ども♪アラフィフの「人柱」ブロガーです。
2026年8月28日の金曜、船橋の夜はまだ生ぬるい空気を引きずっていました。八月の終わりだというのに、網戸から入ってくる風には湿り気が残っています。エアコンの低い唸りだけが、暗い部屋に一定のリズムを刻んでいました。
冷蔵庫から取り出したストロングゼロのプルタブを、私はいつもより静かに起こしました。今週は、先週ほど荒れた画面を見なくて済むかもしれない。そんな予感が少しだけありました。
証券アプリを開くと、赤はまだそこにありました。株式評価損は-27,090円です。先週の-28,575円からは、1,485円ぶんだけ浅くなっています。
先週は、金が5%以上跳ねて金の盾だけが輝き、他の全員が沈んでいました。今週はその裏返しです。金が3%落ち、株はかろうじて小幅高。同じ16銘柄の順位表が、たった一週間で真裏を向いています。
モニターの-27,090円を眺めながら、私はため息をつく……はずでした。ところが、なぜか口角が上がっていることに気づきます。この地獄のような含み損を抱えたまま、配当だけを黙々と受け取り続けている人柱が、この国に何人いるのか。
いい。むしろいい。これは記録に値する。数字が浅くなったからではありません。二週続けて真逆の相場を浴びても、入金の欄だけは一方向にしか動かなかったからです。
……と、ひとしきり燃えたところで、缶を置いて我に返りました。で、今週の配当は結局いくらだったのか。答えは1,158円です。
逆回転の夜に、なぜか口角が上がった──今週の魂の叫び
ぬるくなり始めた缶を握りながら、今週飲み下した核心は3点です。
- トータルリターンは円建てで+10,865円(+3.50%)でした。先週の+8,222円から2,643円の改善です。人柱、今週も心臓は動いています。
- 配当は11発、7.06ドル・1,158円が着弾しました。株価がどちらに転ぼうと、いったん着金したこの現金だけは市場に取り消されません。
- ただし金曜、新しいFRB議長が冷や水を浴びせました。講演ひとつで「9月利上げ」の確率がほぼ五分まで跳ね上がり、その日のうちに金も株も冷えています。凪だと思っていた水面の下で、すでにマグマが動いていた週でした。
ムードは戻りかけ、金曜に牙を剥かれた──今週の市場レジーム判定

固定コーナー「今週の市場レジーム判定」から始めます。今週は、週半ばまで戻りかけた市場のムードが、金曜の講演で冷やされた週でした。
| 判定軸 | 今週 | 解釈 |
|---|---|---|
| ①リスクオン/リスクオフ(RORO指数) | 65.7 → リスクオン(弱) | 先週51.4「ニュートラル」から回復。週前半のリスク選好の持ち直しが中身で、金曜の講演で失速 |
| ②4象限レジーム(成長×インフレ) | Expansion(景気拡大)継続 | 直近90日分布はExpansion 86.2%。ラベルは先週から不変 |
| ③根拠3行 | VIX 14.5/米10年債4.6〜4.7%台/FF実効金利3.63% | 凪の復活・長期金利の高止まりが一服・政策金利は据え置き |
①リスクオン/リスクオフ判定
RORO指数(Risk On / Risk Off)は65.7でした。市場参加者がリスク資産をどれだけ選好しているかを数値化した指標です。判定は「リスクオン(弱)」となります。
先週は51.4の「ニュートラル」でしたから、判定が一段上へ戻ったことになります。先々週の74.5から急落した熱が、いくらか吹き返した形です。
ただし、内訳はそれほど単純ではありません。上昇の中身は、週の前半から中盤にかけてリスク選好がじわりと戻ったことです。金曜のウォーシュ講演でドル高・金利上昇の圧力が戻ると、その日は金も株も同時に下げ、短期金利には上昇圧力がかかりました。「金を売った資金が、そのまま株へ向かった」という一方向の資金移動ではありません。
②4象限レジーム判定
analysis-lab独自の4象限判定は「Expansion(エクスパンション=景気拡大期。景気が拡大し、企業業績も伸びやすい局面)」でした。先週から変更はありません。
直近90日の分布では、Expansionが86.2%を占めています。この比率も先週と同じ水準です。
つまり景気局面のラベル自体は動いていません。ただし、これは「大きな景気の方向」を見る指標です。金曜のウォーシュ講演で金利の前提が動いたことは、この3行の外側で起きています。ラベルが不変でも、週次のショックがなかったわけではありません。
③根拠3行
第一に、VIX(ボラティリティ指数)は14.5でした。通称「恐怖指数」で、市場が今後の値動きの荒さをどう見ているかを表します。先週の16.01から低下し、株式市場に凪が戻りました。
第二に、米10年債利回りは市場局面カード基準で4.67%です。4.6〜4.7%台の高止まりが二週続いたあと、今週はわずかに一服しました。
第三に、政策金利(実効FFレート)は3.63%で据え置きです。設定そのものは、今週も一ミリも動いていません。
今週の変化点を、はっきり書いておきます。週の前半は、センチメントが「ニュートラル」から「リスクオン(弱)」へ持ち直しました。
ところが金曜のウォーシュ講演で、流れが反転します。「9月利上げ」の可能性が一気に高まり、ドル高・金利上昇の圧力が戻りました。その金曜、金も株も同時に下げています。
このねじれは「来週以降の話」ではありません。すでに今週の数字に出ています。後述するIGLDの最下位転落は金曜の金-3%が正体で、NVDYが決算週に動かなかったのは木曜の急騰(取れず)と金曜の急落(食らう)が打ち消し合った結果です。
金曜の講演で、全部がいっぺんに動いた──今週のマクロ環境の実像

今週の相場は、結果だけ見れば先週の裏返しでした。まずは主要指数を、前週金曜から当週金曜にかけて並べます。
| 指標 | 前週終値(8/21) | 当週終値(8/28) | 週間騰落率 |
|---|---|---|---|
| S&P500 | 7,674.37 | 7,711.76 | +0.49% |
| NASDAQ総合 | 26,180.46 | 26,402.42 | +0.85% |
| NASDAQ100 | 29,308.86 | 29,433.43 | +0.43% |
| NYダウ平均 | 53,277.01 | 53,559.99 | +0.53% |
| 日経平均 | 66,016.36 | 66,405.56 | +0.59% |
| 金(ゴールド) | 4,680.60 | 4,529.90 | -3.22% |
| 米10年債利回り | 4.738% | 4.722% | -1.6bp |
| ドル円 | 158.95 | 160.07 | +0.70%(円安) |
| ビットコイン | 78,369 | 77,837 | -0.68% |
結論から書きます。今週の米国株は、主要指数がそろって小幅高でした。S&P500は週間+0.49%、NASDAQ総合は週間+0.85%です。
NYダウは週間+0.53%で、3週ぶりの上昇週となりました。日経平均も週間+0.59%と、先週の-3.93%から反発しています。
ただし、中身は決して厚くありませんでした。CNBCによれば、今週の上昇銘柄は半数未満で、11セクター中プラスだったのは3つだけです。
指数は上がったが、参加者は限られている。全面高ではなく、一部の重い銘柄が指数を押し上げた週だったと読むべきでしょう。
そして今週の主役は、株ではなく金でした。金(ゴールド)は4,680.60ドルから4,529.90ドルへ、週間-3.22%の反落です。
ただし、この下げは一週間かけて起きたものではありません。金は木曜までほぼ横ばいで、金曜のウォーシュ講演でドルが急伸した一日に、週間の下げのほとんどが集中しています。先週の+5.48%急伸のうち、半分以上を金曜だけで吐き出した形です。
先週「有事の金」として独走したIGLDが、今週は最下位に沈みました。この金曜一日の金の下げが、そのまま私の口座の順位表をひっくり返しています。
金曜の主役:ウォーシュ議長の初講演
そして金曜、相場の空気を変える出来事が起きます。ジャクソンホールでの、新しいFRB議長による初講演です。
ウォーシュFRB議長は2026年5月22日に就任しました。カンザスシティ連銀主催のシンポジウムでの講演は今回が初めてで、演題は「In Our Time」です。
新議長の初講演を、市場は通常より厳しく読み解きます。政策運営の癖がまだ読めていないぶん、一語一語の重みが増すためです。
講演の要点は4つでした。第一に、インフレが目標を超えていることを明言しています。「Inflation is running above our 2 percent target」という表現です。
第二に、PCE(個人消費支出物価指数。FRBが最も重視するインフレ指標)は12か月で3.7%、6か月では4.1%と加速方向にあると指摘しました。半年で区切ると、むしろ悪化しているという読み方です。
第三に、フォワードガイダンス(中央銀行が将来の政策方針を前もって示すこと)を制限する方針を示しました。「In normal times, the role of forward guidance should be limited」という一節です。
第四に、現在の金融環境は「引き締め的ではない」と評価しています。企業利益は前年比+20%超、クレジット・スプレッドは歴史的低水準という具体的な根拠を挙げました。
これを平たく訳せば、こうなります。物価はまだ高い、市場は十分に緩んでいる、だから引き締める余地はある。
市場の反応は劇的でした。講演前、9月FOMCでの「据え置き」の織り込みは約70%で、利上げは約28%にとどまっていました。
講演後、CME FedWatchで「9月25bp利上げ」の確率が約56%へ跳ね上がります。「据え置きが約7割」から「ほぼ五分」への急変です。
ただし、「利上げが本命になった」とまでは言えません。CMEでこそ利上げが50%をわずかに超えましたが、予測市場のKalshiは48%、Polymarketは49%で、いずれもなお据え置きが優勢です。3つを並べれば「9月はコインフリップ」というのが実態です。9月FOMCは9月16日に予定されています。
株式市場の反応も限定的でした。S&P500は金曜に-0.25%、NASDAQ総合は-0.52%で、半導体株の下げが目立ちました。週間ではプラスを維持していますから、「まだ完全には織り込んでいない」とも読めます。
金利の話がここまで重いのは、私の保有銘柄に長期債が2本あるからです。TLTX(米国長期国債カバードコールETF)と453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場)です。
ポートフォリオマスターに書いたとおり、長期債は最も金利感応度が高い資産です。利上げ観測の復活は、この2銘柄への静かな逆風になります。
週半ばの経済指標:7月PCE
もう一つ、講演の背景を支えたのが週の半ばの経済指標でした。8月26日にBEA(米商務省経済分析局)が発表した7月のPCEです。
総合PCEは前年比3.7%(前月比+0.2%)で、市場予想の3.6%をやや上回りました。コアPCEは前年比3.3%で、コンセンサスどおりです。
一方で、実質個人消費は前月比でほぼ横ばいでした。6月の+0.4%からの急減速です。税引後所得は+0.4%と、1月以来最大の伸びを記録しています。
整理すると、こうなります。所得は伸びたのに、消費は止まった。そして物価は予想より高い。
インフレの観点でも、消費の観点でも、「利下げを急ぐ理由はない」という結論に寄る内容でした。ウォーシュ議長が講演で使った「6か月で4.1%」も、このPCEを半年で年率化した数字です。PCEデフレーターと個人所得・支出の読み解き方は、以前まとめた回も参考にしてください。
為替:ドル円、再び円安へ
最後に為替です。ドル円は158.95円から160.07円へ、週間+0.70%の円安となりました。
この円安は、後述する決算報告で私の成績を押し上げます。ただし、それは運用の実力とは別物です。この点は決算報告のセクションで、正直に切り分けます。
なお、ポートフォリオ計算に使う為替はダッシュボード基準の160.04円です。上の表のマクロ数値はinvesting.comの終値であり、僅差はデータフィードの差によるものです。
用語補足(初出):カバードコールETFとは、保有する株式に対してコールオプション(買う権利)を売り、その代金を毎週または毎月の分配金の原資にする仕組みのETFです。上値の一部を諦める代わりに、現金を前倒しで受け取ります。
データソース: jp.investing.com(S&P500) / jp.investing.com(NASDAQ総合) / jp.investing.com(NASDAQ100) / jp.investing.com(ダウ平均) / jp.investing.com(日経平均) / jp.investing.com(米10年債利回り) / jp.investing.com(金先物) / jp.investing.com(ドル円) / jp.investing.com(ビットコイン) / Federal Reserve「In Our Time」(Warsh議長講演・2026/8/28) / CNBC(9月FOMCの織り込み急変) / BEA(PCE物価指数) / CBS News(7月PCE) / CNN(7月PCE・個人消費) / Kiplinger(エヌビディア決算ライブ)
22円の重みを、わかってほしい──配当11発1,158円の着弾記録

今週の配当着弾は11発、合計7.06ドル・1,158円でした。
| 着弾日 | ティッカー | 受取額(ドル) | 受取額(円) | 魂の叫び |
|---|---|---|---|---|
| 2026-08-24 | AIPI(AI関連株カバードコールETF) | 0.73ドル | 115円 | 暴れ馬から、今週も餌代 |
| 2026-08-24 | CEPI(暗号資産関連株カバードコールETF) | 0.94ドル | 149円 | 混沌の覇者、今週は現金で貢いできた |
| 2026-08-24 | FEPI(ハイテク大手カバードコールETF) | 0.45ドル | 71円 | 三悪魔の一角、控えめな貢ぎ物 |
| 2026-08-24 | QQQI(NASDAQ100オプション連動高配当ETF) | 1.42ドル | 225円 | 安定感担当、今週の最高額 |
| 2026-08-24 | ULTY(高ボラ銘柄群オプションETF) | 0.69ドル | 109円 | 吐血銘柄でも、現金は現金だ |
| 2026-08-25 | NVDY(エヌビディア単一株オプションETF) | 0.79ドル | 125円 | 主役、評価損最下位級でも三桁は死守 |
| 2026-08-26 | 453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場) | — | 41円 | 国債使い、円建てで静かに41円 |
| 2026-08-26 | NVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF) | 0.39ドル | 61円 | 含み損の主犯が、詫びのように61円 |
| 2026-08-26 | TQQY(TQQQ・3倍レバレッジオプションETF) | 0.30ドル | 48円 | 3倍レバの死神、それでも48円は届けた |
| 2026-08-26 | YSPY(S&P500オプションETF) | 0.14ドル | 22円 | 偽りの安全、たった22円 |
| 2026-08-28 | TLTX(米国長期国債カバードコールETF) | 1.21ドル | 192円 | 権利落ちで順位は下げたが、現金は192円届けた |
| 合計(11発) | — | 7.06ドル | 1,158円 | 11発。株がどう転ぼうと、消えない現金 |
先週(W34)は10発・1,014円でしたから、件数で1発、金額で144円の増加です。谷間を抜けた先週から、さらに一段だけ着弾が厚くなりました。
内訳を見ると、今週の顔ぶれは二層構造になっています。東証上場の月次組から453Aが戻り、週次高分配組のULTY・NVYY・TQQY・YSPYが今週も律義に現金を届けました。
金額の首位はQQQI(NASDAQ100オプション連動高配当ETF)の225円です。二位はTLTX(米国長期国債カバードコールETF)の192円、三位はCEPI(暗号資産関連株カバードコールETF)の149円でした。
表彰台の顔ぶれが、先週とはっきり入れ替わっています。先週は東証上場の円建て組が2枠を占めましたが、今週は米国上場の月次組が上位に並びました。
着弾日の分布は、8月24日に5発、25日に1発、26日に4発、28日に1発です。週の前半と中盤に固まり、金曜のTLTXが最後の一発でした。
なお、453Aのドル欄が「—」になっているのは、データの欠落ではありません。453Aは東証上場の円建てETFであり、分配金がそもそも円で支払われるためです。
そして今週も、高ボラ・高分配で設計された三銘柄が現金を届けてきました。ULTYが109円、NVYYが61円、TQQYが48円です。
因果の向きを、今週も正確に書いておきます。含み損が深いから多く払うのではありません。高い分配率で設計されているからこそ、基準価額が削られやすいという順番です。
実際、今週も配当額の首位は含み損が最も深い銘柄ではありませんでした。最深部のNVYY(評価損益率-37.78%)は61円で、11発中8位にとどまっています。
【今週の空回り】
さて、ここからは今週いちばん小さい数字の話をさせてください。YSPY(S&P500オプションETF)の配当、22円です。
22円。たった22円です。自動販売機の前に立っても、何も買えません。
ですが、聞いてください。この22円は、日経平均が3%沈もうが、ウォーシュ議長が何を言おうが、誰にも取り消せない確定した現金なんです。
含み損は、市場が毎日書き換えます。昨日の-27,090円が、明日には-30,000円になっているかもしれません。あれは、まだ何も決まっていない数字です。
しかしこの22円は違います。すでに口座に入りました。9月に利上げがあろうと、金がもう5%落ちようと、この22円だけは1円も減りません。
わかりますか、この22円の重みが。市場に対して、私が確実に取った戦果は、この小さな数字の積み重ねだけなんです。
含み損がいくら膨らもうと、この22円は誰にも奪えません。二週連続で真逆の相場を浴びても、入金の欄だけは一方向にしか動かなかった。これは、記録に値する事件です。事件なんです──
……と、ここまで熱くなって、ふと口をつぐみました。YSPYの22円について、私はいったい何行使っているのか。
しかも正直に付け足せば、YSPYの分配は過去には約9割がROC(元本の払い戻し)でした。この22円の大半は、自分の元本が戻ってきただけかもしれません。
それでも、市場が毎日書き換える損益と違って、着金したこの現金だけは奪われない。すがっているのは、その一点です。
要するに、今週は11発で1,158円でした。ストロングゼロ数本分です。
正直に書けば、この金額では家計は1ミリも変わりません。それでも累計配当は、先週の230.62ドル・36,797円から今週の7.06ドル・1,158円ぶん増えて、237.68ドル・37,955円まで積み上がりました。
ドル建ての投資元本比では+12.06%です。先週の+11.69%から、また少しだけ厚みが増しました。
IGLD、英雄から戦犯へ──銘柄別損益率ランキング

今週の順位表は、先週の完全な裏返しでした。
| 順位 | ティッカー | 先週損益率 | 今週損益率 | 週間騰落率 | 魂の叫び |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | AIPI(AI関連株カバードコールETF) | -10.86% | -9.18% | +1.68pp | 暴れ馬、今週は良い方向に暴れた |
| 2 | 2865(NASDAQ100カバードコールETF・東証上場・カバー率100%) | +2.00% | +3.37% | +1.36pp | 守備の番人、じわり最高値圏 |
| 3 | 453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場) | -3.86% | -2.66% | +1.20pp | 国債使い、浮上の主因は円安 |
| 4 | FEPI(ハイテク大手カバードコールETF) | -10.28% | -9.46% | +0.82pp | 三悪魔、マイルドに回復 |
| 5 | JEPQ(ナスダック100連動・ELN活用型プレミアムインカムETF) | +6.97% | +7.53% | +0.55pp | 前座が一番「普通」に強い |
| 6 | QQQI(NASDAQ100オプション連動高配当ETF) | +0.00% | +0.53% | +0.53pp | 意地のハイテク、ゼロ%を回復 |
| 7 | YSPY(S&P500オプションETF) | -19.09% | -18.93% | +0.16pp | 偽りの安全、ほぼ動かず |
| 8 | NVDY(エヌビディア単一株オプションETF) | -14.82% | -14.75% | +0.07pp | 主役、木曜の急騰は取り逃がし金曜の急落は直撃 |
| 9 | TQQY(TQQQ・3倍レバレッジオプションETF) | -24.57% | -24.63% | -0.06pp | 死神、静かに横ばい |
| 10 | NVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF) | -37.47% | -37.78% | -0.32pp | 含み損の主犯、今週もじりじり悪化 |
| 11 | TLTX(米国長期国債カバードコールETF) | -8.42% | -8.89% | -0.47pp | 守護者、分配の権利落ちで見かけ後退 |
| 12 | 563A(NASDAQ100日次カバードコールETF・東証上場・カバー率約10%) | +4.00% | +3.32% | -0.68pp | 新型兵器、小反落 |
| 13 | ULTY(高ボラ銘柄群オプションETF) | -32.01% | -32.87% | -0.87pp | 吐血、止まらぬ元本溶解 |
| 14 | CEPI(暗号資産関連株カバードコールETF) | -10.17% | -11.34% | -1.17pp | 混沌の覇者、暗号の荒波で反落 |
| 15 | DOGG(ダウの犬戦略ETF) | +8.61% | +7.36% | -1.25pp | 孤軍奮闘の犬、今週は優雅に裏切った |
| 16 | IGLD(金(ゴールド)ターゲット型ETF) | -11.76% | -13.91% | -2.15pp | 金の盾、先週の首位から一気に最下位へ |
この表は、私が実際に体感する円建て(為替込み)の損益率です。16銘柄はすべて中身がドル建て資産なので(東証上場の3本も、保有しているのは米国債やNASDAQ100銘柄です)、今週の円安(+0.70%)は全銘柄に一律で約+0.7ppの追い風として乗っています。週間騰落率を読むときは、その下駄を頭のなかで差し引いてください。決算報告のセクションで「円安を脱がせて数える」と書いたのと、同じ作業をこの表でもやってほしいということです。
最下位に沈んだIGLD
今週の主役は、首位ではなく最下位です。IGLD(金価格連動カバードコールETF)が、週間-2.15ppで16銘柄中の最下位に沈みました。
先週のIGLDは、金の+5.48%急伸を受けて+3.32ppの独走首位でした。同じ盾が、たった一週間で英雄から戦犯へ転落したことになります。
理由は明快です。金が今週-3.22%と反落したためです。しかも、その下げのほとんどは金曜のウォーシュ講演の一日に集中しています。IGLDの最下位転落は、実質的に金曜一日の出来事でした。
ここで、カバードコール戦略の非対称性を確認しておきます。IGLDはコールオプションを売っているため、金が上がっても取り分には天井があります。
一方、金が下がったときのクッションは、受け取ったオプションプレミアムのぶんしかありません。つまり上げは頭打ち、下げはほぼ素通しという構造です。
ポートフォリオマスターでIGLDを「資産溶解を防ぐ防波堤」と位置づけていますが、防波堤にも高さの限界があります。今週はその限界が、順位表の最下位という形で出ました。
そして、これは初めてではありません。金が下げに転じた週にIGLDが最下位近辺へ沈むのは、過去にも繰り返し記録してきた動きです。今週だけの偶発事象ではなく、この設計が抱える構造的な弱点だと見るべきでしょう。
上位に浮いた3本
次に、上位に目を向けます。首位はAIPI(AI関連株カバードコールETF)の+1.68ppでした。
AIPIは「暴れ馬」と診断している銘柄です。AIバブルの恩恵を受ける一方、下落時の速度も一級品という性格を持ちます。
先週は-2.24ppで下位に沈んでいましたから、今週は方向が反転しました。もっとも、為替の下駄(+0.7pp)を差し引くと、市場平均をわずかに上回る程度です。突出した動きではありません。同じボラティリティが週によって順位を上下させる、その振れ幅の大きさが「暴れ馬」たるゆえんです。
二位は2865(NASDAQ100カバードコールETF・東証上場・カバー率100%)の+1.36ppです。損益率は+3.37%で、保有16銘柄の中でも数少ないプラス圏を維持しています。
三位は453A(米国債20年超プレミアムインカムETF・東証上場)の+1.20ppでした。ただし、この上昇は金利要因だけでは説明できません。453Aは東証上場の円建てETFで、中身はドル建ての米国債です。今週の円安(+0.70%)が、そのまま円建て評価額を押し上げています。上昇の半分以上は為替で、米10年債利回りの小幅低下(-1.6bp)による債券価格の押し上げは限定的です。
一方、11位のTLTX(-0.47pp)は、今週2位の192円の分配で権利落ちを迎えています。損益率は基準価額で測るため、権利落ちの分がそのまま順位を押し下げます。TLTXの後退は金利のせいではなく、この権利落ちが主因です。
だからこそ、金曜のウォーシュ講演は今後の逆風になります。「9月利上げ」の可能性が高まった以上、長期金利が上振れすれば、TLTXと453Aは債券価格の下落という直接の打撃を受けます。
対照的に苦戦したのが、東証上場のもう一本、563A(NASDAQ100日次カバードコールETF・東証上場・カバー率約10%)です。今週は-0.68ppでした。
563Aと2865は、真逆の設計思想を持つ姉妹のような存在です。563Aはカバー率約10%で上昇にほぼ追随し、2865はカバー率100%で値上がり益を完全に手放します。
今週は上げ相場だったのに、値上がり益を捨てるはずの2865(+1.36pp)が、追随するはずの563A(-0.68pp)を2ppも上回りました。設計から素直に予想される順番と、逆です。
2865の側は説明がつきます。円建てETFなので円安(+0.70%)が効き、そこへ売っているコールのプレミアム収入が乗りました。カバー率100%なので上昇の取り込みは限定的ですが、下げなかった週はプレミアムぶんだけ前進します。
問題は563Aです。カバー率が低く上昇に追随するはずなのに、逆に下げています。ここで効いているとみられるのが、目論見書に記載された構造的な留意点です。
563Aの連動対象は韓国上場のETFで、米国市場とは取引終了時刻に約13.5〜14.5時間の時差があります。この時差のぶん、対象指数の値動きと基準価額がずれることがあります。今週の下振れは、その乖離が悪い方向に出た週だったと見るのが自然です。
もう一つ、今週の目立った下落がDOGG(ダウの犬戦略ETF)の-1.25ppです。損益率は+8.61%から+7.36%へ後退しました。
DOGGはポートフォリオマスターで「孤軍奮闘。ディフェンシブだが、時に優雅に裏切る」と診断している銘柄です。先週の全面安では逆行高で+1.64ppを稼ぎ、今週の反発局面では逆に削られました。
ディフェンシブ資産の宿命が、そのまま出ています。守りに強いということは、攻めの局面では相対的に弱いということです。
もっとも、DOGGは総合リターンで見れば別の顔を持ちます。累計配当を加えたトータルリターン率は+13.38%で、16銘柄中の堂々たる首位です。
週次の順位表と、累計の成績表は別物である。この視点は、含み損に押しつぶされそうな週ほど効いてきます。
皮肉なポジション:エヌビディア関連2銘柄
そして今週、最も皮肉な位置にいたのが、エヌビディア関連の2銘柄でした。NVDY(エヌビディア単一株オプションETF)が+0.07pp、NVYY(エヌビディア・プット売り活用ETF)が-0.32ppです。
エヌビディアは8月26日に決算を発表しました。売上高は962億ドルで、コンセンサスの約920.7億ドルも、自社ガイダンスの910億ドル±2%も上抜けています。
さらに次の四半期(Q3 FY27)のガイダンスは1,080億ドルで、コンセンサスの約1,042億ドルを超えました。文句のつけようがない「beat and raise」です。
株価は、木曜に決算を好感して約9%急伸しました。ところが翌金曜、そのほとんどを吐き出しています(-4.6%)。前週金曜比では+1.3%、週間ではほぼ横ばいの一週間でした。
だからNVDYの+0.07ppは、それ自体を「皮肉」と呼ぶべきものではありません。原資産が週間でほぼ横ばいなら、連動するETFもほぼ横ばい。そこは整合しています。
見るべきは、木曜と金曜の非対称です。NVDYは木曜の急騰では上値を切られて一部しか取れず、金曜の急落はクッションが薄いためほぼそのまま食らいました。上げは頭打ち、下げは素通し。IGLDで見たのと同じ構造が、エヌビディアでも起きています。
正直に告白します。木曜、決算を受けてエヌビディアが9%跳ねたと知って、私は「NVDYも来るぞ」と静かに拳を握りました。ところが金曜、エヌビディアはその急騰をほぼ全部返してしまいます。週明けに損益率ランキングを開いたら、NVDYは+0.07pp。握った拳の、やり場がありません。
じつは、決算週にこの拳のやり場を失うのは初めてではありません。前回のエヌビディア決算のときも、NVDYが配当を届けながら週間最下位に沈んだ回として記録しています。カバードコールETFにとって決算は、上値を取りにいくイベントではないのです。
木曜の上げに乗れず、金曜の下げは食らう。この非対称がなぜ起きるのか。次のセクションで、証券アナリストとして正面から解剖します。
最後に、最深部の記録も残しておきます。NVYYの評価損益率は-37.78%で、16銘柄中の最下位です。トータルリターン率でも-10.07%と、唯一の二桁マイナスになっています。
ポートフォリオマスターの診断は「含み損の主犯。NVDYより危険。下落時に元本が猛烈に削られる」でした。診断は、残念ながら正確です。
円安という下駄を、脱がせて数える──決算報告とポートフォリオ全景

今週の通信簿を、私が実際に体感する円建て(為替込み)を主役に読み解きます。
| 項目 | 金額(ドル) | 金額(円・為替込み) |
|---|---|---|
| 投資元本 | 1,970.56ドル | 310,206円 |
| 株式時価総額合計 | 1,769.05ドル | 283,115円 |
| 株式評価損益合計 | -201.51ドル | -27,090円 |
| 株式評価損益率 | -10.23%(ドル建て) | -8.73%(円建て・為替込み) |
| 累計配当金総額 | +237.68ドル(元本比+12.06%) | +37,955円 |
| トータルリターン | +36.17ドル | +10,865円 |
| トータルリターン率 | +1.84%(ドル建て) | +3.50%(円建て・為替込み) |
※ポートフォリオ計算に使う為替は1ドル=160.04円(ダッシュボード基準)です。円建ての金額は実際に支払った円を元本とする実額ベースで、為替差損益を含みます。
※本セクション・配当着弾記録・損益率ランキングの数値は、いずれもanalysis-lab(筆者の自作分析基盤)が購入履歴・配当入金明細・株価から集計した実績値です。「先週は◯◯円」等の比較値は前週レポートの記録に基づきます。
円建てのトータルリターンは+3.50%(+10,865円)でした。先週の+8,222円(+2.65%)から、2,643円の改善です。
改善の内訳を確認します。株式評価損が-28,575円から-27,090円へ1,485円ぶん浅くなり、そこへ今週の配当1,158円が乗りました。
累計配当は37,955円まで積み上がりました。ドル建ての元本比では+12.06%で、投資元本のうちすでに1割以上が現金として戻ってきた計算です。
なお、ドル建ての投資元本表示が先週の1,972.30ドルから1,970.56ドルへ動いています。これは東証上場の円建て3銘柄をドル換算する際の為替差による表示上の変動で、円建て元本310,206円は先週と同額です。
ここからが、今週いちばん正直に書かなければならない部分です。
この改善には、円安の下駄が含まれています。ポートフォリオ計算の為替は、先週の158.88円から今週の160.04円へ円安方向に動きました。
為替の影響を除いた、純粋な運用成績を見ます。ドル建ての株式評価損益率は-10.13%から-10.23%へ、むしろ悪化しています。
つまり、こうです。円建て(体感)は良くなった。ドル建て(運用の実力)は横ばいから微悪化。
円建て評価損益率が-9.21%から-8.73%へ改善して見えるのは、保有するドル資産を円に換算する際のレートが有利に動いたためです。銘柄の中身が良くなったからではありません。
トータルリターンも同じ構造です。円建てで+3.50%、ドル建てで+1.84%。この開きの相当部分が、為替の寄与にあたります。
私は円で投資し、円で生活しています。ですから体感に一致する円建てを主表記にしています。
しかし、円建てだけを見ていると、運用が上手くいっているのか、円が弱くなっただけなのかが判別できなくなります。だから毎週、両方を並べて記録します。
基準を揺らさないこと。これが人体実験を1年続けるうえで、いちばん退屈で、いちばん重要な作業です。
先週も書いたことを、今週も繰り返します。実効FFレートは年率3.63%です。何もせずドルMMFに置いておくだけで得られたはずの利回りと比べれば、ドル建て+1.84%という数字は見劣りします。この+1.84%は運用開始からの累計なので、年率に直せばさらに小さくなります。
年率で比べても、無リスク金利には今週もまだ届いていません。
決算翌日に+9%、金曜に-4.6%。NVDYが乗れなかった構造──CMA週替わり考察

結論から書きます。エヌビディアは決算翌日の木曜に約9%急伸し、金曜にそのほとんどを返しました。前週金曜比では+1.3%、週間ではほぼ横ばいです。NVDYとNVYYも週間ではほぼ横ばいでした。ここまでは整合しています。
問題は、木曜と金曜で「取れ方」と「食らい方」が非対称だったことです。原因は、主に1つ。コール売りによる上値切りです。加えて、決算跨ぎのIVクラッシュがどう絡むかも、誤解されやすいので正確に整理します。
主因:コール売りによる上値切り
カバードコールETFは、保有株に対してコールオプション(一定価格で買う権利)を売ります。その代金(オプションプレミアム)が、毎週または毎月の分配金の原資になります。
ここに構造上の制約があります。株価が権利行使価格を超えて上昇した場合、その超過分の値上がり益はオプションの買い手に渡ります。
つまり原資産が木曜に9%跳ねても、ETFが取り込める上昇分には天井があるということです。ポートフォリオマスターでNVDYを「NVDAのボラを配当に変えるが、上昇の天井が低い」と診断しているのは、この構造を指しています。
大事なのは、これが不具合ではないという点です。設計どおりに動いた結果として、上値が切られています。
上昇を諦める代わりに現金を先取りする。それがカバードコール戦略の契約内容であり、今週はその契約が正確に履行されただけです。
木曜の上げは、この上値切りでほとんど取れませんでした。逆に金曜の下げは、受け取ったプレミアムぶんのクッションしかないため、ほぼそのまま基準価額に響きました。木曜と金曜の非対称は、ここから来ています。
補足:IVクラッシュは、当週の犯人ではない
決算跨ぎで必ず話題になるのが、インプライドボラティリティ(オプション価格に織り込まれた予想変動率)の急低下、いわゆる「IVクラッシュ」です。ここは向きを間違えやすいので、正確に書きます。
決算前は結果が読めず、この不確実性がオプション価格を押し上げます。決算を通過した瞬間に不確実性が消え、インプライドボラティリティは急低下します。
コールを売っている側にとって、IVの低下は有利な現象です。高く売ったオプションを、安く買い戻せる(あるいは価値が減る)ためです。つまりIVクラッシュは、木曜の上値切りによる痛みを和らげる方向に働きます。当週の基準価額が伸びなかった「犯人」ではありません。
IVクラッシュの本当のコストは、当週ではなく次回以降のインカムに出ます。ボラティリティが下がると、次に売るコールのプレミアムが減り、分配金の原資が細ります。少し前に「分配金の水準は保証されない」と書いたのは、こういう仕組みも含めての話です。
具体例:今週のNVDYとNVYY
数字で確認します。NVDYの週間騰落率は+0.07pp、NVYYは-0.32ppでした。原資産のエヌビディアが週間でほぼ横ばい(+1.3%)だったことを思えば、この2銘柄がほぼ横ばいなのは整合的です。静かに見えるのは、木曜の急騰と金曜の急落が打ち消し合ったからです。
一方で、この2銘柄は今週それぞれ125円と61円の配当を出しています。評価では上げに乗れず、入金では現金を出す。
カバードコールETFの性格が、これ以上ないほど分かりやすく現れた一週間でした。木曜の急騰は取り逃がし、金曜の急落は食らい、そのかわりボラティリティを現金に変換して届ける。
この構造を理解せずにNVDYを買うと、「エヌビディアが木曜に9%上がったのに、なぜ自分のETFは上がらなかったのか」という不満だけが残ります。木曜だけを見れば、その不満はもっともです。ですが週間で見れば、原資産もETFもほぼ横ばいで、つじつまは合っています。
投資判断が変わるかどうかは別として、期待の置き場所は確実に変わります。カバードコールETFに期待すべきは値上がり益ではなく、現金の定期的な着弾です。
分配金の中身についての補足(ROC)
もう一点、今週も明記しておきます。高分配の週次組(ULTY・NVYY・TQQY等)の分配金には、ROC(Return of Capital=元本の払い戻し)が大きく含まれます。
ROCとは、運用で得た利益ではなく、投資家が預けた元本の一部をそのまま返している部分を指します。米国上場ETFではSection 19(a)通知として、分配金の内訳が開示されます。
直近で判明している通知ベースで見ると、内訳は銘柄によってはっきり分かれます。
ULTYは8月上旬の分配で分配金の100%がROCでした。TQQYは7月分で約98%、YSPYは6月分で約90%がROCです。受け取った現金の大半が、運用益ではなく自分の元本の払い戻しだったことになります。
一方でNVDYとJEPQは、直近の通知で分配金の100%が運用益(ROC 0%)でした。同じ「高配当ETF」でも、中身はまったく違います。
なお、今週(8月下旬)に着弾した分の通知は、まだ出そろっていません。確認でき次第、次回以降で更新します。
つまり入金額の一部、銘柄によっては大部分が、右のポケットから左のポケットへ移しているだけということです。
「配当をもらった」と喜ぶとき、その中身が利益なのか元本の返却なのかは、必ず分けて考える必要があります。この視点を落とすと、資産が溶けていることに気づけません。
ULTYの評価損益率-32.87%、NVYYの-37.78%という数字は、その警告として毎週ここに記録しています。
そして分配金そのものも、水準が保証されているわけではありません。運用環境やボラティリティが変われば、翌月から減額されることも停止されることもあります。「今週も届いた」は「来週も届く」を意味しません。
ここで、多くの方の胸に去来する一言があるはずです。「それ、オルカン(オールカントリー=全世界株インデックス)でよくない?」……云ってはいけないッ!!
それを云ったら、この人体実験は初日で終わります。正しさは知っています。知ったうえで、こちらの道を歩いているんです。
本記事は筆者個人の運用記録であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 本稿で扱う商品はいずれも元本が保証されておらず、価格変動により元本割れする可能性があります。
過去の運用実績(配当実績・評価損益等)は、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。文中の記述は、一般的な市場教育の観点からの筆者個人の見解です。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
結論

聞いてください!!
含み損は、消えません。今週も-27,090円という赤が、私の画面には残ったままです。
配当を受け取っても、株価の下げがそれを上回る週があります。先週がまさにそうでした。報われている実感が、なかなか持てない。あなたも、そう感じているのではないでしょうか。
それでも、一つだけ、はっきりしている事実があります。配当という現金だけは、一方向にしか動きません。
市場がどれだけ荒れても、着金した1,158円は取り消されません。9月にウォーシュ議長が利上げを決めても、金がもう5%落ちても、あの22円は口座に残り続けます。
含み損は、まだ確定していない敗北です。配当は、すでに確定した勝利です。人柱が握っているのは、後者だけです。
もっとも、その「勝利」の中身が元本の払い戻し(ROC)である銘柄も多い。手放しで喜べるのは、受け取った現金が市場に奪われないという一点だけです。
証券アナリストとして、理論的な根拠も添えておきます。評価損益だけを見て一喜一憂するのは、試合の途中経過だけを見て順位を語るのと同じことです。
見るべきはトータルリターン(評価損益+累計配当)です。今週それは、円建てで+10,865円、率にして+3.50%でした。プラス圏を、まだ死守しています。
ただし、この記事で書いたとおり、ドル建てでは+1.84%です。円安の助けを差し引いた「素の実力」は、まだ無リスク金利にも届いていません。
都合のいい数字だけを並べるつもりはありません。両方を記録しておくことが、この実験の価値だと考えています。
私自身の現状も告白します。船橋、深夜、ストロングゼロ。モニターには-27,090円。
この記録を、誰に頼まれたわけでもなく、一年近く続けています。格好のいい話は一つもありません。
それでも、あなたに一つだけ伝えたいことがあります。もし今、評価損益の数字だけを見て眠れなくなっているのなら。
一度、そこに累計配当を足した「トータル」の数字を見てください。私の場合、-27,090円という赤の隣に、37,955円という現金が積み上がっていました。この「累計配当が含み損を喰い破る」感覚は、評価損-6%の局面で最初に書いた回から、ずっと同じことを記録し続けているだけです。
景色が、変わるかもしれません。数字が良くなるわけではありません。ですが、自分がどこに立っているのかは、確実に見えるようになります。
来週も私は同じことをします。着弾した配当を数え、深くなったり浅くなったりする含み損を直視し、そのままここに書き残す。それだけです。
次の山場は9月16日のFOMCです。「利上げ」が本当に来るのか。そのとき人柱のポートフォリオがどう転ぶかは、また来週このページで数えます。
今週も、負けてない。1,158円ぶん、確かに勝っている。
※本記事は筆者個人の運用記録であり、特定の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 株価は含み損なのに、なぜ「トータルリターン」はプラスなのですか?
トータルリターンは「株式の評価損益」だけでなく「受け取った配当・分配金の累計」を足し合わせた数字だからです。本記事の例では、株式評価損益が-27,090円でも、累計配当37,955円を加えると合計は+10,865円のプラスになります。
カバードコールETFは、保有株のコールオプションを売った代金(プレミアム)を分配金の原資にします。株価が下がって含み損が出ている局面でも、この分配金は着金し続けるため、評価損をインカムで少しずつ埋め戻していく構造です。
ただし、分配金の一部または全部が「元本の払い戻し(ROC)」である銘柄もあります。その場合、増えているのは「自分の元本が現金で戻ってきた分」であり、必ずしも運用で稼いだ利益とは限らない点に注意が必要です。
出典: グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF (2865) 簡易目論見書/本記事「円安という下駄を、脱がせて数える──決算報告とポートフォリオ全景」
Q2. 「上げ取れず下げ食らう」とは、カバードコールETFのどういう性質ですか?
コールオプションを売っているため、上昇局面では利益に天井ができる一方、下落局面ではプレミアムの分しかクッションがないという非対称性を指します。
- 上昇時:株価が権利行使価格を超えて上がっても、超過分の値上がり益はオプションの買い手に渡ります。得られるのはプレミアム+権利行使価格までの値上がり分に限定されます。
- 下落時:株価下落による損失は、受け取ったプレミアムの範囲でしか和らげられません。それを超える下落はそのまま基準価額に響きます。
このため、原資産が大きく上昇する相場では指数に見劣りし、緩やかな上昇・横ばい・軽度の下落の相場で相対的に有利とされます。加えて、為替ヘッジなしの銘柄は円高が基準価額の下押し要因になります。
出典: グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF (2865) 簡易目論見書/iシェアーズ 米国債20年超 プレミアムインカムETF (453A) ファクトシート/FT Cboe Vest Gold Strategy Target Income ETF (IGLD) Prospectus
Q3. なぜ新FRB議長が利上げを示唆すると、金も株も同時に下げたのですか?
「利上げ観測の高まり=実質金利の上昇圧力」が、金と株の両方に逆風として働くためです。本記事のマクロセクションのとおり、8月28日のウォーシュ議長の講演直後に9月利上げの織り込みが跳ね上がり、その日のうちに金・株がそろって下げました。
- 金:利子を生まない資産のため、金利が上がると「金利を生む資産(債券・預金)」との比較で相対的な魅力が下がり、売られやすくなります。
- 株:将来の利益を現在価値に割り引く「割引率」が上がるため、とくにバリュエーションの高い銘柄の理論価格が下がります。
いずれも「金利上昇→ドル高」の圧力とセットで動きやすく、講演ひとつで複数の資産クラスが同じ方向に動くことがあります(これは筆者個人の一般的な市場解説であり、将来の値動きを保証するものではありません)。
出典: Federal Reserve「In Our Time」(Warsh議長講演・2026年8月28日)/本記事「金曜の講演で、全部がいっぺんに動いた──今週のマクロ環境の実像」
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