ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
午前0時。
千葉県船橋市の夜は、今夜やけに騒がしい。
窓を叩く風の音が、まるで「お前、ちゃんとリスク管理できてるか?」と問い詰めてくるようで——いや、実際にはGW中の不安定な5月の夜風なんですが、なぜかこういう夜に限って、ろくでもないことを調べ始めてしまうんですよね。
人生とは理不尽なものです(白目)。
今回調べたのは「PTP銘柄」という、米国市場に潜む「課税の地雷」についてです。
証券アナリストの端くれとして、FP・CMAの資格を持つ私が、なんでこんな夜中に机に向かってIRSの規則文書を読んでいるのか。それは——「知らずに踏んで死ぬ前に、みんなに警告しなければ」という使命感があるからです。
大げさじゃないんですよ。本当に。
「損をしていても売却代金の10%が消える」制度が、2023年から実際に動いています。しかもその被害者候補に、USO(原油ETF)やBOIL(天然ガスレバレッジETF)を「普通のETFだと思って」保有していた日本人投資家が大量にいた——という話なんです。
今日は風の音をBGMに、この地雷の全容をぶち上げます。これ、テストに出ますよ(出ないけど、出た方がよくない?というレベルで重要)。
① PTP銘柄とは何か——「ETFの顔をした別の生き物」

まず基本から。
PTP(Publicly Traded Partnership)とは、米国の証券取引所に上場する「リミテッド・パートナーシップ(LP)」という法的形態をとるファンドのことです。
見た目は完全にETFです。ティッカーがある。チャートがある。配当が出る。注文画面から普通に買える(買えた)。
しかし中身の構造が根本的に違います。
通常のETFは「法人(Trust)」か「会社(Corporation)」。一方PTPは「有限責任パートナーシップ」——法人税を免れながら利益を投資家に直接パススルーできる、税メリット特化の事業体です。この構造が、エネルギーインフラ(パイプラインMLP)やコモディティ先物ETFで多用されてきた理由です。
ここまで聞くと「へえ、節税できて良さそう」と思いますよね。
その感想、2017年までは正解でした。
2017年の米国税制改革(TCJA)で、非居住者がPTPを売却した際の利益を「米国事業と実質的に関連する所得(ECI)」として課税する規定が明文化されました(IRC 864(c)(8))。
そしてその課税を強制執行するための「取り立て機構」として、2023年1月1日に施行されたのが——IRC 1446(f)。
これが本日の主役です。
② 「死の税制」の正体——損をしていても10%が消える

ここからが核心です。椅子に座り直してください。
通常の源泉徴収は「利益」に課税します。日本で株を売って儲かったとき、その利益の約20%が引かれる——あの普通の仕組みです。
しかしIRC 1446(f)は——
「売却代金の総額(Amount Realized)」に10%課税します。
利益ではありません。売った金額の合計です。
つまり——
含み損で損切りしても、売却代金の10%が強制徴収されます。
損失の上に、さらに税金が乗る。
「死の税制」と呼ばれる理由がわかりましたか?
しかもさらに凄惨なのが「みなし負債」の問題です。PTPは事業のために多額の負債を抱えています。投資家はその負債の一部を間接的に「自分のもの」として計上する会計処理がなされます。PTP持分を売却すると、この「みなし負債のシェア」が消滅し、IRSはこれを「経済的利益を得た」と解釈します。
結果として——
口座に入金された現金より多い額が課税ベースになる場合があります。
受け取った金額より多い額の10%が課税される。もはや意味がわからないレベルの制度設計ですが、これが現実です(遠い目)。
③ 対象銘柄リスト——「ETFに見えて実はLP」という罠

「で、具体的にどの銘柄が地雷なの?」というのが皆さんの本音ですよね。
代表的なPTP対象銘柄をリストアップしました(2023年施行時点・以降も継続対象とみられるもの)。
| ティッカー | 銘柄名 | カテゴリー |
|---|---|---|
| USO | United States Oil Fund LP | 原油先物ETF |
| UNG | United States Natural Gas Fund LP | 天然ガス先物ETF |
| BOIL | ProShares Ultra Bloomberg Natural Gas | 天然ガス・レバレッジETF |
| AMLP | Alerian MLP ETF | エネルギーMLP |
| ET | Energy Transfer LP | パイプラインMLP |
| EPD | Enterprise Products Partners LP | パイプラインMLP |
| UGL | ProShares Ultra Gold | 金・レバレッジETF |
| UVXY | ProShares Ultra VIX Short-Term ETF | VIX関連 |
| MLPA | Global X MLP ETF | エネルギーMLP |
| PAGP | Plains GP Holdings | パイプラインMLP |
※あくまで代表例です。PTPのステータスは随時変動するため、投資前に各証券会社の最新情報をご確認ください。
ここで特に引っかかりやすいのが「金ETFの見た目問題」です。
- GLD(SPDR Gold Shares)やIAU(iShares Gold Trust) → グラントール・トラスト構造のためPTP非該当。普通に買えます。
- UGL(ProShares Ultra Gold)などレバレッジ型金ETF → LP構造のためPTP対象。売ったら10%消えます。
どちらも「金ETF」として検索に引っかかりますが、売却時の扱いは天と地ほど違う。これが「見た目で判断できない」ことの怖さです。
また「Qualified Notice(QN:適格通知)」という通知を四半期ごとに発行することで10%徴収が免除されるPTPも存在します。が、この通知は四半期ごとの更新が必要であり、一度でも途切れた瞬間に課税が復活します。個人投資家がこれをリアルタイムで追跡することは実質不可能です(そもそも追跡する仕組みが存在しない)。
④ 日本の3大ネット証券の現状——2026年5月・一次情報確認済

「で、今でも日本から買えるの?」という話ですが——
3社とも新規買付は停止継続中です。
一次情報で確認しました。
楽天証券(公式ページ:2025年6月2日更新)
PTP銘柄の新規買付は停止継続。既保有分を売却した場合、売却代金の10%を翌月に外貨預かり金から差し引く対応を継続中。2025年6月より徴収方法が「円貨」から「外貨」へ変更されました。
NISAで保有していても例外なく徴収対象。「NISA口座だから非課税でしょ」は通用しません(これ知らない人、結構いそう…)。
SBI証券(取扱停止リスト:随時更新中)
銘柄ごとにPTP該当理由を明示した買付停止リストを公式サイトで公開・更新中。AM・MLPA・PAGPなどが2022年12月5日付で停止。そしてUVXYは2024年12月30日に追加——つまり2023年施行後も、新しい地雷が掘り起こされ続けています。
マネックス証券(公式ページ確認済)
「PTPに該当した銘柄については買付停止を行い、売却処理を行うことがある」と明記。De-SPAC後の新規発行体がPTPに該当した場合も「お預かりできない可能性がある」と案内しています。
証券会社が買付停止にしてくれているのは、ある意味で投資家を守る措置です。
しかしすでに保有している方は要注意。持っているだけなら大丈夫ですが、売ったら10%が消えます。「含み損だから早く損切りしたい」と思っても、売却代金からさらに10%が引かれる二重の地獄が待っています。
⑤ 還付請求の道——理論上は可能、実務は地獄

「10%は仮払いだから、確定申告で取り戻せるのでは?」
正論です。が、実務は本当に凄絶です。
まず非居住者専用の申告書「Form 1040-NR(U.S. Nonresident Alien Income Tax Return)」の提出が必要です。これには個人納税者番号(ITIN)の取得が前提で、パスポート原本または公証機関による認証コピーをIRS(米国国税庁)へ郵送します。
- 申告書の処理期間:通常6〜12ヶ月(場合によってはそれ以上)
- 専門家費用:米国の国際税務に精通したCPA・税理士への依頼で数十万円規模に達することも
仮に源泉徴収された額が少額であれば、還付請求のコストが還付額を上回る「コスト倒れ」になります。
つまり「諦めろ」ということです(涙)。
さらに、PTPが複数の州で事業を展開している場合、連邦税(IRS)への申告だけでなく、カリフォルニア州・ハワイ州など各州への申告義務が発生するリスクもあります。
「取り戻せる」が建前、「諦めるしかない」が現実——これがPTPに潜む見えないコストです。
税務手続きは個々の状況によって異なります。具体的な申告方法は、米国税務に精通した専門家(CPA・税理士)にご相談ください。
⑥ 見分け方——「LP」の2文字が命取りになる

長々と解説してきましたが、実は対処法はシンプルです。
買う前に、銘柄名や目論見書に「LP」「Limited Partnership」「Partnership」という文字がないか確認する。
これだけです。
USO → United States Oil Fund LP ← アウト
UNG → United States Natural Gas Fund LP ← アウト
BOIL → ProShares Ultra Bloomberg Natural Gas ← 名称だけでは判断できないので目論見書確認必須
GLD → SPDR Gold Shares(Trust) ← セーフ
IAU → iShares Gold Trust ← セーフ
たったこれだけのチェックで、今日の記事で解説したすべての罠を回避できます。
⑦ 結論——「知らなかった」では済まされない理由

午前0時。船橋市の風は、まだ窓を叩き続けています。
私はこのブログで数々の「人体実験」を続けてきました。超高配当ETFの罠、NAV侵食の恐怖、カバードコール戦略の光と影——全部自分が実験台になって、血と資産で確かめてきた。
しかし今回だけは違う。実験する前に警告できることに、心の底から安堵しています。
IRC 1446(f)は「損をしていても売却代金の10%が消える」制度です。BOILのようなレバレッジETFで短期トレードをしていた人が、売るたびに代金の10%を失い続ける——そんな地獄が2023年以降、現実として存在する。
「証券会社が買付停止にしてくれているから大丈夫」と思っている方、甘い。リストは完璧ではなく、UVXYのように2024年末に追加された銘柄もある。税制は常に投資家より速く動きます。
そして今日この記事で、私が一番伝えたいことを書きます。
🚨 長く米国株投資をしている方へ——保有銘柄を必ず確認してください
新規買付が停止される前に、すでにPTP銘柄を保有してしまっている方が一定数いるはずです。
特に2022年以前から米国株投資をしている方。原油・天然ガス・MLPなどのエネルギー系ETFや、レバレッジ系の商品を「分散投資のつもりで」買っていませんでしたか?
今すぐ、自分のポートフォリオを開いてください。
そして以下を確認してください。
- 銘柄名に「LP」「Limited Partnership」「Partnership」の文字がないか
- USO、UNG、BOIL、AMLP、ET、EPD、UGL、UVXY、MLPA、PAGPなどに該当する銘柄を保有していないか
- エネルギーインフラ系のMLPファンドを保有していないか
該当した場合、売却すれば売却代金の10%が消えます。塩漬けにしておけば徴収はされませんが、その間ずっと「売れない資産」として塩漬けが続きます。
含み益が出ているなら、10%の徴収を覚悟してでも売却して撤退するという選択肢もあります。含み損なら——正直、判断は難しい。専門家に相談する価値があります。
「持っているだけなら大丈夫」は事実ですが、「いつかは売る」のが投資です。売る瞬間に10%が消えることを、今、認識しておく必要があります。
自分の資産を守るのは、最終的に自分自身だけです。
証券アナリストとして断言します。
PTP銘柄は、現状の税制が変わらない限り、日本の個人投資家が手を出すべき商品ではありません。そして、すでに保有している方は、出口戦略を今のうちに考えておくべきです。
風の音が少し静かになってきました。
そろそろ寝ます。おやすみなさい。
📌 免責事項・情報の時点について 本記事の証券会社の対応状況は2026年5月時点の各社公式情報に基づきます。各社の対応は随時変更される可能性があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。IRC・IRS制度に関する解説は一般的な情報提供を目的とした解説であり、個別の税務アドバイスではありません。具体的な税務判断については米国税務に精通した専門家(CPA・税理士)にご相談ください。
参考:一次情報ソース(確認済)
- 楽天証券「税制変更に伴うPTP銘柄の源泉徴収について」(2025年6月2日更新)
- SBI証券「取扱停止銘柄(米国株・買付停止銘柄リスト)」(随時更新)
- マネックス証券「SPAC銘柄」ページ内PTP記載(確認済)
- IRS Publication 515(2026年版)
- IRC Section 1446(f) Final Regulations
- IRS Notice 2023-8

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