーチハウスで企業調査、産業分析を行っていました。目標は投資で稼いでゆっくり生きる。資格はFP2級、証券アナリスト。投資対象は日本株、米国ETF、金、暗号資産、不動産。金融資産と実物資産の両輪で資産形成。

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