スティッキープライス(Sticky-price)CPIとは
Sticky-Price CPI (スティッキープライス CPI)とは、 「スティッキープライス消費者物価指数」とも呼ばれる、 連邦準備銀行の一つであるアトランタ連銀が算出・公表している米国の消費者物価指数の1つです。
CPⅠ の構成要素を価格頻度に基づいて 「価格が柔軟に変動する品目」と「価格の粘着性が高い (価格の変動が遅い) 品目」に分類し、価格の粘着性が高い 品目のみで構成された指数です。
将来のインフレ期待が組み込まれているため注目度が高い
Sticky-Price CPI (スティッキープライスCPI) の 「価格の粘着性が高い (価格の変動が遅い)品目」は、消費者物価指数に含まれる価格が比較的頻繁に変更されない商品やサービスのサブセットから計算されています。
これらの商品やサービスは「価格が柔軟に変動する品目」よりも将来のインフレ (インフレーション)に対する期待が組み込まれていると考えられているため、注目度が高い指標となっています。
以下は、クリーブランド連銀レポートの抜粋です。
従来のインフレ予測を形成する基本的な力は、すべての価格に対して同じように作用するわけではありません。
たとえば、 一部の価格は 「粘着性」 があります。 これは、市場の状況の変化に「柔軟に価格が変動する」 商品ほど迅速に対応できない可能性があります。
また、 粘着性のある価格は変化が遅いため、これらの価格が設定されると頻繁に変化する価格よりも将来のインフレに関する期待が組み込まれていると考えるのが妥当と考えられています。
実際、柔軟な価格は経済環境の変化(スラック) に対してはるかに敏感であり、 粘着性のある価格はより先を見越しているように見えることを証明していると考えています。
クリーブランド連銀レポート
何が価格を固定するのか?
ジョン・メイナード・ケインズが70年以上前にスティッキーな価格に関する一般理論を構築して以来、この質問に対する答えは経済学者を困惑させてきました。
一部の市場では、価格の変更に多大なコストがかかる可能性があるというのが一般的な考えです。
これらのコストは、 企業が価格を変更するインセンティブを大幅に低下させる可能性があります。
粘着性のある価格は柔軟な価格ほど経済状況に反応しないかもしれませんが、 インフレ期待を組み込むのに適しているかもしれません。
価格設定者は価格を変更するには費用がかかることを理解しているため、価格決定ではまれな価格変更の期間のインフレを考慮したいと考えると思われます。
柔軟な価格は、おそらく経済のたるみの程度を含む市場の状況の変化に反応するため、 月ごとに激しく跳ね返る傾向があります。
一方、 粘着性のある価格は、経済状況への適応が遅い傾向があります。
重要なことは、スティッキー・プライスにはインフレ予想の要素が含まれている可能性があり、その要素はインフレがどこに向かっているのかを見極める際に役立つ可能性があります。
粘着性が高い価格はどれくらい遅行する?
過去の傾向では「価格が柔軟に変動する品目」 が上昇して天井を打った後 (ピークアウトした後)、「価格の粘着性が高い (価格の変動が遅い) 品目」 は約9カ月遅行してピークアウトを迎えるのが平均的な傾向です。
以下に2023年10月にFREDでスティッキープライスCPIとCPIを比較したグラフを添付します。
どこで確認することができるか
アトランタ連銀やFREDのホームページで見ることができます。
アトランタ連銀:https://www.atlantafed.org/research/inflationproject/stickyprice/
FRED:https://fred.stlouisfed.org/series/CORESTICKM159SFRBATL#
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