シラーPERとは
シラーPER(またはCAPEレシオとしても知られています)は、イェール大学の経済学者ロバート・シラーによって開発された株式評価指標です。
従来のPER(株価収益率)が1年間の利益に基づいて株価を評価するのに対し、シラーPERは過去10年間の平均化調整後の利益(インフレ調整後)を用いて株価を評価します。この方法により、企業の長期的な収益力をより正確に反映し、市場の波及や経済サイクルの影響を緩和することができます。
株式市場の過大評価や過小評価を判断する際に用いられ、特に長期投資戦略の立案に役立つ指標とされています。シラーPERが高いほど市場が過大評価されていると考えられ、低い場合は過小評価されていると判断されます。
この方法により、短期的な市場の変動や経済サイクルの影響を考慮に入れ、より長期的な視点から株価が割高か割安かを判断することができます。
シラーPERは、株式市場全体の評価レベルを示す指標として重要であり、特に市況の変動が激しい時期やバブル崩壊の危険性が高まる時に、投資家の注目を集めます。
しかし、シラーPERを利用する際にはいくつかの注意点があります。過去データへの過度な依存、特定の業種への適用、異常な利益や損失の影響、マーケットの状況との整合性、情報の選択と解釈などが含まれます。
シラーPERのデータはインターネット上で入手可能です。
シラーPER:multpl.com
- 平均値:17.09
- 中央値:15.96
- 最小: 4.78(1920年12月)
- 最大:44.19(199912月)
一般に、25倍以上になると割高と判定されます。
2024年2月は33.83倍になっています。
シラーPERが過去の暴落を予知した実績は、以下となります。
シラーPERが暴落を予知したと言われている下落
- 1929年:ブラック・マンデー(29倍)
- 2000年:ドットコムバブル(44倍)
- 2008年:リーマンショック(27倍)
シラーPERは「株価」と「実態経済」を比べて、「割高」「割安」を判定する方法でした。
シラーPERが使い物にならない?
ただ、シラーPERが使い物にならないと言う意見もネットで調べると散在します。
ネットで調べた使い物にならないと言う理由がこちらです。
過去25年間、シラーPERはほぼ一貫して間違っているのだ。1989年以降、S&P総合500種は8倍になり、配当を含む総リターンは投資元本の12倍に達している。・・・(ところが)過去25年のうちの97%の期間で、シラーPERは過大評価のシグナルを示している
(「根拠なき熱狂とは限らない米株の最高値」2014年7月28日)
「(シラー氏はITバブルを警告したのと)同じモデルによって、アメリカの配当利回りが顕著に低下し、PERが異常に高水準に達した1992年にも、株価はファンダメンタル価値を大幅に上回る水準に達しており、今後は長期平均で見ても株式のリターンはゼロ近辺に低下する可能性が高いという警告を発していたのだ」。実際にはその後2000年春まで株価がかつてないテンポで上昇を遂げたことは言うまでもないだろう。
ウォール街のランダム・ウォーカー 第11章
ジェレミー・シーゲル教授(ペンシルベニア大学ウォートン校)によれば、近年、会計原則の概念が定まらず、たびたび改定されているため、CAPEレシオが正常に機能していないとのこと。従来の会計原則では、企業が業績を実際より大きく見せていましたが、最近ではその手口が通用しなくなり、実体に見合った正確な業績が反映されています。そのため、CAPEレシオの計算をやり直す必要があります。
ジェレミー・シーゲル教授(ペンシルベニア大学ウォートン校)
シラーPERを見ると、1990年以降にすう勢的な上方シフトを起こしそれが続いています。正確な原因は不明ですが、企業利益水準や会計制度の変更等による影響がある可能性があると思っています。
なので、過去100年以上にわたるシラーPERの平均値一本で割高・割安を判定しようとすること自体に無理があるのだと考えられます。
ぶっちゃけ、2024年2月は33.83倍で歴史的に見ても割高ですが、私はまだ株価の上昇余地はあると思っています。
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