利回り112%の蜃気楼――サイトごとに数字が化けるULTY、分配金は4割溶けていた

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2026年8月中旬の船橋は、梅雨明けの熱気にどっぷり沈んでいます。午後7時を回っても、西の空にはまだ茜色が残っていました。マンションのベランダに出ると、油蝉の声が耳の奥にこびりつきます。

手すりは昼間の熱を抱えたまま、生ぬるく汗ばんでいました。溶けかけたアイスコーヒーを片手に、私は口座画面に並ぶ「利回り112%」という数字を見つめていたのです。

申し遅れました。私は証券アナリスト(CMA)とFP資格を持つ、アラフィフの兼業ブロガーです。超高配当カバードコールETFを16銘柄、1年間まるごと自腹で人体実験しています。

今日の主役は、その実験群でも異彩を放つULTY(YieldMax Ultra Option Income Strategy ETF)です。単一銘柄ではなく、値動きの荒い株を丸ごと束ねた週次分配の超高配当ETFになります。

私がなぜ、蝉時雨の夕暮れにわざわざULTYの記事を書くのか。理由は、この銘柄の利回り表示があまりに人を惑わすからです。あるサイトでは60.51%、別のサイトでは112.34%、予測では142%という数字が並びます。

同じ銘柄なのに、なぜ利回りが化けるのでしょうか。CMAとして数字の内訳を裁ち、FPとして家計への意味へ翻訳します。命懸けの講義でお届けします。

目次

錬金術の設計図――高ボラ株を束ねたカバードコールETF、ULTYの正体

まず、ULTYが何をする機械なのかを解剖します。正式名称は「YieldMax Ultra Option Income Strategy ETF」です。運用会社YieldMaxが2024年2月28日に設定した、比較的新しいファンドになります。中身を一言でいえば、複数の高ボラ株を束ねてオプション収入を搾り取る装置です。

ULTYの運用は、アクティブ運用(運用者が銘柄や戦略を機動的に選ぶ積極運用型)です。指数に連動させるインデックス運用とは対極にあります。具体的には、15〜30の原資産に対してポジションを組みます。

原資産は、値動きの荒い高ボラティリティ(価格変動の大きさ)銘柄と、値動きの穏やかな大型株を組み合わせたものです。荒れ馬と乗用馬を、同じ馬車につないだような構成になります。

その原資産に対して、ULTYはコールスプレッド戦略を用います。コールスプレッド(異なる権利行使価格のコールオプションを同時に売り買いする組み合わせ)とは、値上がり益を受け取る権利を売買してプレミアム収入を得る手法です。

ここで得たオプションプレミアム(権利の売却で受け取る現金)を、週次の分配金として配ります。荒れ狂う値動きの熱量を、そのまま現金に変える錬金術というわけです。

では、実際にどんな銘柄が束ねられているのでしょうか。2026年7月21日時点の上位構成銘柄を見てみましょう。

順位銘柄構成比率
1AMD(半導体)4.63%
2AMZN(アマゾン)4.59%
3LRCX(ラムリサーチ)4.58%
4MELI(メルカドリブレ)4.48%
5HOOD(ロビンフッド)4.48%

半導体、ネット通販、新興国EC、ネット証券。値動きの荒い成長株が、きれいに顔をそろえています。保有銘柄数は全部で112銘柄、ファンドの純資産は8億1,892万ドルに達します。発行済み株式数は3,000万株です。一銘柄への集中を避けつつ、市場全体のボラティリティを広く薄く収穫する。それがULTYの設計思想だと私は読み解いています。

ここまでで、ULTYの正体はつかめました。値動きの荒い株を束ね、そのボラティリティをオプションで現金化する装置です。しかし、この錬金術の看板である「利回り」こそが、最初の落とし穴になります。次章で、その数字のカラクリを暴きましょう。

利回り112%という蜃気楼――なぜサイトごとに数字が化けるのか

ULTYを検索すると、利回りの数字がサイトごとにバラバラで面食らいます。ある情報源は60.51%と書き、別の情報源は112.34%と表示します。予測ベースでは142%という数字さえ見かけます。同じ銘柄で、なぜここまで利回りが化けるのか。答えは、算出方法が三者三様だからです。

一つ目は、直近の分配金を年換算する方式です。直近1回の週次分配金を52週分に引き伸ばし、株価で割って利回りを出します。YieldMaxが公式に掲げるDistribution Rate(分配率)60.51%が、この考え方に近い数字です。今この瞬間の分配ペースが1年続いたら、という前提の数字になります。

二つ目は、TTM方式です。TTM(Trailing Twelve Months=過去12ヶ月)とは、直近1年間に実際に支払われた分配金の合計を指します。stockanalysis.comが表示する配当利回り112.34%は、この方式によるものです。過去12ヶ月の年間配当31.17ドルを、現在株価27.75ドルで割って算出されています。過去の実績を振り返る、後ろ向きの数字になります。

三つ目は、予測ベースの方式です。将来の分配金を強気に見積もり、そこから利回りを逆算します。142%という派手な数字は、予測系の計算から生まれやすいものです。あくまで見込みであり、確定した実績ではありません。

三つの方式を並べると、性格の違いが浮かび上がります。

表示算出方式性格
60.51%直近分配金の年換算(Distribution Rate)今のペースを1年に引き伸ばした数字
112.34%TTM(過去12ヶ月合計÷現在株価)過去1年の実績を振り返った数字
142%予測ベース将来を強気に見積もった見込み

では、なぜ60.51%と112.34%はここまで開くのでしょうか。鍵は、両者が見ている「期間」の違いにあります。Distribution Rate 60.51%は、直近の細った分配金(直近基準日は0.3176ドル)を52週分に年換算した数字です。

一方でTTM利回り112.34%は、過去12ヶ月に実際に払われた分配金の合計をもとにします。過去12ヶ月には、分配金がまだ0.5ドル台だった分厚い時期(2025年末は0.5461ドル)が含まれています。

片や減少後の現在水準の年換算、片や分配が厚かった過去を含む合計――見ている期間がまるで違うからこそ、同じ銘柄で利回りが倍近くも乖離するのです。逆に言えば、分配金がこれだけ細った今、TTMの112.34%は過去の栄光で膨らんだ数字であり、直近水準を反映した60.51%のほうが今の実力に近いと私は読み解いています。

ここで、もう一つ見落とせない数字があります。ULTYの30-Day SEC Yield(米国SEC基準の30日利回り)は、なんと0.00%です。SEC利回りは、利子や配当収入をもとに算出する厳格な基準になります。

ULTYの収入の大半はオプションプレミアムであり、SEC基準の利回りには含まれません。だからこそ0.00%と表示されるのです。「利回り○%」という数字だけを見て銘柄を比較するのは、極めて危険だと言い切ります。看板の数字が何を測っているのか。まずそこを疑う癖が、身を守る第一歩になります。

削られていく分配金――2025年末から4割超が溶けた記録

利回りの看板を剥がしたら、次は分配金の実額を追います。ここが、本記事で最も直視すべき数字の一つです。YieldMax公式が開示する週次分配金と、そのROCの推移を時系列で並べます。ROC(Return of Capital=元本払戻金)とは、利益ではなく投資家の元本を返している部分を指します。

基準日分配金ROC比率(元本払戻金)
2025年12月09日0.5461ドル表示なし
2025年12月16日0.4921ドル74.89%
2025年12月23日0.5705ドル99.57%
2026年06月02日0.3960ドル100.00%
2026年06月09日0.3485ドル100.00%
2026年06月16日0.3899ドル100.00%
2026年06月23日0.3817ドル100.00%
2026年06月30日0.3411ドル0.00%
2026年07月07日0.3384ドル100.00%
2026年07月14日0.3302ドル0.00%
2026年07月21日0.3176ドル0.00%

まず分配金の額そのものを見てください。2025年12月9日の0.5461ドルが、2026年7月21日には0.3176ドルまで細っています。この間の減少率は、約41.8%です。

半年強で、1回あたりの分配金が4割以上も溶けた計算になります。利回りの派手さとは裏腹に、原資そのものが痩せ細っているのです(※この41.8%という数字が、実はまだ控えめな見方であることは、④章で改めて種明かしします)。

これは決して他人事の数字ではありません。私自身、2026年7月17日時点でULTYを3株、1株あたり39.21ドルで保有しています。評価損益はマイナス36.27ドル(約5,132円)、トータルリターン率はマイナス5.50%です。

直近では2026年7月8日基準の分配金0.74ドル(約120円、7月13日着金)を受け取りました。累積で受け取った分配金は26.19ドル(約4,123円)に達していますが、含み損と差し引けば、まだ赤字圏から抜け出せていません。缶コーヒー1本分にも満たない週がある分配金を、正直な気持ちで淡々と記録し続けています。

さらに恐ろしいのがROCの動きです。ROC比率は、74.89%や99.57%、100.00%かと思えば、突然0.00%へ振れます。ほぼ毎回、0%か100%かという両極端の間を行き来しているのです。ROCが100%の週は、その分配金の全額が「利益」ではなく「元本の払い戻し」として区分されています。会計上は、自分が預けたお金が形を変えて戻ってきているだけの状態です。

ここで登場するのが、タコ足配当という言葉です。タコ足配当(利益ではなく元本を取り崩して払う配当)とは、タコが自分の足を食べて飢えをしのぐ姿になぞらえた表現になります。

ROCが100%の週は、まさにこのタコ足配当が起きている疑いが濃厚です。分配金という名前で受け取ったお金の正体が、自分の元本だったとしたら。喜んで再投資するのは、右のポケットから左のポケットへお金を移す行為に近くなります。

ここでFPとして、家計簿のつけ方に一つ提案があります。ROCが100%の週の分配金は、収入欄ではなく「元本の払い戻し」欄に記帳するのが実態に近い扱いです。収入として記帳すると家計は潤っているように錯覚しますが、実際は自分の元本が目減りしているだけの週があるからです。

とりわけ注意すべきが、分配金の自動再投資設定になります。ROC由来の分配金を自動で再投資し続けると、取り崩した元本をそのまま買い戻しているだけ、という空回りが起こり得ます。タコ足で得た足を、また自分に植え直しているようなものです。

もちろん、ROCには税務上のメリットもあります。元本払戻金は、受け取った時点では課税されないケースがあるからです。しかし、それは「利益が出ている」こととは全く別の話になります。分配金の額と、資産が増えているかどうかは、完全に切り離して考える必要があります。次章では、そのタコ足に削られた基準価額の傷跡を辿ります。

基準価額という体温――64.60ドルから27.75ドルへ、静かな失血

分配金が元本を取り崩しているなら、その傷は基準価額に現れます。ULTYの株価の推移を見てみましょう。52週高値は64.60ドル、52週安値は26.62ドルでした。そして2026年7月21日の終値は、27.75ドルです(前日比プラス0.50ドル、プラス1.83%)。高値64.60ドルから、現在は27.75ドルまで削られているのです。

ここで、一つ重大な訂正をしなければなりません。これほどの下落幅を見て、当初は「株式分割の記載は見当たらない」と判断していました。

しかし裏取りを重ねた結果、2025年11月26日、運用会社の母体であるTidal Trust II理事会がULTYを含む複数ファンドの逆分割を発表し、2025年12月1日付で1-for-10の逆分割(10株を1株に併合する処理)が実際に実施されていたことが確認できました。

YieldMax公式の発表資料に加え、SEC提出書類、OCC(オプション清算機関)の情報メモ、MIAX取引所のコーポレートアクションアラートという複数の一次情報で裏付けが取れています。同時期にYieldMax系のETFが十数本まとめて同様の逆分割を実施しており、業界内でも話題になった出来事でした。

逆分割は、基準価額が下がりすぎた銘柄の見た目の株価を引き上げるための、いわば体裁のリセットです。10株を1株にまとめれば、理論上は株価が10倍に見えます。しかし投資家が持つ資産の価値そのものが増えるわけではありません。この事実を踏まえて、③章で触れた2024年4月17日の分配金14.17ドルを見直してみましょう。

この金額は分割前の「旧株」基準の数字です。分割後の株数に揃えて実質ベースで比較するには、10で割る必要があります。1.417ドル相当になる計算です。これを直近の分配金0.3302ドル(2026年7月14日基準)と比較すると、減少率は約76.7%に達します。

③章で示した「約41.8%減」は、あくまで逆分割後の期間(2025年12月以降)に限定した数字です。逆分割という大きな出来事を跨いで長期で見れば、実態はさらに深刻でした。

なお、本章で使っている52週高値64.60ドル・安値26.62ドルという数字自体は、株価データベースの一般的な実務慣行として、分割後の株数ベースに遡及調整(split-adjusted)されている可能性が高いと見ています。

ただし、この点についてstockanalysis.com側からの明示的な確認は取れていません。株価データの解釈には、この留保を付けておきます。

では、分配金を毎週受け取ってきた投資家は報われたのでしょうか。トータルリターン(分配金を含めた総合的な損益)で見ると、答えは残酷です。

ULTYの過去1年トータルリターンは、マイナス9.27%でした。分配金を毎週せっせと受け取ってなお、1年間で資産はマイナスに沈んでいます。左手で受け取った分配金を、右手の基準価額下落がそっくり飲み込んだ形です。

設定来の数字は、さらに虚しさを誘います。ULTYの設定来平均年間リターンは、わずか0.22%です。2024年2月の設定から今日まで、年平均でほぼ横ばい。あれだけ派手な分配金を出し続けて、資産はほとんど増えていないのです。

そして配当性向は、5,686.33%という常軌を逸した数字を示します。配当性向とは、稼いだ利益のうち何割を配当へ回したかを示す指標です。100%を超えれば、利益以上に配っている証拠になります。

配当性向5,686.33%とは、稼いだ利益をはるかに超える規模を分配に回しているという意味です。

この異常な配当性向こそ、タコ足配当の動かぬ証拠です。稼いだ利益では到底足りず、元本を大きく取り崩して分配金を捻出している。だからROCが100%の週が並び、基準価額が静かに失血していくのです。

参考までに、ULTYのPEレシオは50.62、ベータは1.44になります。ベータ(市場全体に対する値動きの感応度)が1を超えるとは、市場より荒く動くことを意味します。荒い値動きをオプションで刈り取る宿命ゆえに、基準価額の下落もまた避けにくい構造なのです。

数字を並べて見えてくるのは、一つの冷徹な事実です。分配金という「体表の華やかさ」と、基準価額という「体温」は別物だということです。看板の利回りに目を奪われている間に、体温は64.60ドルから27.75ドルへと静かに下がっていました。受け取った分配金の多くは、自分の体を削って得た熱だったのです。

経費率1.30〜1.40%の重み――派手な看板の裏で毎年引かれるもの

利回りの話が続いたので、今度はコストへ目を向けます。ULTYの経費率にも、実は表記のゆれがあります。stockanalysis.comは1.30%と記載し、YieldMax公式はGross表記で1.40%と掲げています。同じ銘柄で、経費率が1.30%と1.40%に割れているのです。

なぜ差が出るのでしょうか。断定はできませんが、GrossとNetの違いによる可能性が考えられます。Gross(信託報酬総額)は、運用にかかる費用を丸ごと積み上げた数字です。

一方でNet(実質負担)は、一部の費用免除などを差し引いた、投資家が実際に負担する率を指します。1.40%がGross、1.30%が実質に近い数字、という整理であれば筋は通ります。ただし公式な内訳の確認までは取れていないため、あくまで一つの解釈と受け止めてください。

いずれにせよ、1.30〜1.40%という水準そのものが重いのは事実です。一般的なインデックスETFと比べてみましょう。

種類経費率の目安
一般的なインデックスETF0.1%未満が主流
ULTY(stockanalysis.com表記)1.30%
ULTY(YieldMax公式・Gross表記)1.40%

一般的なインデックスETFは、経費率0.1%を切るものが主流です。ULTYの1.30〜1.40%は、その10倍以上のコストになります。荒れるオプションを毎週組み替え続ける手間賃だと思えば、高コストにも理屈はあります。しかし、その手間賃は利回りの派手さの裏で、静かに毎年差し引かれ続けるのです。

相対評価の視点を、もう一段広げてみましょう。同じ高分配カバードコール系ETFの中でも、経費率は運用の手の込み具合で差が出ます。ULTYのように15〜30銘柄へ個別にオプションを組む戦略は、単一の指数へ機械的にコールを売る戦略よりも手間がかかります。

手間が多いほど、経費率は高くつきやすい構造です。派手な分配の裏側には、その派手さを支える運用コストが必ず張り付いていると考えるべきです。

コストの怖さは、複利で効いてくる点にあります。基準価額がじわじわ削られる銘柄で、年1.4%のコストが毎年乗る。分配金がタコ足で目減りする中、経費だけは律儀に引かれ続けます。高い利回りの看板は、高いコストと二人三脚であることを忘れてはいけません。

開かないNISAの扉――日本の個人投資家が最初に躓く壁

ここまで読んで「それでも少額なら試したい」と思った方に、冷や水を一杯お出しします。日本の個人投資家がULTYで最初に躓くのは、NISAの壁です。ULTYは一般的に、NISA成長投資枠の対象外とされています

姉妹的な位置づけのNVDY(YieldMax NVDA Option Income Strategy ETF)と同じロジックが、ULTYにも当てはまります。

なぜ対象外になりやすいのでしょうか。YieldMax系をはじめとする米国籍の高分配ETFは、NISAの非課税メリットを受けられないケースが一般的だからです。

つまり利回りの数字がどれだけ派手でも、その分配金にはしっかり課税がかかります。「非課税で年100%超」という夢物語ではないのです。手取りベースで見れば、看板の利回りはさらに削られます。

整理すると、日本の投資家にとってのハードルはこうなります。

  • ULTYは一般にNISA成長投資枠の対象外とされ、非課税の恩恵を受けにくい
  • 分配金には課税がかかり、手取りは看板利回りより目減りする
  • 取引には米国株に対応した証券口座が必要になる

ただし、ここで一つ大切な注記を添えます。NISA成長投資枠の対象可否は、証券会社によって取り扱いが異なり得ます。同じ銘柄でも、ある証券会社では扱い、別の会社では扱わない、ということが起こります。

したがって、ULTYがNISA枠で買えるかどうかは、必ずご自身で最新情報をご確認ください。本記事の記述は、あくまで一般論としての整理にとどまります。

看板の利回りに手を伸ばす前に、非課税の扉が開くかどうかを確かめる。派手な数字に飛びつく前の、地味だが決定的なひと手間です。税の壁を無視した利回りは、絵に描いた餅になりかねません。

ULTYに向く人・向かない人――夕暮れの実験ノートを閉じる前に

西の空の茜色は、いつの間にか藍色に飲み込まれていました。油蝉の声は途切れ、代わりに熱帯夜の気配が立ちこめています。溶けたアイスコーヒーは、すっかりぬるくなりました。ULTYもまた、荒れ株の熱狂をためこみながら、基準価額という体温を静かに下げていく銘柄です。夕暮れの船橋に、少しだけ重なって見えました。

ここまでの講義を、結論として束ねます。ULTYは、値動きの荒い株を束ね、そのボラティリティをオプションで現金化する装置です。

]利回りは60.51%から142%まで表示が化け、分配金は半年強で約41.8%細りました。ROCは頻繁に100%へ振れ、基準価額は64.60ドルから27.75ドルへ削られています。ULTYの高利回りは、リターンの約束ではなく、元本を配る機械の説明書きなのです。

では、ULTYに向く人と向かない人を整理しましょう。

向く人向かない人
失っても構わない少額を実験枠に充てられる人資産形成の主軸を任せたい人
分配金を「元本の一部払い戻し」と割り切れる人分配金を純粋な収益と思い込む人
基準価額の下落を許容できる人元本をしっかり守りたい人
利回り表示のカラクリを理解している人看板の数字だけで銘柄を比較する人

誤解しないでください。ULTYは、使い道を選べば道具になります。金額の上限を決めた実験枠として、ボラティリティの収穫を体感するには面白い銘柄です。

私自身、16銘柄の人体実験の一つとして、淡々とデータを取り続けています。しかし、資産形成の主軸に据えた瞬間、その牙はこちらを向きます。主軸に据えれば罠、脇役に徹させれば実験道具。この一線を越えるかどうかで、ULTYの顔はまるで変わるのです。

冒頭の問いに、断言で答えます。利回り112%の蜃気楼に手を伸ばすなら、まず算出方法を疑ってください。60.51%と142%の間で数字が化ける銘柄に、無条件の信頼を預けてはいけません。

私は今週も、細っていく分配金と、削られる基準価額を淡々と記録し続けます。あなたが派手な利回りの看板に手を伸ばす前に、どうかもう一度、この分配金の推移表を見に来てください。人体実験の続報は、この記録で欠かさずお届けします。

📌 免責事項本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。記載の数値は特定時点の実績であり、将来の成果を保証するものではありません。

高分配型ETFには元本毀損・価格変動・分配金減少のリスクがあります。税務やNISA対象可否の取り扱いは個々の状況や証券会社の対応により異なるため、具体的な判断は税理士等の専門家にもご相談ください。投資判断はご自身の責任において行ってください。

参考一次情報ソース一覧– ULTY基本情報(正式名称・設定日2024年2月28日・経費率1.40%<Gross表記>・投資戦略<15〜30の原資産へのコールスプレッド戦略>・上位5構成銘柄・分配頻度<週次>・Distribution Rate 60.51%・30-Day SEC Yield 0.00%・ファンド純資産8億1,892万ドル):YieldMax公式サイト https://www.yieldmaxetfs.com/ (2026年7月22日確認)- ULTY株価・利回り・パフォーマンス(現在株価27.75ドル<2026年7月21日終値・前日比+0.50ドル/+1.83%>・時価総額8億1,892万ドル・発行済み株式数3,000万株・保有銘柄数112・経費率1.30%・配当利回りTTM 112.34%・年間配当TTM 31.17ドル・配当性向5,686.33%・過去1年トータルリターン-9.27%・設定来平均年間リターン0.22%・PEレシオ50.62・ベータ1.44・52週高値64.60ドル・52週安値26.62ドル):stockanalysis.com(2026年7月21日確認)- ULTY週次分配金・ROC(元本払戻金比率)推移(2025年12月09日〜2026年7月21日):YieldMax公式サイト(2026年7月22日確認)。※2025年12月09日0.5461ドル→2026年7月21日0.3176ドルの約41.8%減、および分割調整後の2024年4月17日換算1.417ドル→2026年7月14日0.3302ドルの約76.7%減は筆者算出- ULTY逆分割(2025年11月26日発表・同年12月1日実施、1-for-10):YieldMax公式発表資料、SEC提出書類(497フォーム)、OCC情報メモ第57708号、MIAX取引所コーポレートアクションアラート(2026年7月22日確認)- 筆者保有実績(2026年7月17日時点:保有3株・取得単価39.21ドル・評価損益-36.27ドル・トータルリターン率-5.50%・累積受取配当26.19ドル、2026年7月8日基準分配金0.74ドル/7月13日着金):筆者ポートフォリオ管理DB(承認済みデータ)- NISA成長投資枠の対象可否に関する一般的整理(米国籍高分配ETFは対象外とされるケースが一般的・NVDYと同ロジック):筆者による一般論としての整理(最終的な対象可否は各証券会社の最新情報を要確認)

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真毅のアバター 真毅 自由人

趣味はカメラ、ランニング、読書。職業はシステムエンジニア。昔はリサーチハウスで企業調査、産業分析を行っていました。目標は投資で稼いでゆっくり生きる。資格はFP2級、証券アナリスト。投資対象は日本株、米国ETF、金、暗号資産、不動産。金融資産と実物資産の両輪で資産形成。

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