【明暗】カバー率10%の563Aと100%の2865 史上最高値の祭りが暴いたカバードコールETFの正体【W27週次レポート】

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今週の数字(先に結論)
ドル建て評価損益 -9.25% / 円建てトータルリターン +2.42%(+7,521円) / 配当9発・583円着弾 / 犯人は「アップサイドキャップ」

7月初旬の船橋は、午前1時を回ってもまだ熱が残っていた。梅雨明けには少し早いが、風のない夜はじっとりとした湿気が部屋に充満していた。換気扇の低い唸り声だけが聞こえる時間に、冷蔵庫から赤ワインを取り出した。今週はストロングゼロじゃない。そんな気分ではなかった。

コルクを開けると、タンニンの香りが鼻先をかすめた。グラスに注ぎながらスマホのニュースアプリを立ち上げると、速報が画面いっぱいに広がっていた。「ダウ平均、史上最高値52,900ドル更新。」グラスを持つ手が止まった。弱い雇用統計が「利上げ観測後退」に読み替えられ、相場全体に浮かれた熱気が広がっていくのがスマホ越しに伝わってきた。

次に証券会社のアプリを開いた。評価損益:-9.25%(ドル建て)。ダウが史上最高値を更新した夜に、自分のポートフォリオはほぼ変わらずマイナス圏だった。1杯目の赤ワインを、祝杯でも自虐でもなく、ただ静かに飲み干した。

2杯目を注ぎながら、自分の選んだ戦略を反芻した。カバードコールETF(保有株式にオプションを売ることで毎週・毎月の配当収入を生む仕組み)は、こういう急上昇相場が苦手だ。頭ではわかっている。それでも口座の赤字を見ると、笑うしかない夜はある。

3杯目を空けた頃には、ようやく笑えてきた。今週も配当が9発届いていた。合計3.59ドル(583円)。ダウの最高値に関係なく、律儀に届く現金がある。それがこの戦略を続ける理由だ。

雇用統計とダウ史上最高値
目次

今週の魂の要約

金利のねじれとFRBの姿勢

今週、魂に刻んだのは3点。

  1. ダウ平均が史上最高値52,900.07ドルを更新したのに、評価損益はドル建て-9.25%のまま。祭りの外で眺めた1週間だった。
  2. 配当9発・3.59ドル(583円)が淡々と着弾。指数の動きなど関係なく、現金だけが律儀に届いた。
  3. 週間騰落率トップの563A(カバー率わずか10%)でさえ+1.66pp(pp=パーセントポイント。損益率が何ポイント動いたかを示す単位)どまり。上げ相場でも「勝ってもこの程度」という上限が来る──それこそがカバードコール戦略の正体です。

乾杯できない最高値──今週のマクロ環境

日本市場と市場局面カード

今週の主役は、ダウ平均の史上最高値更新です。その引き金を引いたのは、逆説的にも「弱い雇用統計」でした。

雇用統計とダウ史上最高値

7月2日(木)に発表された6月の雇用統計(非農業部門雇用者数)は+57,000人でした。市場予想115,000人に対する大幅な未達です。失業率は4.2%に低下しましたが、これは実態の改善ではありません。労働参加率が0.3ポイント低下し61.5%となったこと(2021年3月以来の最低水準)が主因です。

4月・5月分も合計74,000人の下方修正が加わりました。この弱い数字が「追加利上げ観測の後退」として市場に好感され、ダウ平均は7月2日に大きく上昇しました。

指数・資産週間騰落率終値
ダウ平均+1.97%52,900.07ドル(史上最高値)
S&P500+1.76%7,483.24
NASDAQ総合+2.12%25,832.67
NASDAQ100+0.72%29,329.21
BTC(ビットコイン)+4.25%62,654ドル

主要指数は軒並み上昇し、暗号資産も連動する典型的なリスクオン相場(投資家がリスク資産に資金を向ける強気の地合い)の様相でした。

金利のねじれとFRBの姿勢

ただし、金融政策面では矛盾したシグナルも混在しています。米10年債利回りは4.372%から4.469%へと上昇しました。雇用統計が弱かったのに金利が上昇するのは一見奇妙ですが、5月PCE価格指数がヘッドライン前年比+4.1%(2023年4月以来の高水準)と発表されており、インフレの根強さが金利を押し上げています。

ケビン・ウォーシュFRB議長(新任)は7月1日、ポルトガル・シントラで開催されたECBフォーラム(欧州の中央銀行フォーラム)に出席し「2%超のインフレを容認すると思うなら失望するだろう」「FRBの独立性は維持する」と、インフレ抑制を優先し利下げに慎重な「タカ派」のメッセージを明確に打ち出しました。

株は上がったが、FRBは利下げに動く気配がない、という「ねじれ」が続いています。

また、ジョン・ウィリアムズNY連銀総裁の6月25日公開の講演原稿では、金融政策は「十分に良好な位置にある」としつつも、インフレ2%目標の達成は2028年までかかりうるとの慎重姿勢が示されています。

CMA(日本証券アナリスト)の視点から見ると、FRBの内部でも利下げ時期についてのコンセンサスがまだ固まっておらず、金利の高止まりが長引く局面が続くと読むのが自然です。

日本市場と市場局面カード

なお、7月3日(金)は米独立記念日(インディペンデンス・デー)の振替休日で、NYSE・NASDAQは終日休場でした。本週の米国株・米国債データは7月2日(木)終値を使用しています。ただし日本市場は7月3日も通常どおり取引が行われていたため、本レポートの決算報告・ランキングの基準日は「日米いずれかの市場が開場していた最終営業日」である7月3日としています。

ドル円は161.34円(7月3日終値)、日経平均は+0.55%の69,744.07と、日本市場は堅調でした。金(ゴールド)も+0.72%の4,125.70ドルと株式と同時に資金流入が続き、リスクオン一色の1週間でした。それでも長期金利は下がらない。強気相場の裏で、金利だけがねじれたまま残っています。

市場局面カードは今年27週目(W27)「インフレ鈍化・金利高止まり」(VIX 16.6 / 10年債4.47% / CPI前年比3.7% / 失業率4.2%)。中でもW21が最も類似度の高い局面(類似度0.891)でした。

インフレが高止まりしつつも株価が上昇するという、教科書通りの読み方が通じにくい難解な相場環境が続いています。カバードコール戦略にとっては、「アップサイドキャップが効いて利益を取り逃がす」まさにそのままの局面が到来しています。

データソース: BLS(雇用統計) / BEA(PCE価格指数) / CNBC(Warsh発言) / NY連銀(Williams講演原稿) / jp.investing.com(各指数・為替)

律儀な9発──今週の配当着弾記録

563Aと2865、カバー率10%と100%が分けた明暗
着弾日ティッカー受取額(ドル)受取額(円)魂の叫び
2026-06-29AIPI(AI関連株カバードコールETF)0.4878暴れ馬、意地の配当
2026-06-29CEPI(暗号資産連動カバードコールETF)0.6199混沌の覇者、99円の誠意
2026-06-29FEPI(大型テック株カバードコールETF)0.2947三悪魔の一角、息を吹き返す
2026-06-29NVDY(エヌビディア株連動カバードコールETF)0.058主役、8円の悲劇
2026-06-29ULTY(複数資産の超高配当カバードコールETF)0.1118吐血しながらの18円
2026-07-01DOGG(ダウの犬戦略ETF)0.80129犬の義理、129円の律儀さ
2026-07-01NVYY(エヌビディア2倍レバ連動カバードコールETF)0.5285含み損の主犯のお詫び
2026-07-01TQQY(NASDAQ100・3倍レバ連動カバードコールETF)0.5183死神の施し、83円
2026-07-01YSPY(S&P500オプション連動ETF)0.2236偽りの安全の誠意36円
合計3.59ドル583円

※先週(W26・6月27日)は10件・6.34ドル(1,042円)。件数・金額とも今週は減少しています。

今週の配当着弾は計9発、2波構造での着弾でした。6月29日に5銘柄が一斉着弾し、7月1日に4銘柄が追いかけるという展開です。583円は、コンビニの牛丼並盛り1杯とちょっと分といったところでしょうか。

ダウが史上最高値52,900.07ドルを更新した夜も、配当の入金は保有株式の評価損益(株価)の変動とはまったく独立に行われます。オプションプレミアム(オプションを売った際に受け取る収益。株価とは別財布で入ってくる現金)として確定した現金が、評価損益の赤字とは別の軸で積み上がっていきます。9発の着弾がそれを静かに証明しています。

特に目を引いたのが、NVDY(エヌビディア株連動カバードコールETF)の0.05ドル(8円)という極端な低さです。エヌビディア株が上昇基調にある局面では、既に売却済みのコールオプションが行使されやすくなり、新たなプレミアム設定が圧縮されます。この8円、覚えておいてください。後段のCMA考察で解説するアップサイドキャップの影響が、すでにここに顔を出しています。

祭りの外のランキング──銘柄別損益率

週替わり教育コーナー:アップサイドキャップとダウンサイドリスクの非対称性
順位ティッカー先週損益率今週損益率損益率の変化(pp)魂の叫び
1563A(東証上場・NASDAQ100カバードコールETF・カバー率10%)+6.34%+8.00%+1.66pp新型兵器、祭りに便乗
2AIPI-12.90%-11.32%+1.58pp傷だらけの反発
32865(東証上場・NASDAQ100カバードコールETF・カバー率100%)+2.89%+4.17%+1.28pp天井の有無がそのまま出た
4QQQI(NASDAQ100カバードコールETF)+0.83%+2.06%+1.24pp安定感の証明
5DOGG(ダウの犬戦略ETF)+3.85%+5.00%+1.15pp最高値の犬、それでも5番手
6NVDY-17.83%-17.21%+0.61pp主役、渋々の回復
7FEPI-10.45%-9.89%+0.56pp劇薬、少し癒える
8JEPQ(NASDAQ100カバードコールETF)+6.22%+6.17%-0.05pp優等生、今週は宿題忘れ
9TQQY-20.99%-21.05%-0.06pp3倍レバ、実質横ばい(誤差)
10NVYY-33.90%-34.03%-0.13pp主犯、実質横ばい(誤差)
11IGLD(金価格連動カバードコールETF)-16.76%-17.55%-0.78pp金の盾、綻び
12YSPY-18.68%-19.88%-1.19pp偽りの安全の嘘が深まる
13ULTY-26.19%-27.54%-1.35pp今週も出血継続
14TLTX(米国長期国債連動カバードコールETF・ドル建て)-2.43%-3.92%-1.50pp金利の刃に刻まれる
15453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場・円建て)+3.62%+1.87%-1.74pp円建て国債使い、後退
16CEPI-3.87%-7.24%-3.37ppBTCの祭りに乗れず

今週のトップは563A(カバー率10%)の+1.66pp、僅差の2位はAIPIの+1.58pp、3位は同じNASDAQ100連動ながらカバー率100%の2865で+1.28ppでした。カバー率の違いがそのまま明暗になって表れています(理由は次章「アップサイドキャップの正体」で詳しく解説します)。保有比率の見直しは、来週あらためて検討するつもりです。

最下位はCEPI(暗号資産連動カバードコールETF)の-3.37ppでした。今週BTC(ビットコイン)が+4.25%上昇したにもかかわらず、です。

救いだったのはNVDY(エヌビディア株連動カバードコールETF)です。先週-17.83%から今週-17.21%へと+0.61pp改善しました。ただし配当は8円と極端に低いままです。NVYY・TQQYは引き続きマイナス圏で足踏みしています。

血の決算報告──W27 ポートフォリオ全景

Q1. 上昇相場が続くと分かっているなら、保有比率を今から見直すべきですか?
項目ドル建て円建て(為替込み)
投資元本1,968.64ドル310,206円
株式時価総額合計1,786.58ドル288,242円
株式評価損益合計-182.06ドル-21,963円
株式評価損益率-9.25%-7.08%
累計配当金総額186.88ドル29,484円
トータルリターン+4.82ドル+7,521円
トータルリターン率+0.24%+2.42%

※太字=円建て(為替込み)の数値。読者が実際に体感する損益に近いため強調しています。※為替レート:1ドル=161.34円(基準日2026年7月3日終値)※ドル建て(+4.82ドル)と円建て(+7,521円)の差は、投資開始時点からの円安(為替差益)によるものです。

円建て(為替込み)ではトータルリターン+2.42%(+7,521円)とプラス圏を維持しています。実際に支払った元本310,206円に対して、株式評価損と累計配当金を合算した実態の損益が+7,521円です。配当が評価損の大部分を相殺し、実質的なプラスを維持しています。

一方、ドル建てでは評価損益-9.25%と、依然として高水準の含み損が続いています。ダウが史上最高値を更新した週に、ポートフォリオのドル建て含み損はほとんど改善していません。この逆説こそが、カバードコール戦略とシングルストック・オプション型ETF群が持つアップサイドキャップの現実です。

注目すべきは累計配当金186.88ドル(29,484円)の積み上がりです。投資元本1,968.64ドルに対する累計配当率は+9.49%(ドル建て。投資開始からの累計であり、年率ではありません)に相当します。評価損益-9.25%を上回るところまで、配当が積み上がりました。含み損を配当が飲み込みつつある、というのが実態です。

ドル建てでは依然評価損益-9.25%とマイナスであることを忘れずに、本質的な運用成績を評価する際は、この数字も直視する必要があります。

指数最高値に取り残された理由──アップサイドキャップの正体

Q2. カバー率10%と100%は、投資成果にどう影響しますか?

今週の結論から言います。ダウが史上最高値52,900.07ドルを更新したのに、カバードコールETFの含み損はほぼ改善しませんでした。犯人は「アップサイドキャップ」(オプション売却の対価として、株価上昇時の利益に上限が生まれる構造)です。

まずカバードコール戦略の基本設計を確認します。この戦略は、保有する株式や指数に対して「コールオプション」を売ることで、毎週・毎月のオプションプレミアムを受け取ります。

このプレミアム収入が高い配当利回りの源泉です。代わりに差し出しているのは、上がったときの伸びしろです。「株価が一定水準(行使価格)を超えた部分の利益を受け取る権利」を、オプション買い手に譲渡しているのです。

株価が行使価格を超えて急上昇した場合、ETF保有者は行使価格までの値上がりしか受け取れません。これがアップサイドキャップです。

563Aと2865、カバー率10%と100%が分けた明暗

今週の具体的な数字で見てみましょう。ランキング3位の2865と1位の563Aは、同じNASDAQ100連動でありながらカバー率の違いだけで週間の損益に差が生まれました(563A+1.66pp・カバー率10%、2865+1.28pp・カバー率100%)。

563Aのカバー率はわずか10%で、保有するNASDAQ100ポジションの大部分にオプションを売っていないため、アップサイドキャップがほとんど効きません。だからこそ今週損益率は+8.00%まで伸び、NASDAQ100本体の週間上昇率+0.72%を大きく上回りました。

対して2865はカバー率100%で、今週損益率は+4.17%にとどまっています。「オプションを売る比率が高いほど、上昇相場での取り分は削られる」というカバードコールの本質を、この2銘柄の対比がそのまま体現しています。

5位のDOGG(ダウの犬戦略ETF)も絶対値では+5.00%まで伸びましたが、ダウ平均本体の+1.97%と比べれば「ついていけてはいるが、突き抜けてはいない」という表現がしっくりきます。急騰する週ほど、カバー率の高い銘柄から「追いつけない」仕組みが顔を出します。

横ばい圏で足踏みしているのがTQQY(NASDAQ100・3倍レバ連動カバードコールETF、週間-0.06pp)とNVYY(エヌビディア2倍レバ連動カバードコールETF、週間-0.13pp)です。いずれも指数の上昇にほとんど連動できていません。

レバレッジ型は下落局面での損失加速が大きい設計ですが、上昇局面でも「アップサイドキャップ+レバレッジ調整コスト」の二重の重さで、指数の上昇に素直に追従できません。

最下位のCEPI(暗号資産連動カバードコールETF)は象徴的です。BTCが今週+4.25%と強い動きをしたにもかかわらず、CEPIは-3.37ppと逆方向に動きました。BTCの急騰局面でコールオプションが行使され、ETF保有者には上昇益が入らず、オプション清算に伴う損益の歪みが出ています。

週替わり教育コーナー:アップサイドキャップとダウンサイドリスクの非対称性

ここで誤解されやすい点を整理します。アップサイドキャップは「欠陥」ではなく、戦略的な「トレードオフ」です。

カバードコールETFは「値上がり益の一部を手放す代わりに、毎週・毎月の現金収入を受け取る」という取引を繰り返しています。上昇相場では「取り逃がし」に見えますが、下落相場では「プレミアム収入が含み損を部分的に吸収する」形で機能します。

先週(W26・6月27日の記事※リンクは入稿時に追加)のテーマは「下落局面でも配当は止まらない(下落耐性)」でした。今週W27はその正反対、「急上昇局面での取り逃がし」です。カバードコール戦略はこの両面を理解した上で持ち続けることが、長期的な運用の前提になります。

ただし、非対称性があります。上昇局面での上限はオプション設計で決まりますが、下落局面での下限は原資産の下落とほぼ一致します。プレミアム分だけ軽減はされますが、「利益の天井は設計で決まり、損失の床は原資産の下落次第」という非対称なリスク・リターン構造が、カバードコール戦略の本質的な限界です。

今週のランキングでは、上昇相場なのに含み損が悪化した銘柄が過半数でした。この構造が表に出た週として、記憶に留めておきたいところです。

横ばい〜緩やかな上昇相場では配当収入が効率よく積み上がりますが、急激な上昇相場ではインデックスに対して大きくアンダーパフォームします。今週はまさに後者の典型局面でした。ここからは人柱ではなくCMAの顔で言います。

「なぜカバードコールETFを買ったのか」という問いに、「指数に勝ちたいんじゃない、現金が欲しいんだ」と即答できるなら、この戦略はあなたの味方です。ただし分配金は保証されたものではなく、基準価額の下落や運用方針の変更によって減額・停止されうることは常に念頭に置く必要があります。

戦略の適正な評価基準は「指数に勝ったか」ではなく「元本に対して累計でどれだけ回収できているか」です。その観点では、累計配当回収率+9.49%は着実な積み上がりを示しています。

(参考)本週のポートフォリオでは、IGLD(金価格連動カバードコールETF)が週間-17.55%と依然深い含み損を抱えています。金(ゴールド)が+0.72%と上昇した週にもかかわらず週間-0.78ppとむしろ悪化しており、IGLDが保有する先物ポジションとカバードコールの複合設計が、ここでも上値を抑えていることがうかがえます。

金という「安全資産」を連動対象としながら、カバードコール設計によって値上がり益が抑制される皮肉がここにもあります。

結論

Q3. 株価が下がっているのに配当金がもらえる仕組みはどうなっているのですか?

聞いてください!!

ダウ平均が史上最高値52,900.07ドルを更新したニュースを見て、なぜか自分の口座だけ喜べなかったあなた。分かります。私も同じ夜を過ごしました。赤ワインを3杯空けても、スマホの証券アプリが映す-9.25%の数字は変わらなかった。

あなたの「喜べなさ」は、カバードコールという戦略を選んだことの証明そのものです。この戦略はもともと「値上がり益の天井と引き換えに、毎週・毎月の現金を受け取る」という取引をしています。

アップサイドキャップは欠陥ではなく、最初から設計に組み込まれた契約です。ダウが最高値を更新する週に自分の口座が置いてけぼりになるのは、「失敗」ではなく「設計どおり」の反応です。

CMA(証券アナリスト)としての視点から、個人の見解として申し上げます。この戦略の本質的な評価基準は「指数と比べてどれだけ上がったか」ではありません。

「元本に対して、累計でどれだけ現金を回収できているか」です。累計配当金186.88ドル(29,484円)は、ドル建て投資元本に対して配当回収率+9.49%に相当します。含み損-9.25%と合わせてもドル建てのトータルリターンは+0.24%、円建てでは+2.42%(+7,521円)です。損はしていません。ぎりぎりですが、プラスです。

私の評価損益は今週もドル建てマイナス9%台です。それでも赤ワイン3杯目を空ける頃には、今週届いた583円の配当が、今夜の慰めになっていました。最高値の祭りには乗れなかったが、9発の配当が無言でポケットに届いた夜だったからです。

今週も、配当は届いた。まずそれを確認してから寝る。元本割れが進行している局面では、配当収入だけでトータルリターンを判断せず、元本とのバランスも必ず確認してください。指数のニュース速報に一喜一憂する前に、「今週も入金があったか」を最初に確認する。それだけで、次の一手が落ち着いて見えてきます。

あなたなら、カバー率10%と100%、どちらを選びますか。コメントで教えてください。

来週は7月10日、NVYYの初回決算発表が予定されています。「年利15%」という甘い数字の裏側に何が隠れているのか、次回もこの目で確かめます。最高値だろうが暴落だろうが関係ない。拾うと決めたら、拾い続ける。人体実験は続く。

⚠️ リスク開示・免責事項(重要)本記事は筆者個人の投資運用記録であり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。本記事で取り上げるカバードコールETF(国内・海外を含む)は、基準価額(NAV)の下落により投資元本を下回るリスクがあります。分配金(配当)は保証されておらず、減額・停止されることがあります。為替変動リスク、発行体の信用リスクも存在します。投資判断はご自身の責任で行い、目論見書・ファクトシート等を必ずご確認ください(各銘柄の目論見書名は本記事末尾FAQの出典欄にも記載しています)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 上昇相場が続くと分かっているなら、保有比率を今から見直すべきですか?

正直、まだ結論は出せていません。今週で言えば、カバー率10%の563Aは+8.00%、カバー率100%の2865は+4.17%と、カバー率の低い方が上昇局面に強いことがはっきり出ました。ただしこれは一般論ではなく、あくまで私個人の実験結果としての所感です。

カバー率が低い銘柄は、その分下落局面での値下がり保護も薄くなります。つまり「上昇相場がまだ続くと思えるかどうか」次第の話です。私自身の保有比率の見直しは、来週の結果を見てから判断するつもりです。

出典:– グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF (2865) – 簡易目論見書- グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF (563A) – 簡易目論見書

Q2. カバー率10%と100%は、投資成果にどう影響しますか?

カバー率が高いほど、毎月受け取れるオプションプレミアム(配当の原資)は増えますが、株価が上がったときの値上がり益はその分小さくなります。反対にカバー率が低いほど、値上がり益への参加度は高まりますが、プレミアム収入は減ります。

今週で言えば、カバー率10%の563Aは+8.00%、カバー率100%の2865は+4.17%でした。どちらが正解というより、「現金収入を優先するか、値上がり益への参加を優先するか」というトレードオフの問題です。オプションプレミアムの水準自体も、ボラティリティや金利、需給によって変動するため、同じカバー率でも時期によって受け取れる金額は変わります。

出典:– グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF (2865) – 簡易目論見書- グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF (563A) – 簡易目論見書

Q3. 株価が下がっているのに配当金がもらえる仕組みはどうなっているのですか?

株価が下がっている週でも配当が届くのは、配当の原資が「株価の値上がり」ではなく「オプションの売却代金(プレミアム)」だからです。今週の583円も、まさにこの仕組みで届きました。

カバードコール戦略では、ETFが保有する株式(またはETF)に対してコールオプションを売却します。この売却の対価として、オプションの買い手からプレミアムという形で収入を得ます。このプレミアムは、株価が上昇しても下落しても、オプションを売却した時点で確定的に受け取れる収入です。

したがって、株価が下落した場合でも、ETFはオプションプレミアム収入を得ることができ、これが配当の原資の一部となります。ただし、株価が大きく下落すると、プレミアム収入だけでは元本の減少を補いきれない場合もあります。

出典:– REX AI Equity Premium Income ETF (AIPI) – Prospectus- FT Cboe Vest Gold Strategy Target Income ETF (IGLD) – Prospectus- REX Crypto Equity Premium Income ETF (CEPI) – Prospectus- iシェアーズ 米国債20年超 プレミアムインカムETF (453A) – ファクトシート

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真毅のアバター 真毅 自由人

趣味はカメラ、ランニング、読書。職業はシステムエンジニア。昔はリサーチハウスで企業調査、産業分析を行っていました。目標は投資で稼いでゆっくり生きる。資格はFP2級、証券アナリスト。投資対象は日本株、米国ETF、金、暗号資産、不動産。金融資産と実物資産の両輪で資産形成。

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