要点
- 配当株投資の定義: 配当株投資は、配当金を目的とした長期投資であり、着実に利益を積み重ねる方法です。株価の予測が難しい中、その確実性から「株式投資の王道」とも呼ばれます。
- 増配の楽しみ: 配当株投資の大きな楽しみは、配当金の増配です。増配は投資家にとって大きな喜びであり、長期的に配当金が増えることで投資のモチベーションが高まります。
- 王道銘柄の選び方: 投資先としては、参入障壁の高い業種から選ぶのが良いとされています。そして、各業界のトップ企業、いわゆる大型株が配当株投資の王道銘柄となります。
- 中小型株や人気株への挑戦: 大型株で安定した基盤を築いた後は、中小型株や人気株への挑戦も検討すると良いでしょう。業績が良く株主還元を行っている企業を探すことで、投資の幅が広がります。
- 優良銘柄の選び方と成功への道: 優良銘柄を選ぶには、1株当たり利益を基準にして株価や競合他社との比較を行うことが重要です。また、自分のライフスタイルや将来の目標を明確にし、長期的な視点で投資を行うことが成功への鍵となります。
配当株投資とは何か?
配当株投資は、株式から得られる配当金を目的とした長期投資です。この方法は、一夜にして巨額の富を得ることはありませんが、着実に利益を積み重ねることができます。株価の予測が難しい中、配当株投資はその確実性から「株式投資の王道」とも呼ばれています。さらに、配当金は家族や子孫に引き継ぐことも可能で、給与以外の安定した収入源となることも魅力の一つです。
増配の楽しみ
配当株投資の大きな楽しみの一つは、配当金の増配です。増配とは、前期よりも配当金が増えることを指し、投資家にとっては大きな喜びとなります。
金融の世界には「72の法則」と呼ばれる計算式があります。元本が2倍になるまでの投資期間(年)を、72÷金利(%)で簡単に求められるのです。
例えば、年10%のペースで増配が続けば、7年で配当金が2倍になる計算です。このような増配の可能性は、投資家にとって大きなモチベーションとなります。
増配の可能性
日本企業はアメリカ企業と比べると長らく配当金が低いとされてきましたが、近年では株主への還元意識が高まっています。自社株買いの解禁や特別配当金の増加など、企業の取り組みにより、増配の可能性はまだまだ大きいと言えます。
実際に累進配当を強くアピールする企業も増えており、HP上で「利益の何%は配当金を出します」などと宣伝する企業も目立ち始めました。
配当株投資の「王道銘柄」の選び方
投資先を選ぶ際には、参入障壁の高い業種から選ぶことが重要です。銀行、金融、保険、商社、通信などが候補になります。そして、各業界のトップ企業に注目しましょう。これらの大型株が配当株投資の王道銘柄となります。
ただし、保険のようにダントツで1強の体制であれば第2位以下は考慮する必要はありません。逆に通信のように3社が熾烈な争いを続けている場合は、第3位までを考慮する必要があります。
大型株の注意点と購入理由
大型株は株価の変動が大きいことがあります。理由は、誰もが知るような企業には多額の資金が集まっており、何かがあった時に真っ先に売られてしまうからです。
しかし株価が急落しても企業の基本的な稼ぐ力は変わらないため、長期的には安定した配当金を期待できます。また、大型株は増配の実績があり、将来的にも配当金が増える可能性が高いです。
さらに、大企業は中小企業よりも決算予想を実現しようとする意気込みが高いです。こうした姿勢も含めて評価すれば、大型株を購入する価値は十分にあると考えられます。
中小型株や人気株にもチャレンジ
大型株で安定した基盤を築いたら、中小型株や人気株にも挑戦してみましょう。
探す方法には3つのポイントがあります。
1つ目は歴史のあるニッチな強みを持った企業を探すこと。ニッチな強みを持った企業は、安定的に利益を出している企業が多い。急に注目を集めて、株価が一気に上がる可能性があります。
2つ目は時代の流れを読むことです。2021年のように新型コロナ禍で物流が混乱したならば海運業に注目すべきだし、2022年のようにウクライナ侵攻や半導体不足が起きたのなら、資源株に注目するなど時代の流れを読む必要があります。
3つ目は日常生活から気になる企業を探し出すことです。著者はコンビニの100円コーヒーに驚き、コーヒーマシンを作っている会社を調べ、株を購入したことがあるという。
優良銘柄の選び方
配当株投資に適した優良銘柄を選ぶには、1株当たり利益を基準にして、株価や競合他社との比較を行います。
具体的には5つのプロセスで分析します。
1つ目は企業の成長を見るために1株当たり利益を過去に遡って調査することです。
2つ目は売上に対する営業利益率を確認します。
3つ目はその営業利益率が他社と比べてどうなのか調べます。
4つ目は株価が「1株当たり利益」の将来性をどれくらい見越しているのかをチェックします。
5つ目は株価収益率を見て、競合他社と比較します。株価収益率とは「株価」÷「1株あたり利益」で求められ、1株あたりの当期純利益の何倍で株が買われているかわかります。
配当株式投資で成果を得るために
配当株式投資で成功するためには、多角的な観点から企業を見る必要があります。
1つ目は、1株当たり利益を超える配当金を出す企業について考えてみます。この企業は「おいしい」と考えるべきか、「大丈夫なのか」と警戒すべきなのか。前提として、日本企業の配当性向は30〜40%程度です。配当性向とは当期純利益から配当金を支払っている割合を示しています。過剰な配当金を出す企業は内部留保金として蓄えた利益を吐き出しているに過ぎず、将来的に減配の可能性があります。ゆえに、購入には慎重になるべきです。
2つ目は、1株当たり利益が大きく変動する場合です。1株当たり利益が100円、50円、200円、20円と大きく変動している企業は安心できません。
3つ目は、「成長企業」が「成熟企業」に成長するタイミングだ。1株当たり利益と同程度の配当金を出す企業は成熟企業と考えられます。成熟段階に入る前のタイミングを見抜き投資したいです。
4つ目は、「成熟企業」段階まで伸びる優良銘柄の見極めです。営業利益が毎年2割、3割伸びたあとに、企業HPに「配当金をそろそろ出す」旨のアピールがあれば、購入候補の一つになります。
5つ目は、地元に特化した「稼ぐチカラ」があるかどうかです。著者は通信キャリアの動向をネットで調べていたら、沖縄セルラーという企業を発見した。急成長をしているわけではないが、「沖縄は人口が増えているから、沖縄に特化した企業は何か強みがあるかも」と思い購入したようです。
6つ目は、減配の可能性です。ただ、減配する企業を選ぶことは、必ずしも失敗ではありません。減配の理由が明確にわかっており、その企業が巻き返せる可能性が見えるのであれば、買い進めるのもよいと思います。
まとめ
配当株投資の王道銘柄や優良銘柄の「選び方」だけでなく、著者が注目する具体的な「15銘柄」も紹介されています。
これは配当金の傾向だけではなく、業界に関する見解も含めてさまざまな観点から分析を加えられています。
配当株投資を志している人にぜひ読んでほしい一冊です。
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