岸田文雄政権のもとでの日本の財政政策は、新型コロナウイルス感染症からの経済回復を目指して、子育て支援や防衛費の増額といった、国の将来を見据えた恒久的な歳出拡大を決定しております。
しかし、これらの政策を実施するために必要な財源の確保方法については、まだ明確な方針が示されていない状況です。
経済再開と政策展開
経済の再開が進む中で、岸田政権は国民の生活を支援し、経済の活性化を目的とした政策を推進しています。特に、子育て世帯への支援を強化する「こども未来戦略方針」は、児童手当の拡充や支給対象の拡大を含む広範な内容で、大きな注目を集めています。しかし、これらの政策には年間約3兆円の費用が見込まれており、その財源は主に将来の税収や社会保険料の改革を通じて確保される予定ですが、具体的な実施計画はまだ示されていません。
財政政策のジレンマ
岸田政権の恒久的な歳出拡大計画は、短期的には国民からの支持を得る可能性がありますが、長期的な財政健全性にはリスクをもたらします。特に、防衛費の大幅な増額や温暖化対策に向けた20兆円規模の歳出は、その財源が借金や未来の税収に依存する形となっており、財政赤字の拡大を招く可能性があります。これらの政策による恒久的な歳出拡大は、税収の自然増やインフレタックスに期待する形で進められていますが、これは不安定な財源であり、経済状況の変化によっては持続不可能になるリスクを秘めています。
実は抑制的だった安倍政権の財政政策
安倍政権時はアベノミクスの一環として「柔軟な財政政策」を掲げ、脱デフレを目指して積極的に財政政策を活用していました。しかし、安倍政権は、毎年補正予算による景気刺激策を繰り返し実施しましたが、恒久的な歳出増は限定的であり、主に消費増税の一部を転用して幼児教育の無償化などが実施されました。
一方で、歳入面では消費税率の引き上げや年金制度改革による厚生年金保険料の引き上げが行われ、国民負担率は増加しました。この結果、安倍政権下では財政政策の運営は一時的な景気刺激策が頻繁に繰り返されたものの、恒久的な歳出拡大の決定は極めて限定的であり、歳入面では引き締め的であったとされています。
その結果、安倍政権下での日本の財政状況に関するOECD(経済協力開発機構)の推計では、気循環調整後の一般政府のプライマリー収支のGDP比は2012年に約7%であったのに対し、2019年には約3%まで縮小しました。これは、安倍政権下での日本の財政状況が改善したことを示しています。
財源の確保と経済の未来
持続可能な経済運営を目指す上で、岸田政権は財源の確保に向けた具体的な計画を示す必要があります。歳出改革や社会保障制度の見直し、税制改革など、痛みを伴う決断が求められる場面もあるでしょう。しかし、これらの改革を通じて健全な財政基盤を築くことが、将来の世代への責任だと言えます。特に、社会保障費の増加や防衛費の拡大など、避けられない支出に対しては、持続可能な財源の確保が急務です。
結論
岸田政権下での恒久的な歳出拡大と未確定な財源の問題は、日本経済の持続可能性にとって重要な課題です。政府は、短期的な経済刺激策や社会支援策を進める一方で、長期的な財政健全性を確保するための計画を示すべきです。これには、税制改革や社会保障制度の見直し、財政支出の効率化など、多角的なアプローチが必要となります。持続可能な経済成長と社会福祉の向上を目指し、政府は責任ある財政運営を行うことが求められています。
私は日本経済の未来を考える上で、これらの問題に対する政府の取り組みは、国民すべてにとって重要な関心事となるべきだと考えています。
↓良ければ応援クリックお願いします!
コメント