ADP雇用統計は、アメリカの民間部門の雇用動向を測るための重要な経済指標です。
毎月の公式雇用統計に先立って発表されるため、経済アナリストや投資家にとって非常に貴重な情報源となります。
本記事では、ADP雇用統計の概要、データの確認方法、そしてその特徴について詳しく解説します。
ADP雇用統計とは?
雇用統計は米国政府が作成・公表している経済指標ですが、一民間企業が作成・公表している雇用統計もあります。
それが 「ADP雇用統計」です。ADP雇用統計は2006年5月より正式公表された民間企業による統計です。
ADPとはAutomatic Data Processing社という、40万社以上の給与計算を代行している企業が、オフィシャルな雇用統計の2日前に公表しているものです。
雇用統計は毎月第一金曜日の公表なので、ADP雇用統計はその2日前の第一水曜日になります。
40万社以上の給与計算ということは、米国の労働者でいうと6人に1人が、この給与計算代行サービスにあてはまることになります。
しかも、オフィシャルな雇用統計はアンケート調査によるものですが、 ADP雇用統計はリアルな給与データに基づいて計算されるものなので、データの確度が非常に高い。
それが、オフィシャルな雇用統計の2日前に公表されますから、少しでも早くポジションを取りたいマーケット関係者にとっては、関心の高い経済指標のひとつになるのです。
たとえば為替の取引をしている人たちであれば、ADP雇用統計の数字を見て、その2日後に発表される、オフィシャルな雇用統計がどうなるのかを、おおまかに判断できます。
以前は雇用統計との相関はそれほど高くなかったですが、 ADP社は雇用統計との相関を高めるために継続的にモデルの改良を実施しており、徐々にではありますが相関は高まってきています。
それでも15~18年の雇用統計の民間部門就業者数の前月比増減との差の絶対値の平均は約5万人で、最大13.9万人も数値に差がありました。
このように結果が異なるケースもあるので注意は必要です。時間のない方は金曜日に発表されるオフィシャルな雇用統計で十分だと思います。
ただ、投資で一歩先を行きたい方はADP雇用統計に注意を向ける必要があると考えています。
ADP雇用統計のデータ確認方法
ADP全米雇用報告はADP(Automatic Data Processing)社ののウェブサイトで調べることができます。
ADP全米雇用報告
https://www.adpemploymentreport.com/
より簡単に確認する場合はFREDがおすすめです。
以下から、ADP全米雇用報告を調べることができます。
- ADP雇用統計(月次):https://fred.stlouisfed.org/series/ADPMNUSNERSA
- ADP雇用統計(週次):https://fred.stlouisfed.org/series/ADPWNUSNERSA
- ADP全国雇用報告書(月次):https://fred.stlouisfed.org/release/tables?eid=1232795&rid=194
- ADP全国雇用報告書(週次):https://fred.stlouisfed.org/release/tables?rid=194&eid=1232737
意外と知らないADP全米雇用報告の特徴
ADP全米雇用報告は、米国の雇用状況を反映する重要な経済指標の一つであり、いくつかの特徴があります。以下はその主な特徴です。
- 民間企業に焦点を当てている: ADP雇用報告は、民間非農業部門の雇用データに特化しています。この報告は、全米の約50万のビジネスからのデータを基にしてADP社が作成します。
- 米労働省の非農業雇用統計の先行指標とされる: ADP報告は、通常、米国労働省が発表する公式の非農業雇用統計の2日前に発表されます。そのため、市場ではADPの数字が後に発表される政府の数字の予測指標と見なされることが多いです。
- 算出方法: ADP報告は、ADPが管理する給与リストのデータを使用して算出されます。これは、実際の給与支払い記録に基づくデータであるため、実際の雇用状況を反映していると考えられています。
- 経済分析における重要性: この報告は金融市場において高い注目を集めており、発表があると米ドルや株価に影響を及ぼすことがあります。特に、予想と大きく異なる結果が出た場合には、市場のボラティリティが増すことがあります。
- 時間的な近接性: ADP報告は毎月の初めに発表され、最新の雇用状況を迅速に反映します。このタイムリーなデータ提供が、経済分析や政策立案の際に重宝されます。
- 週次で発表:週次でも発表されているので新規失業保険申請件数と同時に分析するのに相性が良い。
まとめ
ADP雇用統計は、雇用市場の先行指標として幅広く利用されています。
データの公表タイミングや統計の特徴を理解することで、より効果的な投資判断が可能になります。
今後もADP雇用統計を活用し、最新の経済動向を把握していきましょう。
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