【誤解注意】563AはNISA成長投資枠の対象外です――あなたは知っていましたか?

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2026年7月半ばの船橋は、梅雨明けを待つ蒸し風呂のような空気です。夕方に海老川沿いを歩くと、湿った南風がシャツを肌に貼り付けてきます。それでも雲の切れ間からは、茜色の空が覗くのです。汗と引き換えに見上げた夕焼けは、悔しいくらい綺麗でした。重たい湿気の中で、私はひとつのETFのことを考えていました。

申し遅れました。私は証券アナリスト(CMA)とFP資格を持つ兼業ブロガーです。超高配当カバードコールETFを、1年間自腹で人体実験しています。いま話題の東証563Aをめぐり、看過できない誤解を見つけました。「新NISAの成長投資枠で買える」という説明が、ネット上で出回っているのです。

結論を先に言います。2026年7月14日時点の一次情報で確認した限り、563AはNISA成長投資枠の対象外です。誤解の正体と正しい向き合い方を、命懸けの講義でお届けします。

目次

震えろ、時間価値——「日次オプション」という発明

震えろ、時間価値——「日次オプション」という発明

563Aの正式名称は「グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF」です。2026年4月23日に東京証券取引所へ新規上場した、生まれたての商品です。運用はGlobal X Japan株式会社が担っています。

構造には、ひとつ面白い特徴があります。563Aはフィーダー・ファンド(別のファンドへ資金を流し込む子ファンド)形式です。投資先は韓国取引所上場の「TIGER US NASDAQ100 Target Daily Covered Call」です。銘柄コードは486290、運用はMirae Assetが手掛けています。2024年6月25日に韓国上場した既存ETFへ、相乗りする構造です。

連動指数は、Nasdaq, Inc.が開発した専用指数です。名称は「Nasdaq-100 Daily Covered Call Target Premium 15% Index」。配当込み、円換算ベースで算出されます。指数名の「Target Premium 15%」は、年率15%相当のプレミアム獲得を目標とする意味です。

では本題の「デイリー・カバードコール」とは何でしょうか。カバードコールとは、株式を保有したままコールオプションを売る戦略です。コールオプションとは、原資産を決まった価格で買える権利を指します。権利を売って受け取る対価が、プレミアム(オプション売却収入)です。従来型は月1回、約1か月満期のオプションを売るのが主流でした。

563Aの投資先は、毎営業日、翌営業日満期のATMコールを売り続けます。ATM(アット・ザ・マネー)とは、原資産価格とほぼ同水準の権利行使価格のことです。オプションの時間的価値には、満期直前に崖のように急減する性質があります。時間的価値が最も速く溶ける区間だけを、毎日刈り取り続ける設計です。月1回の収穫を毎営業日の収穫に変えた、なかなかの発明と言えます。

ただし、うまい話には必ず対価があります。カバー対象部分については、翌営業日までの値上がり益を放棄します。プレミアムは、上昇の可能性を売り渡した代金だからです。無料の収入源ではないと、最初に胸へ刻んでください。

甘い罠——「NISAで15%」という幻想に告ぐ 🚨

甘い罠——「NISAで15%」という幻想に告ぐ 🚨

第2章が、今回の記事の核心です。ネットの一部紹介文に「563Aは新NISA成長投資枠に採用済み」と書かれています。断言します。上記の説明は誤りです

一次情報で確認しました。Global X Japan公式サイトは「NISA成長投資枠対象の国内ETF一覧」を公開しています。2026年5月26日時点のPDFに、563Aは掲載されていません。CMAの意地にかけて、一覧を上から下まで三度見しました(白目)。何度見ても、563Aの4文字はありませんでした。

対象外となる理由も、制度面から整合的に説明できます。563Aは、オプションというデリバティブ(金融派生商品)を非ヘッジ目的で使います。

金融庁のガイドライン上、非ヘッジ目的のデリバティブ活用商品は対象外とされていると考えられます。複数の投資ブログ・解説記事も、同じ説明をしています。同じGlobal X運用の類似ETF「2865」も、同一の理由でNISA対象外です。

実は、似た誤解は2865の登場時にも繰り返されました。「高利回りETF=NISA向き」という思い込みは、根深い持病です。制度の線引きは利回りの高低ではなく、商品の構造で決まります。派手な数字ほど、制度との相性確認が必要になるのです。

では、なぜ誤解が広まるのでしょうか。「利回り15%」という数字と「NISA=非課税」が、頭の中で勝手に合体するからです。気持ちは分かります。正論です。が、現実の分配金には約20.315%の税金がかかります。

数字で殴られると、痛みが具体的になります。※仮定計算例:100万円を投じ、年15万円相当の分配を受けたとしましょう。課税口座の手取りは約11万9,500円で、約3万500円が税金に消えます。「非課税で15%」と信じて買った人には、丸ごと想定外の負担です。

期待した手取りが来ない失望こそ、投資家の心を折る最大の敵じゃないですか?誤解したまま買うリスクを、私は声を大にして警告します。

数字は嘘をつかない——三刀流ETFの実力表

数字は嘘をつかない——三刀流ETFの実力表

感情の話をしたので、次は冷徹に数字を並べます。2026年7月時点で確認できる563Aの基礎データは、下表の通りです。

項目内容
上場日・市場2026年4月23日/東京証券取引所
実質経費率年率約0.2775%(税込)
経費率の内訳563A管理費約0.0275%+投資先486290約0.25%
純資産総額約366億円(2026年7月時点)
分配毎月10日支払い・年12回
直近分配金1口14円(100口あたり1,400円・税引前・2026年7月10日決定分)
目標利回り年率約15%程度(市場環境で変動・保証なし)
カバー率ポートフォリオ全体の約10%に抑制

注目はカバー率です。オプションを売る対象を、全体の約10%に絞り込んでいます。残り約90%は、NASDAQ100指数の値上がりをそのまま享受する設計です。値上がり益・毎月分配・低コストの三刀流を狙う商品と言えます。上場から約3か月で純資産約366億円という数字は、異例の人気ぶりです。

一点だけ、分配金の読み方に注意してください。毎回の分配額は、プレミアム収入と市場環境で変動します。直近の1口14円を単純に12倍して、将来の約束と読み違えないでください。目標利回りの15%も、あくまで目標であって保証ではありません。

兄貴分の2865と比べると、設計思想の違いが浮かび上がります。

比較項目563A2865
オプション売却日次(翌営業日満期)月次
カバー率約10%ほぼ100%
値上がり益約90%の享受を狙う原則放棄しインカム特化
信託報酬実質約0.2775%相対的に高め

値上がり益を取りに行くのが563A、インカムに全振りするのが2865です。どちらが優秀かという話ではなく、目的が違う道具だと捉えてください。道具の選択を誤ると、期待した成果は永遠に出ません。

動かぬ事実——2026年7月14日、一次情報の前に立つ

動かぬ事実——2026年7月14日、一次情報の前に立つ

第4章は一次情報のみで構成します。確認日はすべて本記事執筆時点、2026年7月14日です。伝聞やSNSの噂は、一切採用していません。

  • Global X Japan公式サイトの563Aファンドページ(商品概要・経費率・分配実績)
  • 東京証券取引所(JPX)のETF情報ページ(上場情報・売買制度)
  • 日本経済新聞の適時開示、2026年7月7日付「収益分配金見込額のお知らせ」

適時開示の中身にも触れておきます。2026年7月7日付の開示は、7月10日支払い分の分配金見込額を事前に知らせる内容でした。実際に1口14円(100口あたり1,400円・税引前)が決定され、毎月分配の約束は守られています。ただしETFの各種情報は、随時更新される点に注意してください。確認日を明記するのは、情報の鮮度に責任を持つためです。

もうひとつ、二重課税調整制度にも触れておきます。国内上場ETFの分配金は、外国での源泉徴収分が証券会社経由で自動調整されるのが一般的です。ただし563Aは、韓国上場ETFを経由する特殊な構造を持ちます。具体的な適用可否は、必ず取扱証券会社に確認してください。断定できない事項を断定しない姿勢も、アナリストの誠実さだと考えています。

なお、本記事の数値はすべて2026年7月14日時点の確認値です。閲覧時点では更新されている可能性があります。売買の際は、最新の公式情報を必ず優先してください。

隠れた牙——「安全なETF」という思い込みを撃て

隠れた牙——「安全なETF」という思い込みを撃て

563Aには、紹介記事であまり語られない注意点が三つあります。一つ目は、信用取引の非対称ルールです。563Aは制度信用銘柄に指定されていますが、可能なのは買建(信用買い)のみです。売建(信用売り)は認められていません。

売買の片側だけを制限する扱いは、理由が公式に明言されていません。複雑な派生商品を組み込むETFに見られる、規制上の配慮の一種と考えられます。売建でヘッジする戦略は使えないと、あらかじめ理解しておいてください。

二つ目は、下落リスクです。カバー率約10%の設計は、裏を返せば約90%が下落に無防備という意味です。NASDAQ100指数が大幅下落すれば、基準価額も連動して大きく下がります。投資元本を割り込むリスクは普通にあります

プレミアム収入は下落時の緩衝材にはなりますが、暴落を受け止める盾ではありません。年率15%目標のプレミアムでも、月あたりでは1%強にすぎません。1か月で指数が10%下がる局面では、焼け石に水です。「カバードコールだから下落に強い」は、危険な誤解だと断言します。

三つ目は、フィーダー形式ゆえの構造リスクです。日本のETFが韓国のETFを買い、韓国のETFが米国株を買う三層構造です。米ドルと円の為替変動に加え、韓国市場のカントリーリスクも背負います。韓国側の制度変更や取引停止が起きれば、影響は563Aにも及び得ます。二重構造の分だけ、点検すべき箇所が増えると覚えておいてください。

三層構造では、各層で費用や税務の取り扱いが関わり得ます。投資判断の前には、交付目論見書の熟読を強くおすすめします。牙の在り処を知る者だけが、牙に噛まれずに済むのです。

賢者の羅針盤——今日からできる四つの自衛策

賢者の羅針盤——今日からできる四つの自衛策

警告ばかりでは前に進めません。読者の皆さんが今日からできる自衛策を、四つに絞って提示します。

  • 証券会社の取引画面で、563AにNISA対象の表示があるか自分の目で確認する
  • Global X Japan公式の「NISA成長投資枠対象ETF一覧」PDFを定期的に確認する
  • 二重課税調整の適用可否を、SBI証券・楽天証券・マネックス証券等へ個別に問い合わせる
  • 「利回り15%」ではなく、税引後の手取り利回りで他商品と比較する

一つ目は、5分で終わるのに効果絶大です。注文画面まで進めば、NISA区分の選択肢が出るかどうかで一目瞭然です。他人のブログより、自分の口座画面のほうが百倍信頼できます(当ブログ含む・遠い目)。

二つ目のPDF確認は、未来への備えです。NISA対象銘柄の一覧は、制度や商品の変化に応じて更新され得ます。今日の対象外が永遠の対象外とは限らず、逆もまた然りです。四半期に一度の定期巡回を、家計の健康診断だと思って習慣にしてください。

三つ目の問い合わせは、面倒でも省略しないでください。二重課税調整の実務は、証券会社と商品構造の組み合わせで変わり得ます。電話一本、チャット一回の手間が、確定申告期の混乱を防ぎます。

四つ目は、CMAとして最も推したい習慣です。課税口座なら、分配利回りに約0.797を掛ければ手取り率の概算が出ます。15%なら約11.95%です。NISA対象の他商品と比べる際は、必ず税引後という同じ土俵に乗せてください。土俵が違う比較は、比較の名に値しません。

四つの自衛策は、いずれも派手さゼロです。しかし退屈な確認作業こそ、資産を守る最強の防具だと断言します。防具を着けてから、戦場に出ようじゃないですか。

それでも夕焼けは裏切らない——理解した者だけが武器を持てる

それでも夕焼けは裏切らない——理解した者だけが武器を持てる

冒頭の海老川の夕焼けを、思い出してください。湿気で足取りが重くても、空を見上げた者だけが茜色に気づきます。投資情報も同じです。「NISAで15%」という湿った空気に包まれていても、一次情報を見上げれば事実は見えます。

はっきり書きます。563Aは欠陥商品ではありません。日次オプションで時間的価値を刈り取る設計は、率直に言って面白い発明です。ただし、NISA成長投資枠では買えません。分配金には約20.315%の税金がかかります。指数が崩れれば、元本割れも普通に起こります。

仕組みを正しく理解した上で、課税口座で使うなら検討に値する道具です。誤解したまま買うことだけが、唯一にして最大の敗北です。調べてから買う。数字は税引後で見る。迷ったら一次情報に戻る。

以上の三か条を守れば、未来のあなたは今日のあなたに感謝するはずです。人柱の実験報告は、今後も汗だくで続けます。梅雨明けの空の下、共に熱く、しかし冷静に参りましょう!

📌免責事項

本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

参考一次情報ソース一覧(確認日:2026年7月14日)

  • Global X Japan公式サイト 563Aファンドページ(https://globalxetfs.co.jp/en/funds/563A/index.html)
  • Global X Japan公式サイト「NISA成長投資枠対象の国内ETF一覧」PDF(2026年5月26日時点)
  • 東京証券取引所(JPX)ETF情報ページ(563A)
  • 日本経済新聞 適時開示 2026年7月7日付「収益分配金見込額のお知らせ」
  • 楽天証券トウシル「米国で広がる『デイリー・カバード・コール』という新潮流」
  • マネックス証券ニュース 2026年7月10日付記事

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この記事を書いた人

真毅のアバター 真毅 自由人

趣味はカメラ、ランニング、読書。職業はシステムエンジニア。昔はリサーチハウスで企業調査、産業分析を行っていました。目標は投資で稼いでゆっくり生きる。資格はFP2級、証券アナリスト。投資対象は日本株、米国ETF、金、暗号資産、不動産。金融資産と実物資産の両輪で資産形成。

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