ワールドダラーとは
ワールドダラーは、世界中で流通している米ドルの総量を指す概念です。具体的には、米国内で流通する米ドル(マネタリーベース)と、米国外の中央銀行や金融機関が保有する米ドル資産の合計です。この指標は、グローバルな金融市場における米ドルの流動性や供給量を把握するために用いられます。
ワールドダラーの量は、世界経済における米ドルの重要性を示すとともに、米ドルが世界の基軸通貨としてどの程度の役割を果たしているかを反映します。米国の金融政策、特に連邦準備制度(FRB)による金利の調整や量的緩和政策などが、ワールドダラーの量に直接的な影響を及ぼします。
経済や投資の分析において、ワールドダラーは重要な指標となり得ます。例えば、ワールドダラーの増加は、世界的な流動性が豊富であることを示し、株式市場や不動産市場などの資産価格の上昇につながる可能性があります。逆に、ワールドダラーの減少は、流動性が引き締まり、経済成長が鈍化するリスクを示唆することがあります。
投資家や政策立案者は、ワールドダラーの動向を注視することで、グローバルな金融環境の変化を先読みし、より効果的な投資戦略や政策決定を行うための参考情報として活用できます。
計算に必要なHP
マネタリーベース
FRED:https://fred.stlouisfed.org/series/BOGMBASE
米国以外の各国中央銀行が外貨準備
FRED:https://fred.stlouisfed.org/series/FDHBFIN
米国財務省:https://ticdata.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/tic/Documents/slt_table5.html
https://ticdata.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/tic/Documents/mfhhis01.txt
ワールドダラーと米国株価
ワールドダラーの増加は、一般に世界的な流動性が高まっていることを意味し、この流動性は投資資金として株式市場や他の資産クラスへ流入することがあります。特に、米国株式市場は世界最大の株式市場であり、グローバルな投資家からの資金流入が多いため、ワールドダラーの増加は米国株価を押し上げる要因となることがあります。
流動性が高まると、低金利環境が維持され、投資家はよりリスクの高い資産への投資を促されるため、株式市場が恩恵を受けるのです。
逆に、ワールドダラーの減少は、グローバルな流動性が引き締まっていることを示し、これは投資資金の株式市場からの流出や、投資家のリスク回避姿勢の強化を意味することがあります。このような状況では、米国株価に下落圧力がかかる可能性があります。
また、米国の金融政策、特に連邦準備制度(FRB)による政策金利の変更や量的緩和政策の実施は、ワールドダラーの量に直接的な影響を及ぼし、間接的に米国株価に影響を与えます。金融緩和政策による流動性の供給増加は、短期的には株価を支える要因となりますが、長期的にはインフレ圧力の高まりや資産価格のバブル形成のリスクも伴います。
したがって、ワールドダラーの動向は、米国株式市場の将来のパフォーマンスを予測する上で、重要な指標の一つとなります。
以下はワールドダラーとS&P500を並べたチャートになります。見ていただければわかると思いますがワールドダラーとS&P500は同じ動きをします。
ワールドダラーの前年比を見ると、2023年5月以降増加に転じ、2023年12月は+9.35%になりました。
ワールドダラーとS&P500が連動していることから、しばらく米国主導の株高は続きそうです。
ドルの優位性と非伝統的な準備通貨の台頭
IMFの「公的外貨準備の通貨別構成(COFER)」データによれば、世界の外貨準備に占める米ドルの割合は2023第4四半期時点で59%を下回り、20年にわたって低下し続けています。
世界GDPに占める米国経済のシェアもこの20年間に縮小しており、ドルの優位性が低下しているように見えますが、グローバル経済における米国の存在は依然として重要です。
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